35 / 138
聖剣ヨシミツと弓使いセリカ
35
しおりを挟む
「ホンマに持って行くんか?」
「おう、背負えば重さはそんなに感じないし、強そうだろ?」
「強そうって、剣がでかすぎてオマケみたいになってるで自分」
ヨシミツを背負ってる俺を指さしながら笑っている。
確かに三メートル近くある剣を背負っているというより、背負わされている感じに見えるのも仕方ないのだろう。
重さよりも、剣の長さでどこかにぶつけないかを注意しながら歩くのが気を使う。
ちゃんと背負う用の道具も揃えているのは、この剣を作った人は元から背負えることを想定していたのだろうか? このデカさと重量なのに。
短剣はネックレスのようにして首からぶら下げて、最後に大事なものを確認して美術館を出た。
大事な物とは、大昔の転生者による万葉子の原本。漢文で何を書いているのか解読に骨が折れそうだが、先人者がどう過ごしてきたのか気になるところだ。
「さて、帰りはどうするか」
「そういや、誰かさんが調子に乗って馬車を壊したんだったなぁ」
「香龍ちゃんはしばらく遠くにいくって言ってたし」
「なんだ君たち、帰りの馬車がないのか? 城に帰るのなら僕の馬車を貸してあげようか」
セリカの意外な提案に驚いたが、執拗に行き先が城であることを確認してくる。
「城じゃなかったら貸してくれないのか?」
「当たり前じゃないか。城にはカイト様が戻られている。君たちに馬車を貸すという名目で大きな顔してカイト様に会いにいけるのだ。カイト様に会えない場所に行くのなら歩いて勝手に行ってくれたまえ」
完全にストーカーの脳内判断じゃないのか。
現世でもストーカーは自分にそのつもりがなく、一途な愛情からき行動で正当化してくるからな。セリカも自分がストーカーとは思っていないだろう。肝心なのはカイトって奴がどう思っているかだが。
※
「結構広いやんか!」
セリカの馬車に乗った俺達は城に向かって出発をしていた。
馬車の荷台はかなりの広さで、俺達が乗ってきて壊した物より快適であった。
「クッションも布団もあって、この中で寝泊りできるやんか。キャンプ行こうや」
「クッションふかふかだよぉ」
ミゼルは既にクッションを抱きかかえて寝転がっている。
「そりゃそうだよ。僕はいつもこの荷台で生活しているんだから」
「優雅やなぁ。私はテント生活やで。余裕資金が入った時はたまに宿に泊まるけど」
「お前ら、結構苦労してんだな」
どうやらこの異世界で、自給自足のような生活を送っているようだ。
世の中平和なのが良いのは間違いないのだが、戦闘用の職業を選択した者にとっては商売あがったりってところか。
RPGのゲームだったらモンスターを倒せば金貨が手に入るが、この異世界ではきちんと仕事をこなさないと報酬がないってことらしい。スライムはトイレだし。
魔王でも討伐すれば高額な賞金と名誉が手に入るだろうが、魔王もいないし、いても簡単に倒せるとは限らないだろう。
「おう、背負えば重さはそんなに感じないし、強そうだろ?」
「強そうって、剣がでかすぎてオマケみたいになってるで自分」
ヨシミツを背負ってる俺を指さしながら笑っている。
確かに三メートル近くある剣を背負っているというより、背負わされている感じに見えるのも仕方ないのだろう。
重さよりも、剣の長さでどこかにぶつけないかを注意しながら歩くのが気を使う。
ちゃんと背負う用の道具も揃えているのは、この剣を作った人は元から背負えることを想定していたのだろうか? このデカさと重量なのに。
短剣はネックレスのようにして首からぶら下げて、最後に大事なものを確認して美術館を出た。
大事な物とは、大昔の転生者による万葉子の原本。漢文で何を書いているのか解読に骨が折れそうだが、先人者がどう過ごしてきたのか気になるところだ。
「さて、帰りはどうするか」
「そういや、誰かさんが調子に乗って馬車を壊したんだったなぁ」
「香龍ちゃんはしばらく遠くにいくって言ってたし」
「なんだ君たち、帰りの馬車がないのか? 城に帰るのなら僕の馬車を貸してあげようか」
セリカの意外な提案に驚いたが、執拗に行き先が城であることを確認してくる。
「城じゃなかったら貸してくれないのか?」
「当たり前じゃないか。城にはカイト様が戻られている。君たちに馬車を貸すという名目で大きな顔してカイト様に会いにいけるのだ。カイト様に会えない場所に行くのなら歩いて勝手に行ってくれたまえ」
完全にストーカーの脳内判断じゃないのか。
現世でもストーカーは自分にそのつもりがなく、一途な愛情からき行動で正当化してくるからな。セリカも自分がストーカーとは思っていないだろう。肝心なのはカイトって奴がどう思っているかだが。
※
「結構広いやんか!」
セリカの馬車に乗った俺達は城に向かって出発をしていた。
馬車の荷台はかなりの広さで、俺達が乗ってきて壊した物より快適であった。
「クッションも布団もあって、この中で寝泊りできるやんか。キャンプ行こうや」
「クッションふかふかだよぉ」
ミゼルは既にクッションを抱きかかえて寝転がっている。
「そりゃそうだよ。僕はいつもこの荷台で生活しているんだから」
「優雅やなぁ。私はテント生活やで。余裕資金が入った時はたまに宿に泊まるけど」
「お前ら、結構苦労してんだな」
どうやらこの異世界で、自給自足のような生活を送っているようだ。
世の中平和なのが良いのは間違いないのだが、戦闘用の職業を選択した者にとっては商売あがったりってところか。
RPGのゲームだったらモンスターを倒せば金貨が手に入るが、この異世界ではきちんと仕事をこなさないと報酬がないってことらしい。スライムはトイレだし。
魔王でも討伐すれば高額な賞金と名誉が手に入るだろうが、魔王もいないし、いても簡単に倒せるとは限らないだろう。
0
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
聖女の姉が行方不明になりました
蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる