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海賊

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「僕がまだ小さい頃だから記憶も曖昧だし、今を元気に生きてるから前向きに行くことの方が大事だよ。暗い雰囲気にしてごめんよ」

 場の空気を少しでも明るくしようと振る舞うカイトが余計に痛々しい。

「熱っ!」

 ライター位の炎でクラッチロウのうなじをルーチェが炙る。

「こんないい人をアンタは殺そうとしたんやで。反省しいや」

「す、すまん」

「それは僕の実力不足だし逆の実力だったら僕は君を殺してたよ。戦争とはそういうものだから仕方ないよ」

 敵にも言い分がある。それが戦争なのかもしれないが、被害者は必ず生まれ不幸にする。これらは何千年も続く問題だ。

 しかし賊に正義は無い。自己欲求の塊だと俺は認識する、許しがたい者達だ。

 カイトのように直接被害者じゃなくともミゼルのように許せない気持ちがでるのには、共感を覚える。

「新しいお義父さんも僕を優しく、本当の子供の用に育ててくれたから。不幸ばかりではなかったよ」

 カイトの横でセリカはうずくまって泣いているのがわかる。

「そんなお義父さんもいなくなったっていうのに、カイト様は常に凛々しいお方だ」

「義理のオトンも海賊にやられたんか?」

「いや……」

 言いかけてカイトはミゼルの方を見た。何かを確認するかのように。

「パパと一緒にどっか行っちゃったんだよ。ホントにもう、パパったら……」

「お義父さんは国王の参謀役をしてたからね。何やら財宝があるって噂を国王が鵜呑みにしたから確かめてくるって言ったっきり」

「国王なのにミゼルの父ちゃんもガメツイんやなぁ」

「国の財政が危ういって前々から言ってたからね。国王はなんとかしようとしてたんだと思うよ」

 それは俺もロイエルーンから聞いたことがある。本当だったんだな。

「無事でいてくれたらいいのですがね」

「ちなみにお父上はどちらまで? 財宝が眠っているなど夢のような話、早々信じるものでしょうかねぇ」

「とある島に向かうと言ってましたが」

「島ねぇ」

 どうやら隣国との間の海には無数の島が大小浮かんでいるみたいだ。無人島も多くあるし、下手に浮遊してるとさっきのような海賊に襲われるそうだ。

 カイトもその可能性があるのはわかっているだろうが、ミゼルの気持ちを考えてむやみに不安を煽るような意見は慎んだのだろう。

 残酷な言い方だが、死体が浮かんでくるまで死亡は確認できないのだ。生きていると期待する気持ちは個人の自由なのだから。

「ちょっと個人的に気になったところがあるんやけど、カイトに聞いてええかな?」

「義理のお義父さんって言ってたけど、シーヴァイル様はもしかして」

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