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報酬交渉と魔王討伐
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「結局、莫大な賞金はウタルが使い切ったってことやなぁ」
「結果的には一時的にそうなるな」
「一時的って、もう賞金出なかったらスッカラカンじゃないか」
「ダンパーが魔王様の復活って言ってたから、復活待って賞金付くまで放置ってのもええんちゃうの?」
「それいいかもね!」
二人はまた馬鹿な考えを思いついて喜んでいた。
「他におもろいこと書いてなかったんかな?」
「おもろいって、貴重な歴史の記録をなんだと思っているんだよ」
自分達に被害がないと思って、二人は物珍しそうに聞くのをやめる様子はなかった。
「俺にとっては悲惨で命に関わることが記録されていたよ」
「命に関わること?」
「それって、守らんかったらウタル死ぬんか?」
二人の表情が変わった。流石に命に関わるようなことには冗談は言えないみたいだ。
「どうやら初代の転移者が討伐した魔王に、呪いを掛けられているみたいなんだ。その後の転移者にも呪いは続けられていて……」
「マジか。急にえらい深刻な話になってきたな」
「じゃあ、その呪いを解く手掛かりは……」
「……魔王討伐」
「結局、そうなるんやなぁ」
少しだけ張り詰めた空気が和らいだ。記録によると、初代の魔王討伐から現在までに魔王が再び現れたとは書かれていなかった。そして呪いによって命を落とした転移者はたった一人。魔王を討伐すれば俺は現世に帰れるはずだが、それだけではいけないような気持になった。
「俺が転移したタイミングで魔王の復活が噂されるということは、魔王の呪いを解くことができるチャンスなのかもしれない。今後数百年後だろうと、次の転移者にとって有益にしておくのも使命なのかもしれない。過去の転移者が莫大な金や聖剣、それに死をもって魔王の呪いを後世に伝えたこと。今の俺にできることを考え、実行に移すことがこれからの課題になるだろう」
「ウタルも色々考えているんだな」
「私やったら、一生かかっても使い切れん金が入ったら遊んで遊んで遊びまくるんやけどなぁ」
「そういうふしだらな考えの者に金は回らないように世の中はなっているんだよ。己の魔法で服が燃え尽きればいいんだ」
「なんやと! 金が腐る程あっても身長もオッパイもでかくはならんぞ! 残念やったな! フハハハハ」
「関係ないだろ!」
二人は無い金の話で喧嘩をしだした。喧嘩するほど仲が良いとは言われているが、そうでもないような気がしてきた。お互いが理想の男と一緒になり、裕福に過ごせるようになればいがみ合いもしないようになるのかもしれないが、そうなるのはまだまだ先になりそうな感じだった。
「結果的には一時的にそうなるな」
「一時的って、もう賞金出なかったらスッカラカンじゃないか」
「ダンパーが魔王様の復活って言ってたから、復活待って賞金付くまで放置ってのもええんちゃうの?」
「それいいかもね!」
二人はまた馬鹿な考えを思いついて喜んでいた。
「他におもろいこと書いてなかったんかな?」
「おもろいって、貴重な歴史の記録をなんだと思っているんだよ」
自分達に被害がないと思って、二人は物珍しそうに聞くのをやめる様子はなかった。
「俺にとっては悲惨で命に関わることが記録されていたよ」
「命に関わること?」
「それって、守らんかったらウタル死ぬんか?」
二人の表情が変わった。流石に命に関わるようなことには冗談は言えないみたいだ。
「どうやら初代の転移者が討伐した魔王に、呪いを掛けられているみたいなんだ。その後の転移者にも呪いは続けられていて……」
「マジか。急にえらい深刻な話になってきたな」
「じゃあ、その呪いを解く手掛かりは……」
「……魔王討伐」
「結局、そうなるんやなぁ」
少しだけ張り詰めた空気が和らいだ。記録によると、初代の魔王討伐から現在までに魔王が再び現れたとは書かれていなかった。そして呪いによって命を落とした転移者はたった一人。魔王を討伐すれば俺は現世に帰れるはずだが、それだけではいけないような気持になった。
「俺が転移したタイミングで魔王の復活が噂されるということは、魔王の呪いを解くことができるチャンスなのかもしれない。今後数百年後だろうと、次の転移者にとって有益にしておくのも使命なのかもしれない。過去の転移者が莫大な金や聖剣、それに死をもって魔王の呪いを後世に伝えたこと。今の俺にできることを考え、実行に移すことがこれからの課題になるだろう」
「ウタルも色々考えているんだな」
「私やったら、一生かかっても使い切れん金が入ったら遊んで遊んで遊びまくるんやけどなぁ」
「そういうふしだらな考えの者に金は回らないように世の中はなっているんだよ。己の魔法で服が燃え尽きればいいんだ」
「なんやと! 金が腐る程あっても身長もオッパイもでかくはならんぞ! 残念やったな! フハハハハ」
「関係ないだろ!」
二人は無い金の話で喧嘩をしだした。喧嘩するほど仲が良いとは言われているが、そうでもないような気がしてきた。お互いが理想の男と一緒になり、裕福に過ごせるようになればいがみ合いもしないようになるのかもしれないが、そうなるのはまだまだ先になりそうな感じだった。
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