39 / 81
妹キター
しおりを挟む
侯爵からの返事はすぐにドゴンおっさんと妹が運んで来てくれた。
「リリちゃん、よろしゅうに。あては妖精王ウィン一族の長女でカリンや」
お、おばちゃんきた。
「まあ、よろしくね、リリアンです。お兄様達にはお世話になってるわ」
と言うとおばちゃんは「そやろ? 兄様は頭がええし、人間とも上手にやってける凄い妖精なんや!」
と嬉しそうに言った。
「あなたたち、本当に仲が良くてうらやましいわ」
「なんや、リリちゃん、兄弟はいてへんのか?」
「兄がいるけど、私は嫌われてたから馬鹿にされてよくいじめられたわ」
「う……ぐ……可哀想になあ、苦労しはったんやなぁ。おばちゃんに何でも言うてな……相談にのるからな」
おばちゃんて、自分で言ったわ。
「そんでな、これ、侯爵様からの手紙や、甘い甘い匂いするから、きっとらぶれたーってやつやで、ええなぁ、りりちゃん」
とカリンおばちゃんが封筒を渡してくれた。
「ありがとう」
侯爵家の事は私のいいようにと言ってくれた。だけど死霊王討伐については助力を断られた。
戦いの経験はないけど、私の持つ聖魔法が効果があるならば同行したいと申し出たのだが断られた。
王都には聖女なる方がいるし、教会に属する聖魔法師が大勢いるからという事だった。
それにS級の冒険者達も大勢参加するらしかった。
素人の私の出る幕ではないかもしれないが、死霊王討伐は不安しかなかった。
それでも侯爵がそう言うならば仕方ない。
まさか追いかけて行くわけにも行かないし。
だから私は私に出来る事を少しずつやっていこうと行動を始めた。
「なるほど、分かりました。ガイラス様からも言伝をいただております。奥様のいいようになさってください。教会の件は承りました。至急、業者を呼んで工事にかからせましょう」
とオラルドが言ってくれたので、頼もしい。
「ありがとう、お願いするわ」
書斎でそんなことを話していると、ようやく起き出してきたノイルが、
「工事だと? 何の話だ。私は何も聞いていないぞ」
と口を出してきた。
「デールの街の教会を修復する件ですわ。あの教会には孤児がたくさん面倒を見てもらっています。ですが寄付だけで賄うのは厳しい現状、領主としてそういう事業にも関わるべきですから建物を修復をするのですわ」
そう言うとノイルは、
「そんな事は必要ない。兄が留守の今、私が領主代理として教会修復など認めない」
と言った。
頭、おかしいのかな?
「あなたに仕えていたクラリスやコックも教会から来たのですよ? 今いる子供達にも彼らみたいに働ける場所を与え、未来へ導いてあげるのが領主の勤めではないのですか? 私の言ってること、分かります? 分からなかったらもう少し優しく言いましょうか?」
横でオラルドがぷっと笑った。
「うるさい!」
ノイルが手を振り上げて私を叩こうとした。
「その手をどうするおつもり?」
一瞬、腕を氷らせるか燃やすかしてやろうか、と魔力が高まってしまった。
「何かうまそうな魔力を感知したから来たんだけど」
と天井からアラクネがぴょんと糸にぶら下がって降ってきた。
「わああああ」
少しだけでかい赤い蜘蛛にノイルは悲鳴をあげて逃げて行ってしまった。
「全く、あの方がガイラス様とご兄弟なんて信じられないわ。まあいいわ、ガイラス様の許可はあるのだし、続けましょう」
「そうですね」
「リリちゃん、よろしゅうに。あては妖精王ウィン一族の長女でカリンや」
お、おばちゃんきた。
「まあ、よろしくね、リリアンです。お兄様達にはお世話になってるわ」
と言うとおばちゃんは「そやろ? 兄様は頭がええし、人間とも上手にやってける凄い妖精なんや!」
と嬉しそうに言った。
「あなたたち、本当に仲が良くてうらやましいわ」
「なんや、リリちゃん、兄弟はいてへんのか?」
「兄がいるけど、私は嫌われてたから馬鹿にされてよくいじめられたわ」
「う……ぐ……可哀想になあ、苦労しはったんやなぁ。おばちゃんに何でも言うてな……相談にのるからな」
おばちゃんて、自分で言ったわ。
「そんでな、これ、侯爵様からの手紙や、甘い甘い匂いするから、きっとらぶれたーってやつやで、ええなぁ、りりちゃん」
とカリンおばちゃんが封筒を渡してくれた。
「ありがとう」
侯爵家の事は私のいいようにと言ってくれた。だけど死霊王討伐については助力を断られた。
戦いの経験はないけど、私の持つ聖魔法が効果があるならば同行したいと申し出たのだが断られた。
王都には聖女なる方がいるし、教会に属する聖魔法師が大勢いるからという事だった。
それにS級の冒険者達も大勢参加するらしかった。
素人の私の出る幕ではないかもしれないが、死霊王討伐は不安しかなかった。
それでも侯爵がそう言うならば仕方ない。
まさか追いかけて行くわけにも行かないし。
だから私は私に出来る事を少しずつやっていこうと行動を始めた。
「なるほど、分かりました。ガイラス様からも言伝をいただております。奥様のいいようになさってください。教会の件は承りました。至急、業者を呼んで工事にかからせましょう」
とオラルドが言ってくれたので、頼もしい。
「ありがとう、お願いするわ」
書斎でそんなことを話していると、ようやく起き出してきたノイルが、
「工事だと? 何の話だ。私は何も聞いていないぞ」
と口を出してきた。
「デールの街の教会を修復する件ですわ。あの教会には孤児がたくさん面倒を見てもらっています。ですが寄付だけで賄うのは厳しい現状、領主としてそういう事業にも関わるべきですから建物を修復をするのですわ」
そう言うとノイルは、
「そんな事は必要ない。兄が留守の今、私が領主代理として教会修復など認めない」
と言った。
頭、おかしいのかな?
「あなたに仕えていたクラリスやコックも教会から来たのですよ? 今いる子供達にも彼らみたいに働ける場所を与え、未来へ導いてあげるのが領主の勤めではないのですか? 私の言ってること、分かります? 分からなかったらもう少し優しく言いましょうか?」
横でオラルドがぷっと笑った。
「うるさい!」
ノイルが手を振り上げて私を叩こうとした。
「その手をどうするおつもり?」
一瞬、腕を氷らせるか燃やすかしてやろうか、と魔力が高まってしまった。
「何かうまそうな魔力を感知したから来たんだけど」
と天井からアラクネがぴょんと糸にぶら下がって降ってきた。
「わああああ」
少しだけでかい赤い蜘蛛にノイルは悲鳴をあげて逃げて行ってしまった。
「全く、あの方がガイラス様とご兄弟なんて信じられないわ。まあいいわ、ガイラス様の許可はあるのだし、続けましょう」
「そうですね」
6
お気に入りに追加
1,252
あなたにおすすめの小説
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
聖女の取り巻きな婚約者を放置していたら結婚後に溺愛されました。
しぎ
恋愛
※題名変更しました
旧『おっとり令嬢と浮気令息』
3/2 番外(聖女目線)更新予定
ミア・シュヴェストカは貧乏な子爵家の一人娘である。領地のために金持ちの商人の後妻に入ることになっていたが、突然湧いた婚約話により、侯爵家の嫡男の婚約者になることに。戸惑ったミアだったがすぐに事情を知ることになる。彼は聖女を愛する取り巻きの一人だったのだ。仲睦まじい夫婦になることを諦め白い結婚を目指して学園生活を満喫したミア。学園卒業後、結婚した途端何故か婚約者がミアを溺愛し始めて…!
【完結】前世聖女の令嬢は【王太子殺害未遂】の罪で投獄されました~前世勇者な執事は今世こそ彼女を救いたい~
蜜柑
恋愛
エリス=ハウゼンはエルシニア王国の名門ハウゼン侯爵家の長女として何不自由なく育ち、将来を約束された幸福な日々を過ごしていた。婚約者は3歳年上の優しい第2王子オーウェン。エリスは彼との穏やかな未来を信じていた。しかし、第1王子・王太子マーティンの誕生日パーティーで、事件が勃発する。エリスの家から贈られたワインを飲んだマーティンが毒に倒れ、エリスは殺害未遂の罪で捕らえられてしまう。
【王太子殺害未遂】――身に覚えのない罪で投獄されるエリスだったが、実は彼女の前世は魔王を封じた大聖女・マリーネだった。
王宮の地下牢に閉じ込められたエリスは、無実を証明する手段もなく、絶望の淵に立たされる。しかし、エリスの忠実な執事見習いのジェイクが、彼女を救い出し、無実を晴らすために立ち上がる。ジェイクの前世は、マリーネと共に魔王を倒した竜騎士ルーカスであり、エリスと違い、前世の記憶を引き継いでいた。ジェイクはエリスを救うため、今まで隠していた力を開放する決意をする。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄された真の聖女は隠しキャラのオッドアイ竜大王の運命の番でした!~ヒロイン様、あなたは王子様とお幸せに!~
白樫アオニ(卯月ミント)
恋愛
「私、竜の運命の番だったみたいなのでこのまま去ります! あなたは私に構わず聖女の物語を始めてください!」
……聖女候補として長年修行してきたティターニアは王子に婚約破棄された。
しかしティターニアにとっては願ったり叶ったり。
何故なら王子が新しく婚約したのは、『乙女ゲームの世界に異世界転移したヒロインの私』を自称する異世界から来た少女ユリカだったから……。
少女ユリカが語るキラキラした物語――異世界から来た少女が聖女に選ばれてイケメン貴公子たちと絆を育みつつ魔王を倒す――(乙女ゲーム)そんな物語のファンになっていたティターニア。
つまりは異世界から来たユリカが聖女になることこそ至高! そのためには喜んで婚約破棄されるし追放もされます! わーい!!
しかし選定の儀式で選ばれたのはユリカではなくティターニアだった。
これじゃあ素敵な物語が始まらない! 焦る彼女の前に、青赤瞳のオッドアイ白竜が現れる。
運命の番としてティターニアを迎えに来たという竜。
これは……使える!
だが実はこの竜、ユリカが真に狙っていた隠しキャラの竜大王で……
・完結しました。これから先は、エピソードを足したり、続きのエピソードをいくつか更新していこうと思っています。
・お気に入り登録、ありがとうございます!
・もし面白いと思っていただけましたら、やる気が超絶跳ね上がりますので、是非お気に入り登録お願いします!
・hotランキング10位!!!本当にありがとうございます!!!
・hotランキング、2位!?!?!?これは…とんでもないことです、ありがとうございます!!!
・お気に入り数が1700超え!物凄いことが起こってます。読者様のおかげです。ありがとうございます!
・お気に入り数が3000超えました!凄いとしかいえない。ほんとに、読者様のおかげです。ありがとうございます!!!
・感想も何かございましたらお気軽にどうぞ。感想いただけますと、やる気が宇宙クラスになります。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
醜い私を救ってくれたのはモフモフでした ~聖女の結界が消えたと、婚約破棄した公爵が後悔してももう遅い。私は他国で王子から溺愛されます~
上下左右
恋愛
聖女クレアは泣きボクロのせいで、婚約者の公爵から醜女扱いされていた。だが彼女には唯一の心の支えがいた。愛犬のハクである。
だがある日、ハクが公爵に殺されてしまう。そんな彼女に追い打ちをかけるように、「醜い貴様との婚約を破棄する」と宣言され、新しい婚約者としてサーシャを紹介される。
サーシャはクレアと同じく異世界からの転生者で、この世界が乙女ゲームだと知っていた。ゲームの知識を利用して、悪役令嬢となるはずだったクレアから聖女の立場を奪いに来たのである。
絶望するクレアだったが、彼女の前にハクの生まれ変わりを名乗る他国の王子が現れる。そこからハクに溺愛される日々を過ごすのだった。
一方、クレアを失った王国は結界の力を失い、魔物の被害にあう。その責任を追求され、公爵はクレアを失ったことを後悔するのだった。
本物語は、不幸な聖女が、前世の知識で逆転劇を果たし、モフモフ王子から溺愛されながらハッピーエンドを迎えるまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる