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かくれんぼハプニング
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鬼がこの部屋の扉を開けたのだということは見なくても悲鳴で予測できた。
「おー!タケルの姉ちゃんのオッパイ見っけー」
俺は鬼になりたかった。
ここで言う鬼はかくれんぼの鬼でも、怒り狂う鬼でもない、今日のかくれんぼの鬼をしている奴になりたいという意味だ。
そういえばアイツの名前、なんて言ったっけ?
その後、友達のお姉ちゃんが鬼を追いかけるかのように二人の足音が遠のいて行く気がしたので、俺は意を決してクローゼットの外に出た。
部屋には脱ぎ捨てられたセーラー服がベッドの上に無造作に置かれていた。全ての想像が正しかったと確信しながら急いで部屋を出て、トイレと思われる扉を開けて中に隠れた。
その後、間もなくかくれんぼの鬼に見つかってホッとした自分がいた。
「ウタルかくれるの上手いな。どこにかくれていたんだよ」
「そうかぁ?へへへ」
苦笑いをしながら俺はこいつがこなかったら今どうなっていたのだろうかと考えたが、笑うしかなかった。
「それよりタケルの姉ちゃん、オッパイでけぇんだぜ」
「へへへ」
なんと返事すればよいかもわからず俺はその日、帰るまで苦笑いしかできなかった気がする。
小学生の時は女子なんて男の遊びの敵みたいな存在に思っていたから、胸とかお尻とか興味があるはずなかった。
それでも、裸を見ると言うことはイケナイコトということ位はなんとなく思っていた。
今日の友達のお姉ちゃんのように怒って追いかけるならまだしも、泣かれたりしたら男子はどうしてよいものかわからないのだ。それくらい、女子は泣き虫で困る程度に思っていた。
しかし、あの時俺も鬼の子のように同じノリで、友達のお姉ちゃんのオッパイ見てましたって言ってたらどうなっていたのだろうか?
二人でお姉ちゃんに追いかけられて、心にやましさがなくその後を過ごせていたのだろうか。
いや、お姉ちゃんが友達を追いかけるという結果を見たからそんなことを思えるのであって、実際に小学生であろうと二人に着替えを見られたとあっては泣き出していたかもしれない。
友達のお姉ちゃんであっても、中学生の女子が目の前で泣きだしたらどうすることもできないだろうし、その後も友達の家で遊べる雰囲気じゃなかったら他の友達にも白い目で見られ、次の日にクラスにその噂が広がったら変態扱いされてしまうだろう。
小学生は変態とか絶好のおちょくるエサになる単語であるから、その後の小学校生活も奈落の底に落ちていたかもしれない。そう考えるとあの時の選択はベストだったと思うべきか。
だが、あの鬼の子の性格であったらクラスで変態とか呼ばれても跳ね返すくらいの技量はあったかもしれない。逆に羨ましいだろうとおませな感覚で一目置かれる存在に上り詰めてたかもしれないな。次の日以降も、変態とかの話題がでなかったことを思うと、友達のお姉ちゃんのオッパイを見たことは噂にはならなかったのだろう。実際、生オッパイではなくて下着姿でオッパイの膨らみが確認できた程度だと思うが。いや、思いたいが。
それより、さっきから変態という単語を思い出す度になにか胸に残るような不思議な感覚がしてならない。
違和感とはまた違う、どちらかと言うと親近感のような感じだが、変態という単語に親近感は単なる正真正銘の変態ではないのではないかと思ってしまう。それにちょっと息苦しい。
俺自身が変態なのかなと思ったことがあるのは中学生の頃だった。
無事に思春期を迎えて、小学生の時のような遊びの敵として見るのではなく、完全に性の対象として女子を見ていた。
夏服になると少なからず胸の膨らみが気になることもしばしば。というより頻繁に。というか常時。
制服から薄っすらと見えるブラジャーのラインが気になりすぎて、授業が頭に入らない時もあるほどだった。これは男子のテストの順位を下げる為の女子によるテロではないかと本気で悩むほどであった。
こんなことを本気で思うあたりが変態の一部なのではないかと悩んだ時期もあった。
夏服よりもさらに身体にフィットした服と言えば夏の体操服だ。
当然、体育の時間は男子と女子は別々の場所で行われていたのだが、体育の時間の前後の移動などで見かけた時は目のやり場に困っていたほどだ。
目のやり場に困るというのは普通、見てはいけないものを見ないように目を背けるという意味だと思うが、俺の場合は誰のどこを見るかに困るという意味だった。
女子も恐らく俺の視線に気づいていた奴もいるだろう。
「月野、また私のこと見てる」
とか
「ちょっとアイツまたアンタのこと見てるわよ」
「アタシじゃなくてアンタじゃないの?いやぁねぇ」
とか言ってただろうか。
ただの変態野郎じゃないか。しかし、この時は中学生男子のほとんどが俺と同じ感覚だったなんて微塵も思っていなかった。
むしろ、こんなに女子の事を性的に見ているのは俺くらいだろう、俺は変態なんだ。だから仕方ないんだ。と半ば呆れて諦めていた。
「おー!タケルの姉ちゃんのオッパイ見っけー」
俺は鬼になりたかった。
ここで言う鬼はかくれんぼの鬼でも、怒り狂う鬼でもない、今日のかくれんぼの鬼をしている奴になりたいという意味だ。
そういえばアイツの名前、なんて言ったっけ?
その後、友達のお姉ちゃんが鬼を追いかけるかのように二人の足音が遠のいて行く気がしたので、俺は意を決してクローゼットの外に出た。
部屋には脱ぎ捨てられたセーラー服がベッドの上に無造作に置かれていた。全ての想像が正しかったと確信しながら急いで部屋を出て、トイレと思われる扉を開けて中に隠れた。
その後、間もなくかくれんぼの鬼に見つかってホッとした自分がいた。
「ウタルかくれるの上手いな。どこにかくれていたんだよ」
「そうかぁ?へへへ」
苦笑いをしながら俺はこいつがこなかったら今どうなっていたのだろうかと考えたが、笑うしかなかった。
「それよりタケルの姉ちゃん、オッパイでけぇんだぜ」
「へへへ」
なんと返事すればよいかもわからず俺はその日、帰るまで苦笑いしかできなかった気がする。
小学生の時は女子なんて男の遊びの敵みたいな存在に思っていたから、胸とかお尻とか興味があるはずなかった。
それでも、裸を見ると言うことはイケナイコトということ位はなんとなく思っていた。
今日の友達のお姉ちゃんのように怒って追いかけるならまだしも、泣かれたりしたら男子はどうしてよいものかわからないのだ。それくらい、女子は泣き虫で困る程度に思っていた。
しかし、あの時俺も鬼の子のように同じノリで、友達のお姉ちゃんのオッパイ見てましたって言ってたらどうなっていたのだろうか?
二人でお姉ちゃんに追いかけられて、心にやましさがなくその後を過ごせていたのだろうか。
いや、お姉ちゃんが友達を追いかけるという結果を見たからそんなことを思えるのであって、実際に小学生であろうと二人に着替えを見られたとあっては泣き出していたかもしれない。
友達のお姉ちゃんであっても、中学生の女子が目の前で泣きだしたらどうすることもできないだろうし、その後も友達の家で遊べる雰囲気じゃなかったら他の友達にも白い目で見られ、次の日にクラスにその噂が広がったら変態扱いされてしまうだろう。
小学生は変態とか絶好のおちょくるエサになる単語であるから、その後の小学校生活も奈落の底に落ちていたかもしれない。そう考えるとあの時の選択はベストだったと思うべきか。
だが、あの鬼の子の性格であったらクラスで変態とか呼ばれても跳ね返すくらいの技量はあったかもしれない。逆に羨ましいだろうとおませな感覚で一目置かれる存在に上り詰めてたかもしれないな。次の日以降も、変態とかの話題がでなかったことを思うと、友達のお姉ちゃんのオッパイを見たことは噂にはならなかったのだろう。実際、生オッパイではなくて下着姿でオッパイの膨らみが確認できた程度だと思うが。いや、思いたいが。
それより、さっきから変態という単語を思い出す度になにか胸に残るような不思議な感覚がしてならない。
違和感とはまた違う、どちらかと言うと親近感のような感じだが、変態という単語に親近感は単なる正真正銘の変態ではないのではないかと思ってしまう。それにちょっと息苦しい。
俺自身が変態なのかなと思ったことがあるのは中学生の頃だった。
無事に思春期を迎えて、小学生の時のような遊びの敵として見るのではなく、完全に性の対象として女子を見ていた。
夏服になると少なからず胸の膨らみが気になることもしばしば。というより頻繁に。というか常時。
制服から薄っすらと見えるブラジャーのラインが気になりすぎて、授業が頭に入らない時もあるほどだった。これは男子のテストの順位を下げる為の女子によるテロではないかと本気で悩むほどであった。
こんなことを本気で思うあたりが変態の一部なのではないかと悩んだ時期もあった。
夏服よりもさらに身体にフィットした服と言えば夏の体操服だ。
当然、体育の時間は男子と女子は別々の場所で行われていたのだが、体育の時間の前後の移動などで見かけた時は目のやり場に困っていたほどだ。
目のやり場に困るというのは普通、見てはいけないものを見ないように目を背けるという意味だと思うが、俺の場合は誰のどこを見るかに困るという意味だった。
女子も恐らく俺の視線に気づいていた奴もいるだろう。
「月野、また私のこと見てる」
とか
「ちょっとアイツまたアンタのこと見てるわよ」
「アタシじゃなくてアンタじゃないの?いやぁねぇ」
とか言ってただろうか。
ただの変態野郎じゃないか。しかし、この時は中学生男子のほとんどが俺と同じ感覚だったなんて微塵も思っていなかった。
むしろ、こんなに女子の事を性的に見ているのは俺くらいだろう、俺は変態なんだ。だから仕方ないんだ。と半ば呆れて諦めていた。
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