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第二章

第七部分

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『なるほど、王子様のファンでいらっしゃるのですね。』
「べ、別にファンとかでもないし。ファンクラブとか学校に存在するとか、知らないし。」
「こら、お前たち、何を話している、いや、勝手にタブレットで表現しているのか?」
『タブレットは最新鋭のAⅠ導入型です。スゴくアタマがいいのです。』
全員のタブレットが暴走してるっぽい。
『ファンだとすれば実に悲しいお知らせがあります。』
「いったい何なのよ。」
『王子は大王寺製薬の後継者となり、未来の大王寺家のために、たくさんの女性を侍らせて大奥を築く義務があるのですが、大変残念なことに、王子は女性恐怖症なのです。』
「「えええ?」」
玲羅、王子が同時に驚愕表情を生産した。驚愕の内容は異質である。事実認識と個人情報公開への驚愕である。
「王子って、女性恐怖症なの?そんな風には全然見えないわよ。」
『それを実証してみせましょう。』
このトークもすべてタブレットAIの暴走なので、念のため。
「もういったいなんなんだ。完全にバグってるじゃないか。」
王子がわめいている間に、幼稚園時代の王子がタブレットにモニターされた。

子供らしい短い黒髪、パッチリお目めの愛くるしい幼児。お決まりのスカイブルーの幼児服に、ひらがなで『りょうとさま』と書かれている。『さま』付きの名札は王子専用である。
「かわいい。お持ち帰りしたいわ!」
犯罪者フレーズをのたもうた玲羅。
タブレットには、遼斗の登校シーンが映されている。周りを黒メイド服に囲まれている。黒メイド服の回りには、幼女がたくさん集まって、『きゃあ、きゃあ、きゃあ』と騒いでいる。真ん中の遼斗はブルブルと震えている。
「王子。あと少しで校舎ですから、ガマンしてください。なんなら、お漏らししてもいいですから。」
「バカいうな!もらしたりなんかするものか。そ、それにおんなのこなんて、コワくもなんともないんだからなっ。」
額に三本筋を立てて、抵抗する遼斗。
「王子がそうおっしゃるなら、女の子耐性を確認しましょう。一同ひけ~。」
蜂の巣をつついたように、黒メイド服たちは四方八方に拡散した。当然にして、ひとりポツンと取り残された遼斗。
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