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第一章
第十部分
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「こいと、ミルフィーユの使い魔。」
「使い魔?いったいなんのことですの?」
「説明、モッタイナイ。仕方ない。使い魔、悪魔のシモベ。」
「ワタクシが使い魔ってことですの?高貴なワタクシが使い魔など、あり得ませんわ!」
「こいと、すでに、知ってる。チビに黒い羽。」
「まさか、これがでちゅの?」
クスリの切れた、こいとの姿がそこに厳然と存在した。
ちょうど同じ時刻、光葉も夢の中で、悪魔に会っていた。
『クチャ、クチャ、クチャ。』
ガムを下品に噛んでいる超ミニスカ女子が呆けている光葉の方にゆっくりと歩いてきている。アクセだらけのピンクのセーターには、星がちりばめられていて、クビレ激しいからだの線ににぴったりしている。長い足の先には、15センチの金色ヒール、長過ぎるツケマ、真っ赤なアイシャドウ、血の色にそっくりなルージュ、レインボーネイルがぎらついている。髪はネイルに合わせているのか、玉虫色に煌めいている。
「あ~、めんどくさ。それにひどく臭うよ。辛気くさ~い。いや貧乏くさ~いのか~。ウチは、エクレア。悪魔だよ~。」
「悪魔?いや、不良、ヤンキーだな。」
光葉はのっけからバトルモードにならざるを得なかった。ヤンキーではなく、ギャルなのだが、光葉基準では同じカテゴリーに分類されてしまう。ウチのことはどうでもいい。「光葉はウチの使い魔~。言うなればドレイだね~。クチャ、クチャ。」
「「お前は1位にならない限り、やがて人間をやめて使い魔として、濃き使われる運命にある。」」
湖線と光葉は違う場所で、同じフレーズを聞いていた。
「「濃い使われ方は、」」「嫌ですわ!」「嫌だよ!」
「正しいリアクションだ。お前は自分に足りないものがあることを知っているだろう。足りないものを持っているヤツのことも知ってるはず。そいつとずっと一緒にいることが1位への道を開くことになる。つまり、同じ高校に進学することが必要となってくる。わかるな。」
「アレしかありませんわ!」「コレに決まっているぞ!」
ふたりの頭に浮かんだアレコレは同じ造形であった。
ふたりの『アレコレ』は、成績が悪かった。
「使い魔?いったいなんのことですの?」
「説明、モッタイナイ。仕方ない。使い魔、悪魔のシモベ。」
「ワタクシが使い魔ってことですの?高貴なワタクシが使い魔など、あり得ませんわ!」
「こいと、すでに、知ってる。チビに黒い羽。」
「まさか、これがでちゅの?」
クスリの切れた、こいとの姿がそこに厳然と存在した。
ちょうど同じ時刻、光葉も夢の中で、悪魔に会っていた。
『クチャ、クチャ、クチャ。』
ガムを下品に噛んでいる超ミニスカ女子が呆けている光葉の方にゆっくりと歩いてきている。アクセだらけのピンクのセーターには、星がちりばめられていて、クビレ激しいからだの線ににぴったりしている。長い足の先には、15センチの金色ヒール、長過ぎるツケマ、真っ赤なアイシャドウ、血の色にそっくりなルージュ、レインボーネイルがぎらついている。髪はネイルに合わせているのか、玉虫色に煌めいている。
「あ~、めんどくさ。それにひどく臭うよ。辛気くさ~い。いや貧乏くさ~いのか~。ウチは、エクレア。悪魔だよ~。」
「悪魔?いや、不良、ヤンキーだな。」
光葉はのっけからバトルモードにならざるを得なかった。ヤンキーではなく、ギャルなのだが、光葉基準では同じカテゴリーに分類されてしまう。ウチのことはどうでもいい。「光葉はウチの使い魔~。言うなればドレイだね~。クチャ、クチャ。」
「「お前は1位にならない限り、やがて人間をやめて使い魔として、濃き使われる運命にある。」」
湖線と光葉は違う場所で、同じフレーズを聞いていた。
「「濃い使われ方は、」」「嫌ですわ!」「嫌だよ!」
「正しいリアクションだ。お前は自分に足りないものがあることを知っているだろう。足りないものを持っているヤツのことも知ってるはず。そいつとずっと一緒にいることが1位への道を開くことになる。つまり、同じ高校に進学することが必要となってくる。わかるな。」
「アレしかありませんわ!」「コレに決まっているぞ!」
ふたりの頭に浮かんだアレコレは同じ造形であった。
ふたりの『アレコレ』は、成績が悪かった。
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