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第三章
第五部分
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「お父さん、見直したよ!お父さんがこんなに立派だとは思わなかったわ。」
しかし、いつきはニヤリとして、父親の耳元で何事か囁いた。
すると、父親の顔色が変わり、そのまま札束を胸元に入れた。
「一本木さんのお父様が受け取った理由がわかりますか。」
「さあ、いつきの色香じゃないの。」
「いいポイントつかれますわね。でもそれだけじゃありませんわ。定番ですが、仮装通貨を受け取らないと、亜里栖さんが二度とお店に帰らぬ人になるということを言っておりますわ。」
「それでお父さんがニセ札を受け取ったっていうの。」
「そうですわ。もちろんお父様は渋々でしたけど。ウソだというなら、次の一言を聞いてくださいな。」
「娘の命には変えられない。俺は受け取りを拒否しない。」
ハッキリとした、いつもの父親の肉声がスピーカーから響いた。
「えっ。ま、まさか、お父さん。そ、そんな・・・。」
亜里栖はその先の言葉と顔色を失った。
「はい。これで一本木さんの準備は整いましたわ。仮装通貨の量産態勢に入りましょう。」
こうして、生徒会は印刷したニセ札ミイラで亜里栖をくるんでは、仮装通貨を作り出し、それを生徒たちに振る舞っていった。
仮装通貨は不完全ではあったが、本物に極めて近く、魔力マネーとして活用する生徒への体の負担は軽減され、体調を崩す生徒も減少していった。
生徒会も魔力マネーの消費が減り、財政は豊かになっていった。浄化するといって亜里栖の浄化は完全ではない。多少の毒素は仮装通貨に残るだけでなく、亜里栖自身の体もわずかではあるが蝕んでいた。
亜里栖の顔色は少しずつ黒く変わっていった。年頃の女子にとって、自分の美貌を崩すことは命を奪われるに等しい。しかし、今の亜里栖はそんなことすら気に止めることがないほどに、自我を喪失していた。
亜里栖は自宅に帰ることなく、生徒会室に寝泊まりすること強いられた。生徒会室には宿泊室もついていた。カギはなく、脱出しようとすれば十分可能であり、軟禁未満で拘束されていなかったが、亜里栖にはそこを出る意思がなかった。
しかし、いつきはニヤリとして、父親の耳元で何事か囁いた。
すると、父親の顔色が変わり、そのまま札束を胸元に入れた。
「一本木さんのお父様が受け取った理由がわかりますか。」
「さあ、いつきの色香じゃないの。」
「いいポイントつかれますわね。でもそれだけじゃありませんわ。定番ですが、仮装通貨を受け取らないと、亜里栖さんが二度とお店に帰らぬ人になるということを言っておりますわ。」
「それでお父さんがニセ札を受け取ったっていうの。」
「そうですわ。もちろんお父様は渋々でしたけど。ウソだというなら、次の一言を聞いてくださいな。」
「娘の命には変えられない。俺は受け取りを拒否しない。」
ハッキリとした、いつもの父親の肉声がスピーカーから響いた。
「えっ。ま、まさか、お父さん。そ、そんな・・・。」
亜里栖はその先の言葉と顔色を失った。
「はい。これで一本木さんの準備は整いましたわ。仮装通貨の量産態勢に入りましょう。」
こうして、生徒会は印刷したニセ札ミイラで亜里栖をくるんでは、仮装通貨を作り出し、それを生徒たちに振る舞っていった。
仮装通貨は不完全ではあったが、本物に極めて近く、魔力マネーとして活用する生徒への体の負担は軽減され、体調を崩す生徒も減少していった。
生徒会も魔力マネーの消費が減り、財政は豊かになっていった。浄化するといって亜里栖の浄化は完全ではない。多少の毒素は仮装通貨に残るだけでなく、亜里栖自身の体もわずかではあるが蝕んでいた。
亜里栖の顔色は少しずつ黒く変わっていった。年頃の女子にとって、自分の美貌を崩すことは命を奪われるに等しい。しかし、今の亜里栖はそんなことすら気に止めることがないほどに、自我を喪失していた。
亜里栖は自宅に帰ることなく、生徒会室に寝泊まりすること強いられた。生徒会室には宿泊室もついていた。カギはなく、脱出しようとすれば十分可能であり、軟禁未満で拘束されていなかったが、亜里栖にはそこを出る意思がなかった。
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