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王家のいざこざ
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「ちょ、ちょっと何を仰ってるのか分からない……ですわ」
「私の言っている事が分からないのか? 存外、馬鹿なのだな」
ヴィンセント皇子は綺麗な顔で暴言を吐いた。
今、馬鹿って言った? この男! むかつくわ~~~
「い、いえ、仰ってる事は理解出来てますわ。でも私はつい数時間前まであなたの弟であるローレンス皇子の婚約者でしたのよ。婚約を破棄されたからといってすぐに次の、しかも兄上である第一皇子のヴィンセント様とだなんて、ありえないですわ」
ヴィンセント皇子は鼻先であたしのセリフを笑った。
「どうせ侯爵が決めた政略結婚だったのだろう? 相手が兄だろうが弟だろうが侯爵にはどちらでもいい話だ。ローレンスが伯爵家の娘を娶るのなら、私の相手はそれ以上でなければならない。それにあの魔女と対決するなら気骨のある娘がいいからな」
「魔女って……」
あああ、もうこれ以上は聞きたくない。
王家のお世継ぎのいざこざなんて関わり合いたくないよー。
魔女っていうのはローレンス皇子を次期国王に推すリベルタ王妃の事だろうな。
「知ってるだろう? 魔女は我が子のローレンスを国王にしたい。それには前妃の息子である私をどうにか追い落とさないと。情勢は五分五分、後は国王の胸先三寸。あの魔女の色気で骨抜きになっている国王を見れば、私には少しばかり不利な状況だ。私にはともに戦ってくれる戦友とも言うべき妃が必要だ」
馬車はごとごとと揺れながら侯爵家への道を走っている。
第一皇子であるヴィンセント様と彼を守る最強のグリンデル第一騎士団に周囲は守られている。密談には最適の空間だろう。
「ローレンスが国王になれば我が国は衰退の一途を辿るのは間違いない」
「まさか」
「母親に似て派手好き、浪費好きなローレンスが迎える妃はフォスター家の百年ぶりの白薔薇だぞ? 王家に嫁いだ白薔薇の無駄遣いは明らか。その前にローレンスにまともな政が出来るとも思えない。ローレンスがただの皇太子で白薔薇もただの皇太子妃ならそれでもいい、誰かが目を光らせていればすむ話だ。社交的で華のあるローレンスは外交には向いているしな。ただ国王になるとなれば話は別だ」
ヴィンセント皇子の言葉はずっしりと重かった。
そんな重い話に巻き込まないでくださいよー。
婚約破棄を口実にあたしはさっさと侯爵家なんておん出て、商売でもやろうかと決心していたところだったのにー。
「私の言っている事が分からないのか? 存外、馬鹿なのだな」
ヴィンセント皇子は綺麗な顔で暴言を吐いた。
今、馬鹿って言った? この男! むかつくわ~~~
「い、いえ、仰ってる事は理解出来てますわ。でも私はつい数時間前まであなたの弟であるローレンス皇子の婚約者でしたのよ。婚約を破棄されたからといってすぐに次の、しかも兄上である第一皇子のヴィンセント様とだなんて、ありえないですわ」
ヴィンセント皇子は鼻先であたしのセリフを笑った。
「どうせ侯爵が決めた政略結婚だったのだろう? 相手が兄だろうが弟だろうが侯爵にはどちらでもいい話だ。ローレンスが伯爵家の娘を娶るのなら、私の相手はそれ以上でなければならない。それにあの魔女と対決するなら気骨のある娘がいいからな」
「魔女って……」
あああ、もうこれ以上は聞きたくない。
王家のお世継ぎのいざこざなんて関わり合いたくないよー。
魔女っていうのはローレンス皇子を次期国王に推すリベルタ王妃の事だろうな。
「知ってるだろう? 魔女は我が子のローレンスを国王にしたい。それには前妃の息子である私をどうにか追い落とさないと。情勢は五分五分、後は国王の胸先三寸。あの魔女の色気で骨抜きになっている国王を見れば、私には少しばかり不利な状況だ。私にはともに戦ってくれる戦友とも言うべき妃が必要だ」
馬車はごとごとと揺れながら侯爵家への道を走っている。
第一皇子であるヴィンセント様と彼を守る最強のグリンデル第一騎士団に周囲は守られている。密談には最適の空間だろう。
「ローレンスが国王になれば我が国は衰退の一途を辿るのは間違いない」
「まさか」
「母親に似て派手好き、浪費好きなローレンスが迎える妃はフォスター家の百年ぶりの白薔薇だぞ? 王家に嫁いだ白薔薇の無駄遣いは明らか。その前にローレンスにまともな政が出来るとも思えない。ローレンスがただの皇太子で白薔薇もただの皇太子妃ならそれでもいい、誰かが目を光らせていればすむ話だ。社交的で華のあるローレンスは外交には向いているしな。ただ国王になるとなれば話は別だ」
ヴィンセント皇子の言葉はずっしりと重かった。
そんな重い話に巻き込まないでくださいよー。
婚約破棄を口実にあたしはさっさと侯爵家なんておん出て、商売でもやろうかと決心していたところだったのにー。
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