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第三章

第二部分

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「すごいわ。いや、そんなことはないわ。アタシだって、そのうちに、その山まで追いついてみせるんだからね。そこに山があるからノーマル女子にランクされると言うわよ。」
「口では強気なことを言えますけど、この感触はいかがでしょうか。」
 会長は自分の胸を亜里栖の貧乳に当てて、左右に揺さぶった。
「あ、あ、あ。」
 思わず熱い吐息を漏らしてしまった亜里栖。
「ほら、何かを感じたんじゃありませんか。はあ、はあ、はあ。」
 会長も呼吸が熱くなっている。
「ちょ、ちょっと、これは反則だわ。魔力マネーと全然関係ないじゃない。」
「それもそうですわね。それにこれだと、ワタクシが一方的に快楽を与えるだけになってしまって損ですわね。でも、一本木さんの体温を高ぶらせることには成功しましたわ。これで次の工程に移れます。黒サングラスさんたち、ご用意くださいな。」
「何よそれ。棺桶でも持ってきたの?ブ、ブキミだわ。」
 黒サングラスが持ってきたのはピラミッドでよく見られるような人型棺桶であった。
「さあ、その蓋を開けてくださいな。本邦初公開ですわ。」
『ギイイ』という恐怖心を煽るような音を立てた棺桶。そこから当たり前のように、ミイラが出てきた。ミイラというと白い包帯を想像するが、この場合、茶色に近い色であり、かつ模様があり、その中には初老の老人の顔が見える。
「きゃあああ!キモイ老人ミイラ、ばかもの!」
 あまりの狼狽ぶりに、『化け物』と言い間違えた亜里栖。
「黒サングラスさんたち、優しく着せてあげるんですのよ。」
 無言で黒サングラスたちはミイラを取り出すと、ホッケの開きのように、ふたつに開いて、暴れる亜里栖を中に入れて、蓋をするように閉じた。
「体温が上昇していないと、中で密着しませんからね。これでうまく行ったようですわね。」
「ぐぐぐ。」
 亜里栖は唸っていたが、やがて静かになった。
「完成しましたわね、仮装通貨一万円札でくるまれたミイラが。」
 一万円札はすべて新札であり、光沢があることから、ニセ札であることは間違いない。
「さあ、一本木さん。この仮装通貨に包まれた状態で、魔法を使ってくださいな。」
「いやよ。そんなことできないわ。」
 口で言ってることとは真逆に、亜里栖の体から白色光が発せられた。
「魔力が発動しましたわ。普通の生徒ならこのまま毒に侵されてしまうんですけど、彼女はどうかしら。」
 ミイラ亜里栖の体から紫色の煙が出ている。毒が回っている証拠である。
 その後に、白い煙が出てきて、紫色と混じっているが、だんだんと紫は薄くなり、やがてすべて白になった。
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