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馬並みですか?それ以上ですか?

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 デヘヘ。許されるならこんな変態チック言葉が似合うように鼻の下を伸ばして言いたい。意識しては言わないけどルーチェ曰く、ちょいちょい無意識で言ってると言われると本気で気にしてしまうから気を付けないと。

「わかったわかった」

 片手でミゼルの太ももをタップして参った合図を送る。緩めてくれた太ももが冷たかったので少し擦ってあげる。ムフ。

「お兄ちゃん、現世に帰ったら待ってくれてる彼女がいるんでしょ? どんな人なの?」

「え?」

 ミゼルからそんな言葉が出るとは思ってもいなかった。

「誰から聞いたんだ?」

「誰でもいいし、皆知ってるよ」

 そりゃそうか。けど、水の樹の枝を持って帰るのは本当だけど……。そりゃ彼女って思われるよな。実際はまだそんな関係でもないんだけど。

「ねぇってば」

「ん? あぁそうだな。元気で明るい子なんだけどな。色々悩みを自分一人で抱えて解決しようとする強い子なんだ」

「けど、病気なんでしょ?」

「あぁ。だから可能性があるのなら水の樹の枝を持って帰って病気を治してあげたいんだ。スペンサー……魔王の野望を阻止できたけど、俺がこの異世界に転移できた理由はそれもあるのかなって勝手に思うこともあるんだ」

 かねてから思っていたことを正直に言った。

「ウタルらしい選択だね。大切な人が助かるといいね」

「そうだな。きっと助かると信じる気持ちが大切なんだよな」

 ミゼルは少し黙って俺の髪を撫でたりしたかと思うとほっぺをつねり、その後両耳を塞いだ。

 『出会う順番に妬いたりする私って、悪い子。さみしいよ……』

「なんか言ったか?」

 両耳を塞がれ俺はミゼルの消え入るような言葉を聞き取ることができなかった。

「キャゼルが寂しがるねって言ったの」

「そうだな。ある意味魔王討伐より難しい案件かもな。ハハハ」

「ハハハ」

 続けて笑ったミゼルが本気なのか愛想で笑ったのかの判断ができるはずもなかった。

「もしここで、現世に帰るよりミゼルを選んでいれば良かったなどと後で後悔するとは思ってもいなかった。残されたミゼルの怨念が中に眠る魔界の力を呼び戻し、この世界を恐怖のどん底に陥れることになるとは……」

「ウフフ」

「いやいやいやスペンサーさん、まるで俺の心の中のように吹き替え止めてくれるますか?」

「人間て面白いですね。ねぇミゼルさん」

 肩車から降りておんぶの状態になったかと思うと、ギュッと抱きしめるように力を込めるのがわかった。それが何の意味をするのかはわからなかったが。

「お兄ちゃん、魔王ちゃんと喧嘩しちゃダメよ」

「へーい」

 ミゼルは俺の返事を聞く前に荷台の方へ行ってしまった。

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