39 / 69
第三章
第一部分
しおりを挟む
大企業の社長が座るような大きな黄金色の椅子。
長い金髪は風もないのに揺らめいている。
「ようこそ、生徒会室へ。この前は、不法侵入でしたけど、今回はこちらからのご招待ですから、ゆっくりとおくつろぎくださいませ。ホーホホホッ。」
「ご招待ですって?この姿勢がねえ。ずいぶんと節約志向の歓迎ぶりだわね。」
亜里栖は両腕を後ろ手に縛られた状態で、安っぽい木製椅子に座らされている。
「これはちょっとおもてなしが足りませんでしたか。これは失礼しましたわ。でも手ぶらの来客にはこの程度かもしれませんわね。」
「先生や美散のことは、すべてあんたが仕組んだことなのね?」
「仕組んだ?表現ぶりに棘がありますわね。経営計画と正確に言ってほしいですわ。魔導中央銀行の運営を任されている以上、手段を選びながら業務を推進しているのですから。」
「じゃあ聞くけど、体調を崩している生徒がたくさんいるのはなぜ?」
「そのことですか。それは奨学金のことですの?」
「奨学金?ずいぶんと社会貢献活動的な表現をするのね。とてもそんな風には思えないわ。アタシの感覚だと、ニセ札というのが適切じゃないかしら。」
「ニセ札とは人聞きの悪い言い方ですわね。これはあくまでお金に困っている生徒のために使っている、ある種の慈善事業なんですのよ。」
「慈善事業が、生徒の健康に悪いのはどういうことよ。」
「それは本物の魔法マネーではないので体に無理がいくことはあり得ますわ。でもよく考えてごらんなさい。魔法マネーがない人たちに貸与ではなく、奨学金なのでみんな喜んで使ってるんですのよ。こんなありがたい話は他にありませんことよ。」
「まったく理解できない理屈ね。じゃあ、生徒会長のメリットは何なのよ?」
「あなたの言うニセ札という表現は誤りですわ。生徒会では、『仮装通貨』と呼んでいます。かつて大流行した『仮想通貨』とは異なるものですわ。仮装通貨がちゃんと使えるのか実験を行っているのです。仮装通貨が使えれば、魔力を集めなくても人工的に魔力マネーを作ることができますわ。それまでは失敗作はいくらでてもいいのです。奨学金の対象は教師まで拡大していますわ。それは尊い犠牲なのですから。第一奨学金は返還不要ですわ。タダより高いものはありませんから、多少の体の不調は飲んでもらいませんと。ホーホホホッ。」
「完全に思考が腐ってるわね。仮装通貨というワード自体、ニセ札を彷彿とさせるネーミングじゃないの。」
「あらあら、そのことに気づいたということは、虫レベルの勘はあるようですわね。」
「完全にアタシをバカにしてるわね。そもそも、アタシを何のためにここに連れてきたのよ。」
「一本木さんも実験対象ですわ。萌江田先生の実験から、あなたは仮装通貨の副作用に耐えられる体であることが判明しましたわ。実にいいボディですわ。胸無し芳一ですけど。優越感製造マシーンとしても有効活用できますわね。ホーホホホッ。」
亜里栖の胸をじっと見つめる生徒会長。
「な、何よ。この毎年豊作な胸に文句でもあるの?」
亜里栖は胸を腕でしっかりと隠した。完全に隠れてしまうのが寂寥感を呼ぶ。
「そこまでやられると、イタズラしたくなりますわね。」
会長は自分の制服の胸元をはだけた。お椀型の特盛が白いレースのブラからはみ出している。
長い金髪は風もないのに揺らめいている。
「ようこそ、生徒会室へ。この前は、不法侵入でしたけど、今回はこちらからのご招待ですから、ゆっくりとおくつろぎくださいませ。ホーホホホッ。」
「ご招待ですって?この姿勢がねえ。ずいぶんと節約志向の歓迎ぶりだわね。」
亜里栖は両腕を後ろ手に縛られた状態で、安っぽい木製椅子に座らされている。
「これはちょっとおもてなしが足りませんでしたか。これは失礼しましたわ。でも手ぶらの来客にはこの程度かもしれませんわね。」
「先生や美散のことは、すべてあんたが仕組んだことなのね?」
「仕組んだ?表現ぶりに棘がありますわね。経営計画と正確に言ってほしいですわ。魔導中央銀行の運営を任されている以上、手段を選びながら業務を推進しているのですから。」
「じゃあ聞くけど、体調を崩している生徒がたくさんいるのはなぜ?」
「そのことですか。それは奨学金のことですの?」
「奨学金?ずいぶんと社会貢献活動的な表現をするのね。とてもそんな風には思えないわ。アタシの感覚だと、ニセ札というのが適切じゃないかしら。」
「ニセ札とは人聞きの悪い言い方ですわね。これはあくまでお金に困っている生徒のために使っている、ある種の慈善事業なんですのよ。」
「慈善事業が、生徒の健康に悪いのはどういうことよ。」
「それは本物の魔法マネーではないので体に無理がいくことはあり得ますわ。でもよく考えてごらんなさい。魔法マネーがない人たちに貸与ではなく、奨学金なのでみんな喜んで使ってるんですのよ。こんなありがたい話は他にありませんことよ。」
「まったく理解できない理屈ね。じゃあ、生徒会長のメリットは何なのよ?」
「あなたの言うニセ札という表現は誤りですわ。生徒会では、『仮装通貨』と呼んでいます。かつて大流行した『仮想通貨』とは異なるものですわ。仮装通貨がちゃんと使えるのか実験を行っているのです。仮装通貨が使えれば、魔力を集めなくても人工的に魔力マネーを作ることができますわ。それまでは失敗作はいくらでてもいいのです。奨学金の対象は教師まで拡大していますわ。それは尊い犠牲なのですから。第一奨学金は返還不要ですわ。タダより高いものはありませんから、多少の体の不調は飲んでもらいませんと。ホーホホホッ。」
「完全に思考が腐ってるわね。仮装通貨というワード自体、ニセ札を彷彿とさせるネーミングじゃないの。」
「あらあら、そのことに気づいたということは、虫レベルの勘はあるようですわね。」
「完全にアタシをバカにしてるわね。そもそも、アタシを何のためにここに連れてきたのよ。」
「一本木さんも実験対象ですわ。萌江田先生の実験から、あなたは仮装通貨の副作用に耐えられる体であることが判明しましたわ。実にいいボディですわ。胸無し芳一ですけど。優越感製造マシーンとしても有効活用できますわね。ホーホホホッ。」
亜里栖の胸をじっと見つめる生徒会長。
「な、何よ。この毎年豊作な胸に文句でもあるの?」
亜里栖は胸を腕でしっかりと隠した。完全に隠れてしまうのが寂寥感を呼ぶ。
「そこまでやられると、イタズラしたくなりますわね。」
会長は自分の制服の胸元をはだけた。お椀型の特盛が白いレースのブラからはみ出している。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる