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40話 先生の部屋で…

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 先生を抱えたまま止まることなく階段を昇り続けて三階に到着。一応周囲を見渡してから廊下に出ると、先生の部屋の前まで来た。

「先生、つきました。カギを開けてください」
「ふふ……えへへぇ~」
「先生、カギ」
「へ?  あ、うん。これカギ……って待って待って!  部屋に入る……の?」
「そのつもりですが?  先生立てないんですよね?  大丈夫です。何もする気はありませんから」

 そう。ただ部屋の中に置いて帰るだけだしね。

「なにもって……さっきはしたくせに……」
「はい?」
「な、なんでもないっ!  それよりも部屋は本当にダメ!  立てるから!  もう自分で立てるから──ひゃう」

 一人で立てると言い張る先生の足を下ろすと、途端にしゃがみこんでしまった。ダメじゃん。まったく……無駄に見栄を張る大人はこれだから困るよね。だから僕は先生の手からカギを取り、扉を開けると再び先生を抱っこする。

「はい、行きますよ」
「いーやー!   ホントのホントのホントにダーメーなーのー!」

 子供みたいに騒がないで欲しいな。

 そして僕は驚愕する。先生の部屋の有様に。

「これは……」
「み、見られた……」

 あまりにも僕が部屋に入るのを止めようとしたから、てっきり壁に写真とかでも貼ってあるのかと思ってたけどそんなことはなかった。

 まず玄関。入って右側に靴箱があって、その上には首から【おかえり!】と書かれたプレートを首から下げたクマのぬいぐるみ。その隣にはハート型の小物入れ。恐らく家や車のカギとかを入れるんだろう。それはまだいいんだ。問題は部屋。

 以前先生から送られてきた自撮り写真には写っていなかった部分を見て僕は驚愕する。
 まず壁紙は窓側だけ白。それ以外はピンク。クローゼットの扉はブラウン。

 カーテンレールには下着がたくさん干されている。しかもなんかリボンとフリル付きや、ドットやストライプ柄の妙に可愛らしいのばかり。

 そしてベッドは四隅に柱のような物が立っていて、上をみると天蓋の様な物があり、上から垂らすタイプのレースのカーテンが付けられている。所謂お姫様ベッドだ。そしてそのベッドの周りにもたくさんのぬいぐるみが並んでいる。

 ベッドから視線を右に向けると、そこには天井までの高さがある本棚。びっしりと少女マンガが並んでいた。

 その前には白とピンクのマーブル模様のソファー。そこには奈央ちゃん位はありそうな大きさのぬいぐるみ。
 
 その隣には化粧台とシルバーのラックがあり、ラックの上にはアクセサリーや小物類。部屋の中央にはガラステーブルが置かれていて、その上にはビールの空き缶。それと……隠し撮りしたらしき僕の写真が写真立てに入れられて置かれていた。

「うぅ……ちゃんとお部屋のお片付けしてないの見られたぁ……」
「んぁっ!?」

 そこ!?   気にするところ、そこなの!?   まさかすぎて変な声出ちゃったよ。

 違うでしょう!   もっとこう……ほら!  干しっぱなしの下着とか、僕の写真とか、乙女趣味全開のこの部屋の内装とか色々あるよね!?  それを全部すっ飛ばしてまさかのお片付けって。

 え? 待って。先生って何歳だっけ?   いや、ちゃんと覚えてる。27歳のハズだよね。まぁ、見た目幼いから違和感ないと言えばないんだけど……。

 僕は先生の部屋で先生を抱えたまま、ただただ困惑していた。その時、

「あぁっ!   下着とか干しっぱなしだったぁ!  み、見ないで!」

 いや、遅いよ先生。それにいつもは自分から見せてくるよね?   さっきから気になってたけど、いつものグイグイ迫ってくる感じじゃなくて普通の女の子みたいな態度はどうしたの?  


 ……ちょっとドキドキするんだけど。
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