4 / 58
誰にも視えないモノ
しおりを挟む
自分の席の方へ戻ろうとした桜子の背中に赤狼の声が追いかけてきた。
「簡単に再の気をたれ流してたら、すぐに自分が的になるぞ」
桜子ははっと振り返った。
「どういう意味? 赤狼君、あれが視えていたの?」
「そこら中にいるな。だから人間の多い所は嫌いなんだ。すぐに沸いて出やがる」
と赤狼が言った。
人間が嫌いなのかしら? そういえば田舎から来たって言ってたっけ、と桜子は思った。
「手で潰すなんて凄いわね。動物霊といえ素手でやっつけるなんて、土御門の人でもなかなかやらないわよ」
「何をやらないって?」
赤狼と桜子の間に割って入った生徒がいた。
「土御門君……」
同じクラスの生徒の土御門潔だった。
銀縁メガネをかけきっちりとした七三ヘアーで、ネクタイもびしっとしめ、ブレザーのボタンもきっちりと留めている優等生風の男子生徒だった。
「土御門が何だって?」
「別に……」
と桜子が言いかけるのを潔は遮って、
「君に土御門を語られたくないな。君は土御門姓とはいえ門外の人なんだし。君、赤狼君、土御門に興味があるならこんな枝の末端の人間に聞かずに,僕みたいな本流の土御門に聞いた方がいいよ」
と言った。
「末端?」
「そうだよ、彼女は一応土御門姓を名乗ってるけどね、土御門の血は半分だしそもそも霊能力なんて皆無の人だから」
そう言った潔に赤狼は少しだけ驚いたような顔をして、そして桜子を見た。
「まあ、そういう事。私、本当に土御門の事はあまり知らないのよ」
と桜子はそう言って笑った。
「君は土御門を名乗るべきじゃないと思うんだけどね。なぜ本家が君を許して、この学園に通わせているのかも見当がつかないよ。一般人の君が土御門を名乗るだけでも罪だと思うんだけどね」
ふふん、という風な顔で潔は赤狼と桜子を見た。
「おいおいおいおいちょっと待て。本気で言ってるのか?」
と赤狼が言った。それに対して潔は、
「そうだが?」
と答えた。
「そろそろ授業が始まるわ」
と桜子が言った瞬間にチャイムが鳴ったので、
「赤狼君も何かあったら、僕に相談するのがいいよ。僕は中等部総括の愛美さんに次いで地位をいただいてるからね」
と言い潔はさっと自分の席へ戻った。
一番後ろの席へ戻りながら赤狼が、
「中等部総括って?」
と聞いてきたので桜子は、
「幼稚舎から大学部までそれぞれの学部での土御門の人間を総括する代表者がいるのよ。多分、霊能力の強い順で地位が決まるんじゃないかな。中等部は一組の土御門愛美さんって人よ」
「簡単に再の気をたれ流してたら、すぐに自分が的になるぞ」
桜子ははっと振り返った。
「どういう意味? 赤狼君、あれが視えていたの?」
「そこら中にいるな。だから人間の多い所は嫌いなんだ。すぐに沸いて出やがる」
と赤狼が言った。
人間が嫌いなのかしら? そういえば田舎から来たって言ってたっけ、と桜子は思った。
「手で潰すなんて凄いわね。動物霊といえ素手でやっつけるなんて、土御門の人でもなかなかやらないわよ」
「何をやらないって?」
赤狼と桜子の間に割って入った生徒がいた。
「土御門君……」
同じクラスの生徒の土御門潔だった。
銀縁メガネをかけきっちりとした七三ヘアーで、ネクタイもびしっとしめ、ブレザーのボタンもきっちりと留めている優等生風の男子生徒だった。
「土御門が何だって?」
「別に……」
と桜子が言いかけるのを潔は遮って、
「君に土御門を語られたくないな。君は土御門姓とはいえ門外の人なんだし。君、赤狼君、土御門に興味があるならこんな枝の末端の人間に聞かずに,僕みたいな本流の土御門に聞いた方がいいよ」
と言った。
「末端?」
「そうだよ、彼女は一応土御門姓を名乗ってるけどね、土御門の血は半分だしそもそも霊能力なんて皆無の人だから」
そう言った潔に赤狼は少しだけ驚いたような顔をして、そして桜子を見た。
「まあ、そういう事。私、本当に土御門の事はあまり知らないのよ」
と桜子はそう言って笑った。
「君は土御門を名乗るべきじゃないと思うんだけどね。なぜ本家が君を許して、この学園に通わせているのかも見当がつかないよ。一般人の君が土御門を名乗るだけでも罪だと思うんだけどね」
ふふん、という風な顔で潔は赤狼と桜子を見た。
「おいおいおいおいちょっと待て。本気で言ってるのか?」
と赤狼が言った。それに対して潔は、
「そうだが?」
と答えた。
「そろそろ授業が始まるわ」
と桜子が言った瞬間にチャイムが鳴ったので、
「赤狼君も何かあったら、僕に相談するのがいいよ。僕は中等部総括の愛美さんに次いで地位をいただいてるからね」
と言い潔はさっと自分の席へ戻った。
一番後ろの席へ戻りながら赤狼が、
「中等部総括って?」
と聞いてきたので桜子は、
「幼稚舎から大学部までそれぞれの学部での土御門の人間を総括する代表者がいるのよ。多分、霊能力の強い順で地位が決まるんじゃないかな。中等部は一組の土御門愛美さんって人よ」
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
月華後宮伝
織部ソマリ
キャラ文芸
【10月中旬】5巻発売です!どうぞよろしくー!
◆神託により後宮に入ることになった『跳ねっ返りの薬草姫』と呼ばれている凛花。冷徹で女嫌いとの噂がある皇帝・紫曄の妃となるのは気が進まないが、ある目的のために月華宮へ行くと心に決めていた。凛花の秘めた目的とは、皇帝の寵を得ることではなく『虎に変化してしまう』という特殊すぎる体質の秘密を解き明かすこと! だが後宮入り早々、凛花は紫曄に秘密を知られてしまう。しかし同じく秘密を抱えている紫曄は、凛花に「抱き枕になれ」と予想外なことを言い出して――?
◆第14回恋愛小説大賞【中華後宮ラブ賞】受賞。ありがとうございます!
◆旧題:月華宮の虎猫の妃は眠れぬ皇帝の膝の上 ~不本意ながらモフモフ抱き枕を拝命いたします~
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる