【完結】転生したらいじめられっ子のヒロインの上に醜い死神将軍に嫁がされたんだが、聖女に匹敵するこの魔力は内緒でモブに徹したい。

猫又

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謁見終了

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 謁見の時間は無事終わり、国王とその一団がその場を退いても皇太子とルミカは不満そうな顔で突っ立ったままだった。
「皇太子様は侯爵様の素顔をご存じなかったのね。幼いころから騎士団に守られて自らも剣の手ほどきをうけられたでしょうに」
 と私はつい呟いたのだがそれを耳にした侯爵がふっと笑って、
「あなたのような箱入り娘にも私の噂が届いてますか。二目と見られない醜い男だと? そしてそれを承知で侯爵家へ嫁ぐとは噂通りの方だ」
「噂通りですか?」
「ええ、魔術師の家系で唯一魔力が発現せず、美しいが病弱で気弱な姫」
 侯爵の言葉には侮蔑が含まれていた。
 役立たずの娘を醜い侯爵へ押しつけ、その資金にあやかりたい伯爵家。
 そして親の言いなり黙って従う気弱でウジウジした娘。
 本当にね。もうマジ腹立つ。
「あなたの素顔が世間で言うところの醜い男ではなかったように、私も役立たずの娘でなければよろしいですけどね」
 とだけ私は言った。
「確かに伯爵家のお嬢様はいつも涙で潤んでいる瞳が美しいと聞いていたが」
「そうですわ、私、一年中、花粉症ですの」
 と言ったが、きっと意味が分からないのだろう、侯爵は首をかしげただけだった。
「では姫、次に会うのは大師堂で。私はまだ任務が残っておりますので」
 侯爵は丁寧に腰を下げた挨拶をし、私の手の甲に触れるか触れないかのキスをした。
「なんか食えそーにない人ね。早々に離縁してもらいましょっと」
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