短編集【BLACK】

タピオカ

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おへそをとられる

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「あんた!またお腹を出して変な絵を描いてるの!?」
「はぁ…、本当にふざけたことが好きだな」
「変な絵じゃねぇし!俺の天才的な作品だもんね~」

 あるところにお腹に絵を描くのが好きな12歳の少年がいて、今日も楽しく描いていた。
 少年の家は3人家族で少年のやっていることに母親は怒り、父親は飽きれていた。

「もうすぐ中学生だってのに、困ったもんだわ。今晩は大雨で雷が鳴るだろうから、おへそを隠して過ごすのよ!」

 母親は、年齢が伴わないと思う自分の子供に対して忠告をする。

「へいへーい、分かったよ。雷様におへそをとられるっていうよく聞くやつだろ?ま、信じてないけどな」

 忠告を聞いたが少年は不真面目に返事を返した。



 そして夜遅く、少年の部屋にて。

「…ふんふーん♪また素晴らしい作品ができた~」

 少年は満足気に自分のお腹に絵を描いていた。

(…眠いなぁ)

 そしてお腹を出したまま、その場で眠りについた。



「…あれ?ここどこだ?」

 少年は気づくとおかしな場所にいた。
 辺りに物が何も無い薄暗い場所で、雷がゴロゴロと鳴っている。

「…気づいたか、馬鹿な少年よ。久しぶりのお客で我は嬉しいぞ」
「うわぁぁぁ!なんだお前!」

 少年の前には、雷様といっていいような見た目の存在が突然現れた。

「あれほど、雷が鳴る時はおへそを隠せと、有名な言い伝えがあるのにな。じゃあ少年よ、おへそを貰うぞ」

 そう雷神は言い、少年へ近づいた。そして、

「ぎゃああああ…」



 その後朝を迎え少年は生きてはいたが、へそが無い人間になった。
 そして少年のお腹周りを見た人からは、雷様の忠告を守らなかった馬鹿な人間なんだと、言われ続ける人生を歩んだ。
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