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第二章
第一部分
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プール対決の翌日。ユリを含めて四人登校となったが、1メートル後ろにユリはいる。ユリは1ミリ違わず、等距離をキープ。実に器用である。
「距離がまったく変わらないなんて、ストーカーのワザ、極まれりだねえ。」
呆れ顔の桃羅。ユリをチラ見する目は厳しいが、時折わずかに細くなったりしている。
教室では、いつもの大悟シフト。しかし、よく見ると、大悟の左隣のユリは右に1度、後ろ向きに座る桃羅はユリ側に1度顔の向きがずれている。お互いを気にしている様子を大悟は見逃さなかった。
そういう中でもユリの頭の中は、大悟が魔王なのか、どうやって確認するのかが99%を占めていた。大悟もユリと雪ねえの関係解明ができずに焦りを感じていた。
教師桃羅は一旦教壇に着いて、これまで以上に淫靡な笑みを浮かべている。新緑の森林で深呼吸でもするように、スーッと大きく息を吸った。
「それでは新しいお友達を紹介しましょう。こちらへどうぞ。先生より先に、お兄ちゃんにパンツを見られちゃだめよ。うふ~ん。」
やってきたのは、身長が130センチに満たない黒いおかっぱ頭の女子。赤い目は目尻がややタレ気味で、小さな鼻と桜のつぼみのような唇。ほっぺは白桃のようなみずみずしい白さを誇っている。
どこから見ても幼女であるが、赤いセーラー服にプリーツスカートで、黍尊高校生徒である。スカートはどこの女子高生も短いものではあるが、この女子のスカートは特に短い。パンツまでの推定距離は1センチに満たない。これではほんの少しの風で、中身が露出してしまう。見ているだけで、ひどく緊張する。
幼女生徒は可憐な口を開けた。そこから出てきた空気で構成された言葉も少女のようにかわいいものだった、と思わせたが、何かが違う。音声ではなく、赤くて小さな物体が多数出てきた。それも顕微鏡で見る細菌のように蠢いている。よく見ると空中で何かを構成している。
《無籠騙流(なくこも だまる)。今日から転校してきた。あっ、転校と言っても、2年生の教室からここに来たから、まる、2年生。みなさん、知ってる通り、生徒会美化委員長
。掃除してない生徒は厳しく取り締まる。ちゃんと掃除しないと泣くよ。みなさんが、掃除しないことが頭に浮かぶ。う、う、う、うえ~ん。だんまり。》
最後に奇妙な語尾を付けた騙流。ここまで教室内には声帯からの音声は流れていない。騙流の口から出てきた物体が文字を作って、言葉にしていたのである。その赤い物体をよく見ると、小さなダルマであった。ダルマが蠢いて文章を可視化していたのであった。そして、騙流は誰も何も言わないのに、いきなり涙腺を大崩壊させた。但し、泣き声は微塵も聞こえない。慌てて教師桃羅がなだめに入る。
「ちょっと、待って無籠さん。そんなに落ち込まないで。あ~、このままじゃ、先生が無籠さんを泣かせたと批判を浴びて、校長先生からお叱りを受けることになるかも。ええっと、無籠さん。どうしたら、機嫌が直るのかな。」
この言葉を待ってたのかのように、騙流は急に泣きやんで、ダルマたちが動き出す。
《それでは先生。まる、ひとつお願いしてもいい?だんまり。》
「何でもいいわ。この際だから何でも言いなさい。宇佐鬼くん絡みなら、なおいいわよ。」「先生、勝手なことを言わないでくれ。」
大悟のクレームは当然のように放置された。
《できたら、まる、あの席に座りたい。目的は掃除だよ。だんまり。》
無籠の人差し指ベクトルが示す方向には大悟が目を丸くして座っていた。というより、予期していたことが的中したという表現の方が正しい。
「おい、これはいったいどういうことだ?」
教師桃羅の許可が出る前に、すでに騙流は大悟の机に座っていた。椅子ではなく、机の上にダルマのように、である。お見合いという形に見えなくもない。
『ゴゴゴゴゴ』
いつの間にか大悟のすぐ前の席に鎮座している教師桃羅の後頭部からオーラが、目に見えそうなぐらいの重々しさで発せられていた。教師桃羅が、普段と異なり黒板側を向いているのは露骨な怒りを騙流に見せないためか?
「距離がまったく変わらないなんて、ストーカーのワザ、極まれりだねえ。」
呆れ顔の桃羅。ユリをチラ見する目は厳しいが、時折わずかに細くなったりしている。
教室では、いつもの大悟シフト。しかし、よく見ると、大悟の左隣のユリは右に1度、後ろ向きに座る桃羅はユリ側に1度顔の向きがずれている。お互いを気にしている様子を大悟は見逃さなかった。
そういう中でもユリの頭の中は、大悟が魔王なのか、どうやって確認するのかが99%を占めていた。大悟もユリと雪ねえの関係解明ができずに焦りを感じていた。
教師桃羅は一旦教壇に着いて、これまで以上に淫靡な笑みを浮かべている。新緑の森林で深呼吸でもするように、スーッと大きく息を吸った。
「それでは新しいお友達を紹介しましょう。こちらへどうぞ。先生より先に、お兄ちゃんにパンツを見られちゃだめよ。うふ~ん。」
やってきたのは、身長が130センチに満たない黒いおかっぱ頭の女子。赤い目は目尻がややタレ気味で、小さな鼻と桜のつぼみのような唇。ほっぺは白桃のようなみずみずしい白さを誇っている。
どこから見ても幼女であるが、赤いセーラー服にプリーツスカートで、黍尊高校生徒である。スカートはどこの女子高生も短いものではあるが、この女子のスカートは特に短い。パンツまでの推定距離は1センチに満たない。これではほんの少しの風で、中身が露出してしまう。見ているだけで、ひどく緊張する。
幼女生徒は可憐な口を開けた。そこから出てきた空気で構成された言葉も少女のようにかわいいものだった、と思わせたが、何かが違う。音声ではなく、赤くて小さな物体が多数出てきた。それも顕微鏡で見る細菌のように蠢いている。よく見ると空中で何かを構成している。
《無籠騙流(なくこも だまる)。今日から転校してきた。あっ、転校と言っても、2年生の教室からここに来たから、まる、2年生。みなさん、知ってる通り、生徒会美化委員長
。掃除してない生徒は厳しく取り締まる。ちゃんと掃除しないと泣くよ。みなさんが、掃除しないことが頭に浮かぶ。う、う、う、うえ~ん。だんまり。》
最後に奇妙な語尾を付けた騙流。ここまで教室内には声帯からの音声は流れていない。騙流の口から出てきた物体が文字を作って、言葉にしていたのである。その赤い物体をよく見ると、小さなダルマであった。ダルマが蠢いて文章を可視化していたのであった。そして、騙流は誰も何も言わないのに、いきなり涙腺を大崩壊させた。但し、泣き声は微塵も聞こえない。慌てて教師桃羅がなだめに入る。
「ちょっと、待って無籠さん。そんなに落ち込まないで。あ~、このままじゃ、先生が無籠さんを泣かせたと批判を浴びて、校長先生からお叱りを受けることになるかも。ええっと、無籠さん。どうしたら、機嫌が直るのかな。」
この言葉を待ってたのかのように、騙流は急に泣きやんで、ダルマたちが動き出す。
《それでは先生。まる、ひとつお願いしてもいい?だんまり。》
「何でもいいわ。この際だから何でも言いなさい。宇佐鬼くん絡みなら、なおいいわよ。」「先生、勝手なことを言わないでくれ。」
大悟のクレームは当然のように放置された。
《できたら、まる、あの席に座りたい。目的は掃除だよ。だんまり。》
無籠の人差し指ベクトルが示す方向には大悟が目を丸くして座っていた。というより、予期していたことが的中したという表現の方が正しい。
「おい、これはいったいどういうことだ?」
教師桃羅の許可が出る前に、すでに騙流は大悟の机に座っていた。椅子ではなく、机の上にダルマのように、である。お見合いという形に見えなくもない。
『ゴゴゴゴゴ』
いつの間にか大悟のすぐ前の席に鎮座している教師桃羅の後頭部からオーラが、目に見えそうなぐらいの重々しさで発せられていた。教師桃羅が、普段と異なり黒板側を向いているのは露骨な怒りを騙流に見せないためか?
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