上 下
131 / 140
第四章

第十二話

しおりを挟む
「い、いや。アレはアレ。ソレはソレ。コレはコレ。」

((どれどす?))

「ええい!みなまで言わすな!」

((そこどす!))

「はあ?」

((言えないことこそ、倉井はんが女である証拠どす。))

「それは違う。放送禁止用語だからだ。」

((そういうことを言ってるんではないどす。つまり、乙女としての恥じらいがあるということどす。))

「お、乙女?この俺のどこが?」

((全部どす。))

「わからねえ。」

((それは倉井はんが乙女だからどす。))

「だからそうでないと言ってるだろう。」

((それが乙女。男だったら、何にも反応しないどす。当たり前のことには反応しない。それが男どす。今のやりとり、すべて倉井はんは何らかのアクションがありました。それは心が女だからどす。心は健全な肉体に宿るもの。からだは文句なしに女どす。うちの生徒会の由○はんに比べたらはるかに女どすえ。))

「ちょ、ちょっと待ってよ。どうしてあたしがそこに登場するのよ。今はあたしの方が豊満なんだけど。」

((あれ?失礼しましたどす。こんな妖怪ぬりかべのからだで失礼したどす。))

「待ってよ。そのナイスバディのどこかぬりかべ?なのよ。高尾山も真っ青な急峻な起伏の流線型になにを言うのよ。」
 さっきはチョモランマとか言っていた由梨。東京都の山じゃ大幅にスケールダウンしている。

「おい、あいつはなぜ動かないんだ。ってか、眠っているのか。」
 倉井は都に気付いたのだ。

((あの子は日乃本都はんどす。この生徒会会長にして、閻魔大王光後継者候補見習いどす。))

「生徒会長?そんな風情は感じられない。それに閻魔大王後継者候補見習いだと?変なヤツがいるものだな。でもルックスはお前たちよりずっといいように見えるぞ。あっ、これは男目線だからな。おいしそうだな。ジュル。」
 倉井は自分の本性の赴くままのようだ。すっかり目を細めて都を見つめている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

仕合わせの行く先~ウンメイノスレチガイ~

国府知里
キャラ文芸
~風のように旅する少女とその姿を追う王子がすれ違い続ける物語~  ひょんなことから王国行事をアシストした旅の少女。もう一度会いたい王子はその行方を求めるが、なぜかすんでのところで毎回空振り。いつしか狩猟本能の火が灯り、是か非でも会えるまで追い続けることに。その足跡を追うごとに少女の数奇な運命が暴かれて……?果たしてこのふたり、再会したらどうなっちゃうの? ~数奇な運命に翻弄されて旅をする少女の仕合わせの行く先を追う少女向けファンタジー~

視える宮廷女官 ―霊能力で後宮の事件を解決します!―

島崎 紗都子
キャラ文芸
父の手伝いで薬を売るかたわら 生まれ持った霊能力で占いをしながら日々の生活費を稼ぐ蓮花。ある日 突然襲ってきた賊に両親を殺され 自分も命を狙われそうになったところを 景安国の将軍 一颯に助けられ成り行きで後宮の女官に! 持ち前の明るさと霊能力で 後宮の事件を解決していくうちに 蓮花は母の秘密を知ることに――。

あやかし酒場と七人の王子たち ~珠子とあやかしグルメ百物語~

相田 彩太
キャラ文芸
東京の中心より西に外れた八王子、さらにその片隅に一軒のひなびた酒場がある。 「酒処 七王子」 そこは一見、普通の酒場であるが、霊感の鋭い人は気づくであろう。 そこが人ならざるモノがあつまる怪異酒場である事を。 これは酒場を切り盛りする7人の兄弟王子と、そこを訪れる奇怪なあやかしたち、そしてそこの料理人である人間の女の子の物語。 ◇◇◇◇ オムニバス形式で送る、”あやかし”とのトラブルを料理で解決する快刀乱麻で七転八倒の物語です。 基本的にコメディ路線、たまにシリアス。 小説家になろうでも掲載しています。

プリズン食堂へようこそ ~収容分類級I・LA・A 朝霞刑務所食堂開店~

ご隠居
キャラ文芸
刑務所の過剰収容とそれに伴う予算増大…、政府はそれを解決すべく、モデルケースとして朝霞刑務所を食堂として民間に開放することにする。

CHANGE syndrome

ハイブリッジ万生
キャラ文芸
初めて書いた小説です。 生暖かい目で見て下さると助かります( ・∇・)

Hate or Fate?

たきかわ由里
キャラ文芸
Storm in the Nightfall 第1作 26歳の優哉は、サポートドラマーやスタジオミュージシャンとして活動する、実力派ドラマー。 ヘヴィメタルを愛してやまない優哉がひょんなことから加入したヴィジュアル系バンド・ベルノワールは、クールなワンマンベーシスト宵闇がリーダーとして牽引する、見た目だけで演奏力がないバンドでした。 宵闇と真正面からぶつかり合いながら、ベルノワールの活動にのめり込んでいく「夕」こと優哉。 そして迎える初ライブ! 音楽に恋に駆け回る優哉の、燃えるように熱いヴィジュ根(ヴィジュアル系根性)ストーリー!! 全36話。毎日20:30更新です。

【完結】非モテアラサーですが、あやかしには溺愛されるようです

  *  
キャラ文芸
『イケメン村で、癒しの時間!』 あやしさ満開の煽り文句にそそのかされて行ってみた秘境は、ほんとに物凄い美形ばっかりの村でした! おひめさま扱いに、わーわーきゃーきゃーしていたら、何かおかしい? 疲れ果てた非モテアラサーが、あやかしたちに癒されて、甘やかされて、溺愛されるお話です。

処理中です...