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聖剣ヨシミツと弓使いセリカ

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「ホンマに持って行くんか?」

「おう、背負えば重さはそんなに感じないし、強そうだろ?」

「強そうって、剣がでかすぎてオマケみたいになってるで自分」

 ヨシミツを背負ってる俺を指さしながら笑っている。

 確かに三メートル近くある剣を背負っているというより、背負わされている感じに見えるのも仕方ないのだろう。

 重さよりも、剣の長さでどこかにぶつけないかを注意しながら歩くのが気を使う。

 ちゃんと背負う用の道具も揃えているのは、この剣を作った人は元から背負えることを想定していたのだろうか? このデカさと重量なのに。

 短剣はネックレスのようにして首からぶら下げて、最後に大事なものを確認して美術館を出た。

 大事な物とは、大昔の転生者による万葉子の原本。漢文で何を書いているのか解読に骨が折れそうだが、先人者がどう過ごしてきたのか気になるところだ。

「さて、帰りはどうするか」

「そういや、誰かさんが調子に乗って馬車を壊したんだったなぁ」

「香龍ちゃんはしばらく遠くにいくって言ってたし」

「なんだ君たち、帰りの馬車がないのか? 城に帰るのなら僕の馬車を貸してあげようか」

 セリカの意外な提案に驚いたが、執拗に行き先が城であることを確認してくる。

「城じゃなかったら貸してくれないのか?」

「当たり前じゃないか。城にはカイト様が戻られている。君たちに馬車を貸すという名目で大きな顔してカイト様に会いにいけるのだ。カイト様に会えない場所に行くのなら歩いて勝手に行ってくれたまえ」

 完全にストーカーの脳内判断じゃないのか。

 現世でもストーカーは自分にそのつもりがなく、一途な愛情からき行動で正当化してくるからな。セリカも自分がストーカーとは思っていないだろう。肝心なのはカイトって奴がどう思っているかだが。

    ※

「結構広いやんか!」

 セリカの馬車に乗った俺達は城に向かって出発をしていた。

 馬車の荷台はかなりの広さで、俺達が乗ってきて壊した物より快適であった。

「クッションも布団もあって、この中で寝泊りできるやんか。キャンプ行こうや」

「クッションふかふかだよぉ」

 ミゼルは既にクッションを抱きかかえて寝転がっている。

「そりゃそうだよ。僕はいつもこの荷台で生活しているんだから」

「優雅やなぁ。私はテント生活やで。余裕資金が入った時はたまに宿に泊まるけど」

「お前ら、結構苦労してんだな」

 どうやらこの異世界で、自給自足のような生活を送っているようだ。

 世の中平和なのが良いのは間違いないのだが、戦闘用の職業を選択した者にとっては商売あがったりってところか。

 RPGのゲームだったらモンスターを倒せば金貨が手に入るが、この異世界ではきちんと仕事をこなさないと報酬がないってことらしい。スライムはトイレだし。

 魔王でも討伐すれば高額な賞金と名誉が手に入るだろうが、魔王もいないし、いても簡単に倒せるとは限らないだろう。

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