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馬並みですか?それ以上ですか?
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「一応、俺は魔王討伐した勇者なんだけどなぁ」
「気にしない、気にしないの」
俺に肩車されたミゼルがなだめてくれる。
「お兄ちゃんに助けられて皆感謝してるんだから」
優しいミゼルの言葉に気のない返事をしながら馬車を引いて街に向かっている。
全力で走ったり力を入れると発揮できていた能力だが、今回馬車を引いていて気付いたことがある。
気を集中すれば全力でなくとも重いものも軽々と持てる。それに歩くことにも集中すれば何十倍ものスピードで歩ける。周りからすれば早送りしているような滑稽にみえるかもしれないが、利点として疲労度は普通に歩く程度しかないことだった。
全力で走ればその分速度も上がるが疲労度も上がる。これはペース配分を考えればかなりチート、いや便利な能力だ。
集中というか意図的にコントロールできるので普段の生活に支障はない。歩けば常に時速百キロ、コップを持ったら常に割るとかだったらギャグマンガになる不便な能力だ。その点は大丈夫。
そして、何故気のない返事なのかというと、歩くのに集中しているからだけではない。それではただの高齢者である。
肩車をしているミゼルの太ももに意識が持って行かれそうだからである。
ロイエルーンからもらったというこの鎧、太ももも防御しろよと言わんばかりの露出度である。
生足、寒いだろうに。そうだからかわからないが太ももで俺の顔を挟んでくる。俺の体温で太ももを温めているのだろうか?
もしくは速度が速く落ちないようにしているのかもしれないが、どちらにしてももちもちの感触が俺の神経を魅了してくるので、他の事に気を紛らわせていないと完全にロマンティコ状態になってしまう。
馬車を人が歩いて引いている。しかも八十キロ位でているのだろうか、早いが人の足は高速で動いているが恰好は歩いている。よく見るとロマンティコ状態じゃないかと。
まぁこんな氷の世界で見てる人もいないんだが、現世の街中だとドライブレコーダーで取られて再生回数稼げるかもな。
「お兄ちゃん、全然ミゼルの言うこと聞いてない!」
「おわっ!」
急に目の前にミゼルの顔が現れて驚いていしまった。頭上からのぞき込まれたのだが、落ちたら危ないぞ。
「ごめんごめん、ちゃんと聞いてるよ」
「じゃあミゼルがなんて言ったか言ってごらんよ」
「感謝してるって話だろ?」
「その後よー。全然聞いてないんだから! 都合悪い事は聞こえない耳さんなのかな!」
「都合わるいって……。ごめん本当に聞いてなかったから何ていったか教えてよ」
「もう!」
ミゼルは少しふて腐れたかのようにして、また太ももでギュッっと俺の顔を締め付けた。
「気にしない、気にしないの」
俺に肩車されたミゼルがなだめてくれる。
「お兄ちゃんに助けられて皆感謝してるんだから」
優しいミゼルの言葉に気のない返事をしながら馬車を引いて街に向かっている。
全力で走ったり力を入れると発揮できていた能力だが、今回馬車を引いていて気付いたことがある。
気を集中すれば全力でなくとも重いものも軽々と持てる。それに歩くことにも集中すれば何十倍ものスピードで歩ける。周りからすれば早送りしているような滑稽にみえるかもしれないが、利点として疲労度は普通に歩く程度しかないことだった。
全力で走ればその分速度も上がるが疲労度も上がる。これはペース配分を考えればかなりチート、いや便利な能力だ。
集中というか意図的にコントロールできるので普段の生活に支障はない。歩けば常に時速百キロ、コップを持ったら常に割るとかだったらギャグマンガになる不便な能力だ。その点は大丈夫。
そして、何故気のない返事なのかというと、歩くのに集中しているからだけではない。それではただの高齢者である。
肩車をしているミゼルの太ももに意識が持って行かれそうだからである。
ロイエルーンからもらったというこの鎧、太ももも防御しろよと言わんばかりの露出度である。
生足、寒いだろうに。そうだからかわからないが太ももで俺の顔を挟んでくる。俺の体温で太ももを温めているのだろうか?
もしくは速度が速く落ちないようにしているのかもしれないが、どちらにしてももちもちの感触が俺の神経を魅了してくるので、他の事に気を紛らわせていないと完全にロマンティコ状態になってしまう。
馬車を人が歩いて引いている。しかも八十キロ位でているのだろうか、早いが人の足は高速で動いているが恰好は歩いている。よく見るとロマンティコ状態じゃないかと。
まぁこんな氷の世界で見てる人もいないんだが、現世の街中だとドライブレコーダーで取られて再生回数稼げるかもな。
「お兄ちゃん、全然ミゼルの言うこと聞いてない!」
「おわっ!」
急に目の前にミゼルの顔が現れて驚いていしまった。頭上からのぞき込まれたのだが、落ちたら危ないぞ。
「ごめんごめん、ちゃんと聞いてるよ」
「じゃあミゼルがなんて言ったか言ってごらんよ」
「感謝してるって話だろ?」
「その後よー。全然聞いてないんだから! 都合悪い事は聞こえない耳さんなのかな!」
「都合わるいって……。ごめん本当に聞いてなかったから何ていったか教えてよ」
「もう!」
ミゼルは少しふて腐れたかのようにして、また太ももでギュッっと俺の顔を締め付けた。
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