孤独の魔女と独りの少女

徒然ナルモ

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四章 栄光の魔女フォーマルハウト

71.孤独の魔女と想うその横顔

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ニコラス・パパラチア…年齢不詳の男性、黒肌と黒い髪が特徴的、元デルセクト連合軍 司令官、趣味は男漁りと男を口説く事…所謂男色家であり、その節操のなさは天下一品…しかし同時に男を落とす手練手管は見事であり、彼の手にかかれば 彼に嫌悪感を抱く者でも容易に褥へ引きずりこむ事が出来る

美貌 実力 知識 全てを兼ね備えたほぼ完璧に近い男…エリスが知る限りの情報を並べればニコラスという男に欠点という欠点は見受けられない

ただ一つ、謎が多いという一点を除けば

「さてと、ザカライア君に頼まれたんだし しっかり宿を探しておかないとね、ディスコルディア君?」

「はい、参りましょうか」

エリスは今 ザカライアさんの指示によりこのアンスラークスという街ニコラスさんと共にで宿を探す事と相成った、ちょうど良い機会…この人と二人っきりで行動することなどなかったから この人の事を理解するには絶好の時間

エリスは未だ ニコラスさんのことを表面上でしか知らない、メルクさんは昔の恩から彼に絶大な信頼を寄せているが、エリスはどうにも 彼のことを信用しきれないでいる…

よくないことだ、彼は好意と善意でエリス達に協力してくれている…それを疑ったり 勘繰ったりするのは とてもよくないこと、だからこそエリスは彼を信用したい…

「ニコラスさんはこの街のことを知っているんですよね?、懐かしいって言ってましたし」

「ええ、昔ね この街に住んでた時があったの、と言っても腰を落ち着けてたわけじゃないわ、…アタシ いろんな街を転々としてたの、この街はその転々とした時住んでた所の一つって程度で 思い入れがあるわけじゃないわ」

「転々としてたんですか?、何故…」

「アタシを巡って男達が争ったり アタシを自分のものにしようと元カレが襲いかかってきたり、色んなトラブルが起こる都度 逃げるように住む場所を変えてたの、…色んな所で色んな男の人を抱きすぎたせいかしらね」

痴情の縺れ というやつか、エリスにはよくわからないけど 肉体関係というものは拗れると面倒だと師匠も語っていた、ニコラスさんに取っては一日一夜 一人一度の関係でも…相手にとっては違う場合もある、彼はそんな問題は逃げ回っているのだ…

…真摯な態度とは言えないな

「なんで、そう 色んな人を抱くんですか?」

「え?、なんでって?」

「だって ニコラスさん、男の人が好き とは言ってもそれはつまり男の人とまぐわるのが好きってことではないですよね、でもニコラスさんは毎日のように男の人を口説いてる…なんでですか?」

「意外に鋭いのね…」

だってそうじゃないか、別に女が好きでも男が好きでも それはイコール肉体関係に結びつくわけじゃない、メイナードさんだって女性が好きだが 女性を寝床に連れ込んでいるという話は聞かない、つまり それとこれとは別問題ということだ

「…話したくなければ、別にいいですが」

「いいわよ、別に隠すことでもなし……、忘れるためかしらね」

「忘れる?ですか?」

「昔好きだった人のことを、アタシが どうやっても靡かせる事が出来なかった彼の横顔を、忘れたくて忘れたくて仕方がないの…そんな八つ当たり地味た感情を色んな人にぶつけるのは良くない事だって理解してるんだけれどね」

そう語るニコラスさんの顔は 初めて、感情的になっているように見えた…忘れる為に抱く 忘れられないから抱く、あらゆる男を手玉に取っても…愛するただ一人を想い続ける限りその渇きは癒える事はないだろう

「凄いですね、ニコラスさんに落とせない男の人がいるなんて」

「彼は凄いわよ…まぁそれ以上に彼の感情を裏切りたくなかったのかもしれないけれどね、彼は俺…アタシのことを数少ない友達として見てくれていたから、彼の友情を裏切れなかった、彼の前じゃあどうにも奥手でねぇ」

いやになっちゃうわ そう語る間にもきっと、その『彼』の事を想っているんだろうな、だってニコラスさんの顔が 未だ嘗てないくらい朗らかなんだから

「彼は…最初から魔女の背中しか追ってなかった、アタシは彼の後ろに立てても 向かい合うことは出来なかった、…だって 友達だから」

「友達…ですか」

「貴方も、もしそういう愛する人ができたなら 勇気を出して前に進む覚悟を持ちなさい?、今のままの関係でいい なんて考えも浮かぶかもしれないけれど、そんな甘えた気持ちに寄りかかっていたら きっと一生後悔するから」

彼はそれ以上言葉を紡がなかったが、きっと口が動いていたら『だってアタシがそうだから』なんて言っだだろうな、愛する人か…浮かんでくるのはラグナの顔…愛する人、なのか? 分からない エリスにはまだ…

「すみません、私にはまだ難しいです」

「あはは、まだ貴方には早かったかしら?こういう話はもう少し大きくなってからにしないとね!」

「はい、もしその時が来たら ニコラスさんに相談しますね」

「ええ、男を落とす方法ならいくらでも知ってるからね、じゃあ…宿を探す、前に 一つ寄り道していかない?」

「寄り道?ですか?」

「そう時間はとらせないわ、ささ 行きましょう」

そういうとニコラスさんはエリスの手を取り 進んでいく、寄り道なんてしていてもいいのだろうか…いやいいか、うん いいことにしておこう なんて心の中で言い訳しながらニコラスさんに身を委ねる

「所でどこに行くんですか?」

「言ったでしょ、お洒落な小料理屋があるって …そこで会いたい人もいるし、ちょっと寄って行きましょう」

ああ、そう言えばここにくる前にそんなこと言ってたな 、小料理屋か…大丈夫かな、いや心配なのはお金のことだ…デルセクトの料理は高い べらぼうに高い、品質や味を問わず よその国の5~6倍の値段がする…それはきっとこの国でも変わらない

そんな心配をよそにニコラスさんはぐんぐん進んでいき、一つ 小さな店の前で立ち止まる、掲げられた看板の名は『ピジョンブラッド』…ハトの血? なんだそら

「ここよ、この店がアタシの目的地…よかったぁ 潰されてなくて」

「潰れるじゃなくて潰れ『される』ですか?」

「本当に鋭いわね、まぁその辺は中に入れば分かるわよ」

なんて会話も程々にニコラスさんは店の扉に手をかけ

「お邪魔するわよ、開いてるかしら?」

「はい、大丈夫ですよ…ってニコラスさん!?帰ってこられたんですか!?」

店の中には疎らな客と 若い…20代後半くらいの男性 おそらく店主と思わしき人物がおり、そんな彼がニコラスさんの名を呼び歓迎する

「ルベウス、久しぶりね」

「ニコラスさんこそ!、ああよかった 無事だったんですね!」

ルベウス…そう呼ばれた店主は嬉しそうに色々放り出してニコラスさんの元までかけてくる、特徴的なのはやはり彼の髪色だろうか、看板に掲げられたハトの血 なんて言葉を思わせるくらいには彼の髪は赤い…が

エリスが思い浮かべたのは血なんかじゃない、あの髪色は…紅炎婦人セレドナを思わせる、そんな赤だ

「紹介するわね、彼はこのピジョンブラッドの店主ルベウス…アタシの昔の恋人よ」

「昔なんてつけられた寂しいですが、まぁ実際そうですね…もう三年も前の話ですし、何よりニコラスさんに僕は迷惑をかけましたから…」

「迷惑なんてそんなことないわ、アタシが好きでやったことだしね、ただまぁ ケジメとしてね…」

「……なるほど、ニコラスさん この店主さん…以前言っていた セレドナさんの息子さん、ではないですか?」

ニコラスさんが昔抱いて そして問題になったと言われる カルブンクルス家の王族、年齢からしておそらく息子の方だろう…、なんというとルベウスさんは目を丸くして

「へぇ、聡明なんですね…君が今のニコラスさんの恋人かな?」

「い いいえ!違います!」

「ああ…ルベウス、勘違いしないで 彼は彼じゃないの、事情があってこんな格好してるけど…実際は女の子なのよ、周りには秘密だけれどね?」

なんか危うく変な勘違いをされる所だった、危ない危ない…だってルベウスさん、穏やかな顔しつつも若干嫉妬の混じった顔してたんだもん、まだこの人ニコラスさんのことを諦めてないな…

「そっか、なるほど …ご明察の通り 僕の母はあの紅炎婦人セレドナだよ、まぁもう親子の縁は切られてるんだけれどね」

「だからこんな所で店を?」

「ああ、ニコラスさんとの関係がバレて…セレドナに王宮を追い出されてね、行く宛がない僕にニコラスさんがこの店を紹介してくれてね、今は先代の店主から店を継いで僕が店主をやってるんだ」

なるほど…しかし一国の王子だった男が 場末の店の店主とは、酷く零落したものだ…とは言わないほうがいいだろう、、本人もあまり気にしてないみたいだし

「それで、今日は久々に僕の顔を見に来た…ってわけじゃないんですよね、もう会うことはない なんて言ってたニコラスさんが態々会いに来たわけだし」

え?いやただご飯食べに来ただけなんだけど…、いや ニコラスさんは殆ど強引にエリスをここに連れてきた…きっと何かあるんだろう

「そうね、取り敢えず個室を一つお願いしてもいいかしら?あまり聞かれたくない内容だから」

「分かりました、では 奥に席を作りますね」

そういうとルベウスさんはエリス達を店の奥…普段はあまり使われていないであろう裏方の個室にエリス達を通してくれる、ただの小料理屋ならいざ知れず…セレドナさんの息子が経営する店に連れてきたんだ…一体どれほどの用が…




そうして エリスとニコラスさんはルベウスさんによって、個室へと招かれた 普段使われていないのか、少し埃臭く 部屋には机と椅子しかないという殺風景なものだ、だが…これなら周り聞き耳を立てられる心配もない、内緒話にはもってこいだ

エリスとニコラスさんは椅子に着き、そこに向かい合うようにルベウスさんが座る

「あの、ニコラスさん…それで、今からここで何の話をするんですか?」

ルベウスさんと向かい合う、この空気はもう何か重要なことについて話すのは明白だ しかし何の話をするかもエリスは聞かされてない、このまま聞かされてもエリスは話についていけない、そろそろ説明してくれてもいいだろう

「んー?、いやね?これからアタシ達はセレドナに疑いの目を向ける…でも、セレドナのことを何にも知らないで ただ疑うってのは良くないと思わない?」

「そりゃ、確かにそうですね…不理解のままただ疑いの眼だけ向ければ 白も黒に見えてくる、公正とは言えませんね」

「でしょ?、だから…セレドナをよく知る人物に、聞こうじゃないの セレドナがどんな人間か」

「なるほど、それで僕に…まぁ僕ならセレドナの表の顔も裏の顔も知ってますからね、事情はよくわかりませんが、それでニコラスさんの助けになるなら話しましょう」

そして ルベウスさんによって 紅炎婦人セレドナがどういう人物なのか どういう価値観を持つ人間なのかが語られ始めた…

はっきり言いましょう、エリスはあまりセレドナにいい印象を持っていません、あの翡翠の塔での傲慢な態度 ザカライアさんの語った傲慢で強欲だという人柄 、セレドナという名前から紐付けられる情報はどれも良いものではない…

「僕が言えた義理じゃないかもしれませんが、セレドナは立派な人物です」

が、しかし ルベウスさんの語るセレドナは若干違った むしろ彼は親子の縁を切られ家を追い出されたというのに、それでもセレドナという人物を尊敬してさえいるような口ぶりをしてみせたのだ

「元々セレドナは 他国 それもデルセクトとは一切関係ない小国の騎士の家に生まれた一人娘だったと言います、それが騎士の父と偶然出席した国賓を招くパーティの場でアンスラークスの王子 僕の父と出会い惹かれあったのが 彼女の王族婦人としての人生の始まりでした」

セレドナは騎士として働く父同様、役目を重んじ立場に準じた態度を取る生真面目な人間だったそうだ、それは大国の盟主 カルブンクルス家に嫁いでも変わらなかった、彼女は徹底して己を殺し 妻として夫であるアンスラークス王に尽くし、煌びやかな衣装も纏わず旦那を立て 時に自らの貯蓄を切り崩し王宮を支え 滅私奉公に殉じていたそうだ

…エリスが抱いている印象とはだいぶ違う、なんかこう 理想の盟主 いや理想の王妃だ

「セレドナは厳しい人でした、僕を立派な王にするためにあれこれと教育をして…若干自分の価値観が正しいと思い過ぎる面はありますがね、僕の自由意志なんてまるで無視して…酷い時は一週間部屋から出してもらえず ずっと勉強をさせられた時もありました」

セレドナは次期国王の育成も自らの仕事と猛鞭を振るいルベウスをキツく育てあげたという、…その反動で彼は背徳感へ異常なまでの憧れを持ってしまったそうだが…

確かに王妃としては真面目と言えるが…母としてはお世辞にも良い母ではなかったようだが

「しかし、真面目に王と国に尽くす母とは違い僕の父 当時のアンスラークス王 ガイウスは王としては少し不真面目な方でした、アンスラークスに尽くす母とは真逆に父はデルセクトの外の世界にばかりかまけ不必要に遠征に出かけたり、無断で国外へ出て行ったりと…城と国を母に任せ…自分勝手に過ごしていたんです」

父 ガイウスは王としては不真面目…そう聞いて抱く印象は『だろうな』一言、だって出先で出会った騎士の娘なんかと結婚しちゃうんだ、真面目なら もっと良家のお嬢様と結婚するだろうし

しかし、不真面目でロクに国を運営しないガイウスに代わって セレドナは懸命に国を支えた、文句も何も言わず ただ黙々と…そして事件は起こる

…外を出歩いていたガイウスは ニコラスさんと出会い、一夜を共にした…身分を隠してニコラスと 男と一夜を共にしたガイウス、まぁそれだけならば良かったろう 王族が男を抱く事など珍しくもない…だが 問題はここからだ

「ニコラスさんと出会い 一夜を共にして彼に魅了された父はニコラスさんと一緒になる為に、王の座を捨て 彼についていく…そう口にしたんです」

「王の座を捨て…ですか?」

「ガイウスはね、自分の地位 国王としての座を煩わしく思ってたみたいなのよね、だから逃げるように国外で遊んでいたし、自分がいなくてもセレドナが国をまとめている姿を見てより一層 自分の必要性を感じなかったみたいなの…、ベッドでそんなこと口走ってたわ」

ただ王族に生まれた それだけの理由で国に縛られ役目に縛られ自由に生きることさえ許されず、ただ永遠に王族として生きる その在り方はガイウスにとっては苦痛だった、そこに現れたニコラスという存在 王族としてではなくガイウスとして愛してくれる彼にガイウスは魅了され…

自分がいなくても国が回るならもう王族をやめる そうセレドナの前で口にしたそうだ…

そして

「初めて見ました、あそこまで激怒した母は…『王をなんだと思ってる 国をなんだと思ってる、仕事を 使命を 役割を 臣下を 国民を お前はなんだと思っている』と、今まで文句をも言わずに尽くしてきたのはお前が王だからだと、その役目を捨てるならお前はもうこの国の王をですらない…そう叫んで母は父を殴り飛ばし 父の名を王族から消し去り…僕を新たな国王に据えようと母はしました…けど」

けど、残念かな ガイウスだけでなくルベウスもまた父と同様、生まれた瞬間から定められてきた使命に苦痛を覚え…ニコラスさんへと逃げた

…セレドナは激怒した、激怒なんてレベルじゃない狂怒だ ルベウスもガイウス同様セレドナによって王宮を叩き出されてしまったらしい、この時の様子をルベウスが詳しく語らない辺り…とんでもない事になっていたんだろうな

「こうして 王も王子も失ったカルブンクルス家はセレドナを正式に盟主に据え、彼女は紅炎婦人と呼ばれるようになったんです、それからですかね 周りに敵愾心を振りまくようになったのは もはや誰も信用しないと言い出すようになったのは」

そして今に至ると…セレドナのあの嫌味ったらしい態度は そうした経緯もあり、歪んだ結果なのかもしれない…

なるほどね、セレドナはただただ嫌な人物というわけじゃないのか…悪人か善人か この話だけ聞いて判別はできないが、取り敢えず言えるのは

「ニコラスさん、最低ですね」

「言わないでよ、反省してるんだから…」

この騒動の中心にはニコラスさんがいる、というか全部ぶっ壊したのはニコラスさんだ、いやまぁニコラスさんは彼らが王族だと知らずに抱いたらしいし 、ガイウスもルベウスも自分の役目から逃げる口実にニコラスさんを使ったとも見れる

でも ニコラスさんが節操なく抱き散らしてなければこうはならなかったのでは…

「…ルベウスが王宮を追い出された日に、アタシもセレドナに呼び出されてね 罵倒されたわ、『お前が全部台無しにした 妾が愛する国をめちゃくちゃにしたのはお前だ』ってね、セレドナがアタシに対して怒ったのは自分のプライドや面子を潰されたからじゃない…王族として国家を危機に追いやった存在に対して 正当な怒りをぶつけただけなのよ」

「でも、セレドナは外国の出身なんですよね、なのになんでそこまでアンスラークスに…」

もしかしたら 今も故郷の国とつながっている可能性がある、というか 彼女がそこまでアンスラークスに入れ込む理由がない、嫁ぎ先と故郷 二つを天秤にかけたら流石に故郷が勝るのではないだろうか

「多分だけれど…使命半分 愛半分、彼女はこのアンスラークスという国を愛し 婦人としてできることを全てやろうとしていた、どこの出身とか血統とか関係なしにね、彼女はもう、魂の底までアンスラークス人なのよ」

「ここに嫁いで来る際、セレドナは両親と縁を切ってきたそうですよ、もしアンスラークスで何かあっても もう故郷に戻るつもりはないと、なので僕は母方の祖父祖母に会ったことはおろか 名前さえ教えてもらってないですね」

それはまた…随分と覚悟が決まっているというか、例え王宮を追い出されてもアンスラークスに骨を埋める気だったということか、うーん セレドナという人物のことがますますわからなくなった

ただ悪事の為だけにマレフィカルムと組むような人ではなさそうだが、逆に国の安定のためならなんでもしそうな印象を受ける…それこそ 反対派の貴族達を薬を使って弱体化させアンスラークスを平定するとか、しそうじゃないか?

「…母が、セレドナが何をしたかは知りません、ですが一つ言わせてください 父が政権を握っていた頃よりセレドナが玉座に座ってからの方が、この国は美しく豊かになったのは事実です…アルマース家やスマラグトス家にナメられないくらい 強い国にしたのはセレドナなんです、そこだけは 覚えておいてください、彼女はカルブンクルス家始まって以来の 理想の女王なんですね」

それだけ言うともう話は終わりだと言わんばかりにルベウスは席を立ち、脇に置いておいたエプロンを再び身につける…

「僕に話せるのはこれくらいです、…それじゃあニコラスさん 頑張ってくださいね」

「ええ、任せて…次はちゃんとご飯食べに来るわね」

え?、今食べないの?…しかしもう話はお開きムード 今更駄々もこねられまい、ルベウスさんは慌ただしく駆けていき 仕事へと戻っていく、個室にはエリスとニコラスさんだけを残し 再び静寂が場を満たす…

「どう?、セレドナっていう人物のこと 少しでも理解できた?」

「うーん、はっきりと首を縦には振れないですね」

結局 セレドナがどう言う人間なのか、エリスははっきり理解できたかと言われたら怪しい部分がある、だが…まぁ 知っているのと知らないのではきっと違っただろうな とは思う

「そう、…アタシはあの時 セレドナがアタシを責め立てる時の顔を見て、反省した…男を抱くことを反省したんじゃない、国という巨大な物を支えようとする者 その邪魔をしてはならないと」

「国を支える者、…それってつまり」

「ええ、アタシがメルクちゃんを支える理由の一つよ、セレドナの時の過ちを繰り返さない為にも 今度は邪魔するんじゃなくて 国を支えようとする者を支えようと決意したの、メルクちゃんの手伝いをするのもその一環かしら」

しみじみと語るニコラスさん、なるほど そういうことか、この人が国を変えたいと言った理由が この人がメルクさんについてきた理由ようやくわかったと思いつつ、…エリスは一人考える…この人はエリスを侮っている、それとも忘れているのかな

ルベウスさんはニコラスさんとの一連の騒動を『三年前』と言った、メルクさんがニコラスさんに見初められ軍に入隊したのが大体『五年前』

矛盾する、セレドナさんの時にデルセクトを支える決意を固めたんじゃ遅すぎる、少なくともニコラスさんはメルクさんと出会ったその時には既にデルセクトを変える為に動いていた

嘘をついている?…ようには見えない、いや待て…つまりセレドナの一件でデルセクトを変えよう守ろうと思ったのは事実、メルクさんを軍人にしデルセクトを変えようと思ったのは『守るとは別の目的の為』…だというのなら筋は通る

ならなんだ、何のためにこの人はメルクさんを軍人にしたんだ…分からない、余計何もかもが分からなくなった

「……ニコラスさんは、このデルセクトという同盟を守りたいんですよね?」

「ええ、メルクちゃんと同じ意味でね、そこは信用してくれて構わないわよ」

「ですよね、すみません…」

分からない、何を考えているか 分からないが、この人がメルクさんと同じデルセクトの栄光のために戦っているのは事実なんだ、なら変な疑いを持つのはやめよう むしろこの件を変に突き回してニコラスさんとの関係が悪化する方が良くない

この事は、エリスの胸の中に留めておこう

「さて、じゃあそろそろ宿の方を取りに行きましょうか、ザカライア君とメルクちゃんに怒られるとは嫌だしね」

「そうですね、特にザカライアさん辺りはうるさそうです」

そう言うとニコラスさんは服についた埃を払い立ち上がる、この話 この一件がエリスに何をもたらしたのかは分からない、でも エリスはセレドナさんを疑念で曇った目で見る事はないだろう

セレドナの話を反復しながらエリスも立ち上がり…ピジョンブラッドを後にする


…………………………………………………………


それから数時間後、大通りの角に宿を見つけ エリス達はとりあえずそこで過ごす事となる、かなり長く開いているのか 店構えや看板は傷がついたり古ぼけている…だが悪い古さじゃない、これは味の乗った良い古さ 歴史を感じさせるそれは暖かみさえ感じる

エリスが今まで見た宿より一回り大きく 見た目の古さとは裏腹によく掃除が行き届いている、エリスが品評するに上の下と言ったところだ
スマラグトス王国での反省を活かしある程度値段が高くても少し良質な宿を取ることを心がけた結果 エリスとニコラスはこのお宿に宿泊することに決まった

一部屋ベッド二つなので 必然的に二部屋取ることになった、ザカライアさんとエリスが床で寝れば解決するだろうそう言うわけにもいかないので二部屋だ

そして、待ち合わせ場所で待つ ザカライアさんとメルクさんを迎えに行ったのだが……

「ったくどう言うセンスしてんだよ!お前!」

「どう言うって こう言うセンスです!」

なんか ザカライアさんとメルクさんが喧嘩してた…、街のど真ん中…エリス達が待ち合わせ場所に指定した広場の一角で怒鳴り声をあげながら言い合いをしている 、ザカライアさんはともかくあのメルクさんも喧嘩に応じてる辺り 事は重大そうだ

「あ あの、二人とも?どうされたのですか?」

「お?おう、エリ…じゃなかった ……えっと…執事!来たか!」

ディスコルディアだよ、さてはザカライアさんエリスの偽名覚えてないな、エリスが声をかけると一旦喧嘩を中止し こちらに注意が向くが、未だムードは険悪なままだ…メルクさんも腕を組み機嫌悪そうに唇を尖らせている

「宿は取れたか?」

「はい、いい奴が…それで どうしたんですか?喧嘩なんて」

「どうしたもこうしたも、メルクの奴 俺と一緒にパーティに必要な服を選んでたらよ、おっかしな服ばっかり選びやがるんだ」

「何もおかしな服など選んでいません、ザカライアさんこそ地味な服ばかりお選びになるので進言したまでです」

「あのな!地味でいいんだよ!俺達ぁパーティの主役じゃねぇんだからド派手な服着てく必要はないんだよ!、最低限の礼儀が守れてばいいの!」

なるほど、二人はその服飾のセンスの違いからぶつかり合ってしまったようだ、思えばメルクさんは貧乏暮らしの堅物軍人 ザカライアさんは生まれながらの王族、二人のセンスの違いは著しいだろう…

だがこの手のパーティはザカライアさんの方が慣れている、ザカライアさんメインで選んだ方が上手くいくだろう、が…エリスはメルクさんの執事 メルクさんのフォローを欠かしてはいけない、メルクさんの選んだ服をエリスが褒めそれでこのケンカはある程度軟化するだろう


「そうだったんですね、…メルクさんはどんな服を選んだんですか?」

「ピンクと…黄色のシマシマのやつ、ここら辺にキラキラがついてる」

「え…」

ダッサ…なにそれ、どんなセンスしてるんですかメルクさん、派手というよりはクレイジーだろその格好は

「アホか!俺達は大道芸人かよ!」

「でもそんな黒一色の服とかよりはオシャレかと」

「フォーマルって言うの!こう言うのは!」

「そんなお葬式みたいな…」

「馬鹿みたいなのよりはマシだろ!」

こればかりはザカライアさんに感謝せねばなるまい…、思えばメルクさん 一日中軍服で過ごしているが故に服を選ぶ事があまりなかったのだろう、なんて言い訳をするがそのセンスはおかしいよ 天性のものだ、危ない危ない…そんな服着てパーティに行ったら笑い物どころか変質者扱いを受けるところだった

「ま …まぁまぁメルクさん、ここはこう言うパーティの場に慣れているザカライアさんにお任せする方がいいですよ、きっと」

「そうか?、…だが 君に少しでもおしゃれな格好をしてもらいたくて」

エリスに着せる気だったんですか!?その訳わかんない服!?、よかった 本当に良かった…口では『ありがとうございます』と返せたが、エリスの顔はきっとこれ以上ないくらい引きつってたろう…

自分の服飾のセンスを貶され若干不貞腐れ気味のメルクさんと呆れ果てたザカライアさんを引き連れ、宿に向かう 道中必死にメルクさんのフォローをしながらまぁなんとなく事なきを得ることが出来た…

ザカライアさん曰く 『俺のお供としてパーティに行くなら恥にならねぇ程度の格好と、其れに見合ったマナーを身につけろ』と仰られるのだ、お前はマナーを守れるのかとは言ってはいけない 彼は五大王族、パーティを開いた回数も招かれた回数もそんじょそこらの貴族とは比にならない…こう言う場面では熟練の経験者としてエリス達を指導してくれる

……宿の部屋に戻り、エリス達は皆で小さなテーブルを囲む と言っても人数分の椅子はないのでメルクさんとザカライアさんは椅子に ニコラスさんとエリスはベッドに座りながら話を伺う

話、というよりは会議だ なんの打ち合わせもなしにとりあえずセレドナのパーティに行って なんの収穫もなし じゃあ折角のチャンスを活かせない、故に事前に打ち合わせをしておく


「パーティの場にゃ五大王族を含め各国の有力な商人やら貴族が集まる、お前らは一応俺のお付きとしてパーティに参加することにはなるが、変なことして目立てば動きづらくなることに変わりはねぇ…マナーは大丈夫だよな?」

腕を組みながら偉そうに語るザカライアさん、そう言うお前は大丈夫なのかとは言ってはいけない、彼は五大王族 パーティを開いた回数も招かれた回数もそんじょそこらの貴族とはわけが違う、パーティに関してはベテランだ 仕切るのは彼以外いない

「私は以前から要人警護の為何度かパーティに参加したことがありますので、マナーの方は大丈夫かと」

「アタシもよ、王族貴族のお友達が多いからねぇよく誘われるのよ、美味しいお酒とかよくご馳走してもらうわ」

「まぁ、概ね予想通りだな…エリス お前はあるか?」

「何を言うんですか、あるに決まってるじゃないですか」

パーティの参加経験か、メルクさんもニコラスさんもそれなりにあるようだ…がエリスをなめてもらっては困る、思い返すのはアルクカースの舞闘会や国王戴冠式 どちらも大王主催の列記としたパーティだ、内容はあれだが

「ほーん、意外だな まぁいいや、全員経験があるなら話ははえぇ、セレドナのパーティはさっきも言ったが 五大王族やそれに準ずる大貴族 大商人 軍部のお偉いさんと大いに集まる」

「色々集まるんですね、月一で開いてる割には集まりいいですね」

「それだけセレドナの存在がデケェのさ、俺たち五大王族が一声かけりゃデルセクト中から挙って人が集まるぜ?、それ以外に…もう一つ理由がある、これはエリスに関係ある と言うよりか…一番気張らにゃならんところだ」

そう言いながら彼は指を一つ立て、エリスのことを指差すのだ まるで覚悟を問いただすような目で見つめると

「セレドナのパーティはな、自分の抱える従者の自慢の場でもあるのさ」

「自慢の…場?」

「ああ、このパーティの給仕にセレドナ側は一切従者を出さない、代わりに招かれた側が従者を連れてパーティの給仕を執り行う、そして その従者達の所作 給仕の腕 身のこなしや有能さ、それを競い合わせるのさ…言ってみればデルセクトで一番の従者を決める場でもあるのさ、だから挙ってみんな自慢の従者を持ち寄るのさ」

「なんですかそれ、なんの意味が…」

「従者の有能さは主人の力に直結する、財力を自慢する為にメイドに庭先掃除させるのと同じさ、従者自慢 それがパーティの本質さ」

なんだそれは…と思うが、同時に感じる 人とは優劣をつけるのが好きだ、自身の財力 土地の有る無し 力の有無 それで一番二番を作るのが大好きだ、そしてその優劣は自分が雇い入れる従者の是非によっても定められる

意味のないことだ だが決めたいのだ、誰が一番か 誰が一番すごいかを、そこで輝かしい活躍をした従者は栄光を手に入れ その主人は周囲から羨望の眼差しで見られる…いいことづくめだな、だけど

「でもそれ、エリスには関係ないのでは?別にエリスはデルセクト1の執事になるつもりはありません」

「いや それがそうとも言えない 、そこでセレドナに気に入られた執事やメイドはセレドナ自ら引き抜きにかかってくるんだ」

うへぇ、なんじゃそりゃ 自分は従者を出さないどころか有能な奴と見るや否や抱え込みに走るのか、よくみんなそんなところに従者を送り込みたがるな…

…いやそうか、恩を売れるんだ 自分の従者をセレドナに 五大王族に差し出せば、少なくとも恩を売り関係を得られる…それは貴族や商人にとっては計り知れない恩恵ともなる、酷い話だ 主人のために従者は働くのに 主人はその従者を売り飛ばすつもりでパーティに行くなんて

「ああなるほど、つまり そこでセレドナさんに気に入られれば…直接セレドナさんと話す機会が、マレフィカルムとの関係を問いただす機会が得られると言うことですね」

「そうだ、俺たちがそのままセレドナのところに突っ込んでって話をしてもアイツはまともに取り合ってもくれないだろう、そこでエリスがパーティで活躍して 目立って セレドナに気に入られれば、あのクソ女問いただす絶好の機会に巡り会えるって寸法だぜ!」

たしかに セレドナさんのところに行って 話聞いて?って言っても普通に鼻で一笑されて終わりそうだ、そこでセレドナさんが無視できない存在にエリスがなる訳か

「でもエリスに出来るでしょうか、エリスがこのデルセクトで一番の執事になるなをて…何かプランはありますか?」

「気張れ」

ノープランか、この辺はエリスが考えてやるしかないか…不安だなぁ、でもこれも師匠の為 メルクさんの為、信じてくれるラグナの為 デティ為…やるしかないんだ

「…そういえば、ニコラスさんはセレドナ様と因縁があるのでしたよね?、パーティには参加されるのですか?」

「アタシだけお外でサボるわけにも行かないしね…まぁ、パーティ会場って言っても広いでしょ?顔合わせなきゃいいだけよ」

メルクさんの問いにあっけらかんと答えるも、エリスには…あの会話を経験したエリスには何となくわかる、ニコラスさんはきっともう一度話したいのだ セレドナさんと、何を話したいのかは分からない 例の一件と謝罪かもっと別のことなのか、顔を合わせづらいことに変わりはないだろうが やっぱりニコラスさんはセレドナさんの愛国心を邪魔してしまったことを気にしてるみたいだし

「因縁って…お前セレドナになんかしたのかよ、厚化粧って罵ったのか?」

「寝取ったのよ、旦那と息子を」

「マジかよ!ぎゃははははは!なんだそりゃ超傑作じゃん!ヒュー!やるー!、どうやってだよ!」

「今晩教えてあげましょうか?」

「え………いやいい、なんかお前目が怖いから」

「そう言わないで、どの道部屋は二部屋 昼間みたいな振り分けでメルクちゃんと同じ部屋にするわけには行かないでしょ?野蛮な男と一緒に可愛い部下を寝かせるなんて危険だわ」

「それ俺の方が危険じゃねぇのか!?」

会議のムードはすっかり壊れ いつも通りの騒ぎに戻っていった、つまり話はもう終わり…ということか、まぁ方針も決まったからいいか 


………………………………………………


セレドナ・カルブンクルス主催のパーティ 名を『紅玉会』、2~3ヶ月に一度 セレドナは大々的に周辺諸国に声をかける、パーティをやるからうちに来ませんか?なんてね

五大王族の中でも随一の開催回数を誇るセレドナのパーティは貴族や商人にとっては大事な社交の場、五大王族にとっては同じ五大貴族の顔色を観察する良い機会として 高頻度の開催にもかかわらず集まりは非常に良い

セレドナにマレフィカルムとの関係性を伺いたいエリス達にとってもまた絶好の場、パーティで従者として活躍してセレドナの目に止まれば 彼女と一対一で話せる、これを逃したらもう二度と機会がない…って訳じゃあないが 絶好の場であることに変わりはない、なら逃すという選択肢もまたない

開催まで三日、エリスはニコラスさんとザカライアさんの指導でより一層執事としてのマナーに磨きをかける、今までの執事ごっこではなく これから要求されるとは超上層階級でのマナー…指の動かし方ひとつにさえ気を使う世界だ

だが幸いなことにマナー云々に関してはマニュアル的な本を入手することができたので 取得自体は間に合うだろう

後気にすべきライバルの存在だ


ザカライアさんが知る限りの従者の情報をいくつか纏めると…やはりというかなんというか、雑多な者などいないことがわかる 皆超一流の従者ばかりだ

五大王族の連れる従者で言えば…

ジョザイア・アルマースの連れる老執事 高貴燦然のボールヴィン・クリスタル、五大王族の専属の執事を半世紀近く務めるだけあり まさしくその腕前は完璧、あのグロリアーナさんにマナーの指導をしたと言われる程の腕前 ザカライアさんの主観では彼がデルセクト最高の執事らしい

レナード・サッピロスの連れるメイド長 青麗蒼綺のアビゲイル・ラピスラズリ、元コルスコルピ人であり 世界最高の料理人タリアテッレの弟子であり、メイド長でありながら料理長も務める人物、彼女の作る料理はまさしくデルセクト1の美味さを誇るが ザカライアさん曰く変人らしい

そして、ソニア・アレキサンドライトが連れるメイド兼用心棒 鉄腕従鬼のヒルデブランド、彼女もメイドとしてかなりの腕を持つ上に 何をとってもその戦闘能力の高さ、片手で馬車を持ち上げ 拳の一撃で館を倒壊させたと言われる豪腕はもはや従者にあるまじき物であるとザカライアさんもブルってた

とはいうが、彼女達は既に五大王族に仕える身、セレドナさんからの引き抜きを受けるような人物ではないのでエリスのライバルではないのだが、まぁ注意すべき人物ではある

真のライバルは他の貴族や商人の連れてくる セレドナに売り込む為に連れられる従者達だろう

クリソプレーズ商会の連れてくるベテラン執事 ベンジャミン・スッペサルティン、齢も従者歴も脂の乗ったベテランの執事だ、些か気の弱いところがあるのが難点らしい

アンスラークスの大貴族ローズクロサイト家が連れてくる若き天才執事ウィルフレッド・パイライト、かつてボールヴィンの下で働き執事としての腕を培ったという経緯がある、だが少し気が強く他人を見下す気があるらしい

他にも元グロリアーナ直属の従者 ダイアナ・ブラッドストーンや台所掃除から領地運営まで何でもこなす敏腕メイド フローラ・モスアゲートなど、ザカライアさん曰く名だたる面子が揃う様子、みんな経験を積んだプロだ 今更どうあがいてもこの差は埋まらない

所詮エリスは見てくれだけの執事、経験も志もきっと負けている、だからエリスはエリスの 武器を振るうつもりだ…


そして、準備を重ねる エリスは少しでも本番で動けるように本を読み込み 時に実践し磨きをかける、ザカライアさんはセレドナに手紙を出したりコンタクトを取りながらパーティへの参加を表明、その間メルクさんとニコラスさんは少しでも捜査ができないかと街を散策していた

やれることは少なくとも 時間は過ぎる、そうこうしている間にもセレドナさんのパーティ『紅玉会』の日は近づき、そして…エリス達は紅玉会に参加することとなった


紅玉会、ここで上手くいけばセレドナさんと一対一で話しをする機会が得られる、パーティに集まる従者達を抑え一番にならなければならない…不安だ 出来るだろうか そう言った言葉一旦飲み込む、やれるだけのことをやれる以上にやる、今できるのはそれだけなんだから
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