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第四章 ようこそ、ここがヲタクの部屋です

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 人とあやかしで幼いころから壁を作ってしまうのが当たり前になっているが、現実の女性に対しては無頓着なのであやかしであろうと女性の雪実の方が有効的な意見が出そうである。

 それに客観的な意見を聞くのも大事だからな。

「未練タラタラの場面に現れたら邪魔者だけど結果的に付き合わなかった相手、しかもヒーヒ猿の妖力で惑わされていたんだから本来なら知り合いにもならない程の不釣合いな相手でしょうね」

「俺なら釣り合いが取れるってことか?」

「ちょっと黙ってて」

 どうやら俺と天野さんがお似合いだと言いたいのだろうが、そこに行くまでに幾らかの余談というか雑魚キャラの話が必要ってことだな。俺はそう思い黙って雪実の話を最後まで黙って聞くことにした。

「そこに現れたのがお兄ちゃん。ちょっと、いやかなり見た目はイケてないけどどうやら同じ会社みたいで身元は確認できそうで、通りすがりの見知らぬキモオタより安心感が少し上まる筈」

 随分底辺な争いだが、ここから高感度が駆け上がるなら仕方あるまい。

「見た目チャライヒーヒ猿にも怯まず事情も聞かずその場を仕切って強気な態度。あっという間に連れて行ったと思うと貸したお金も取り返してくれて。見た目キモオタだけど凄いじゃんって思った筈」

「そうそう」

 自分の事ながらどこからどう聞いても素晴らしい話じゃないか。腕を組んで黙って一人頷いた。

「だからこう思った筈よ。この人こそ私のナイト様! もしくは白馬の御王子様! 見た目はキモイけど」

「お前、見た目キモイとかキモオタとか余計な事はリアルに言わなくてもわかってんだからいいんだよ!」

「いや、言っとかないとお兄ちゃん勘違いして己惚れちゃいかんと思って、わらわの優しさよ」

「そこはそっとしとくのが優しさじゃないのか……」

 やはり二次元ばかり追い求めている者はいつの間にか三次元の人達とのズレが生じているのだろうか。洋服とか髪型とか気にしたりお金かけたりしてないからなぁ。清潔にしてヲタクというのに気付かれないようにしてたが、自然と見た目はヲタク路線に乗っかってたってことか。悲しいぃ。

「なんか物わかり悪いお兄ちゃんに力説してたら喉が乾いちゃった。お兄ちゃんといるから酸素が不足してるのかしら」

「それ、ヲタクで肥満体が代謝良くて息遣い荒い人に対していうようなセリフだよな?」

 ヲタクにも色々種類があるのだが、太ってるだけで敬遠されそうな肥満体ヲタと一緒にはされたくないと、不満をこぼしながら立ち上がりコーヒーを煎れることにした。

 安物のコーヒーメーカーだが豆には少し拘って煎れている。カフェーパウリスタの森のコーヒーを贔屓にしているのだが、好きなコーヒーなのに飲み過ぎると豆が早く減るという当たり前のことに給料日前は悩むこともしばしば。

 お湯を沸かして雪実にはホットカルピスを作ってやった。
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