55 / 60
第三章
48.まさかの横やり
しおりを挟む
クロヴィスの言葉を聞いた瞬間、私の視界を遮るように白いローブが目一杯広がった。
ミハイルが私を守るように背中に隠してくれたのだ。
(ミハイルさん、意外と背中が大きい……)
細身に見えても立派な成人男性だ。私くらいなら難なくすっぽり隠せるだろう。
だが、今のミハイルは姿隠しの魔法を使っている。私からは普通に見えているけど、肝心のクロヴィスたちの目には映らない。……そのはずだった。
「王子様が田舎の村娘に何の用があるのかな」
「……ッ!ヨークブランのエレメンタルロードがどうしてこんなところに!」
今まで寡黙に控えていたジェラルドが思わずといったように言葉を零した。異変を感じた私は慌ててミハイルの背中から少し顔を出す。
クロヴィスを庇うように前に出ているジェラルドはしっかりとミハイルを見据えており、剣呑な空気をまとっていた。それに感化されてフブキも威嚇の唸り声をあげている。
「ミハイルさん……?」
「大丈夫、ここはぼくに任せて」
どうやらミハイルには何か考えがあるようだ。
それを信じて、私はしばらく様子を見ることにした。最初から私に用があるというなら、クロヴィスの真意を改めて探る必要があるかもしれない。
(あの襲撃が意図したものじゃないのは確かだけど……うかつに治癒魔法を使うべきじゃなかったかしら)
だがジェラルドの反応を思い出しても、特に私を聖女だと考えていた素振りはなかった。私としても聖女の件以外で一国の王子直々に探しに来る用事は思いつかないし、本当に謎だ。
「敵国の名高き魔導士が傍にいるんだ。それだけで王子が来る理由として十分な気がするけど」
「今はじめてぼくの存在に気付いたくせによく言うよ。それに、ぼくがエダの弟子なのは知ってるでしょ」
「……ああ、そういえばそうだったな。エダさんが全然《・・》君の名を出さないからすっかり忘れていたよ」
思い出したように微笑んだクロヴィスだが、さすがの私でも嫌味を言っているのだとわかる。
恐る恐るミハイルの様子を窺えば、予想を裏切って何か考え込んでいる様子だった。
「えっと、クロヴィスたちはエダさんのことを知っているの?」
沈黙が耐え難かったので、試しに気になっていたことを聞いてみる。
「知っているも何も、エダさんは王宮にポーションを卸している王室薬師だけど……まさか、エダさんから聞いてないのかい?」
「エダさんとは薬の話ばかりなので……あはは」
「道理でエダさんの弟子なのに私たちのことを知らないわけだ」
クロヴィスは納得いったようにうなずいたが、私はそれどころじゃなかった。
確かにエダさんはよくグロスモントのことを褒めていたし、貴族向けの作法に詳しかったけど!まさか職場だとは思わないよ!
(教えてくれなかったのは……ヨークブランのせいで王族不審になっていた私のせいかー!)
たまにワープで遠いところに飛んでいたのって、王宮に行っていたのかな。
そう考えると、私の目的を知っているエダがひっそり王宮で宣伝してくれていたのかもしれない。
(でもエダさんはそんなお喋りじゃないし、勝手に人の情報を漏らすような人でもないと思うんだけど……)
しかしこの疑問はすぐに解決された。
「まあ、私もエダさんが弟子を取ったなんて教えてもらえなかったしね。あの方の秘密主義は今に始まったことじゃないか。まったく、後継を心配していたこちらの身にもなって欲しいところだ」
私はほっと息をついた。エダの人物像解釈が合っているようで何よりだ。
しかし、これで問題は振り出しに戻った。王宮薬師のエダが関係ないなら、いったいクロヴィスたちはどうやって私の存在を知ったの?
「殿下、のんびり談話している場合ではありません!結局ネーヴィルがここにいる理由がない。もしエダ様が無断で弟子をかくまっているとしたら、これは立派な反逆行為です」
「うーん、それもそうだな。今もお世話になっているエダ」
クロヴィスが笑みを深めて、挑発するように目を三日月に細めた。
話の矛先を向けられたミハイルは考え事をやめて、どこか馬鹿にしたように肩をすくめる。
「ぼくはもうヨークブランの魔導士じゃないよ。追放されたからね」
「なっ!?お前ほどの魔導士を、あのヨークブランが?」
今日の天気を教えるようにさらっと告げたミハイルに、ジェラルドが気色ばんで聞き返した。
「……まさか、聖女侮辱罪で処罰された魔導士は」
「ありゃ、情報がぼかされてるのか。まあ、筆頭魔導士が追放されたんじゃあ、外交的によくないか」
あっけらかんとした態度に、クロヴィスは頭痛が痛いという顔をした。
そして仕切り直しをするように咳ばらいをすると、改めて切り出した。
「気になるところは多いが、ひとまず君を信じることにするよ。そんなくだらない嘘をつくと思えないしね」
「ふうん、ずいぶん甘い判断だねぇ?」
「そう思うかい?別に、今すぐ君をヨークブランに送り返しても問題ないが」
「おっかないねえ、怖い怖い。そうなる前に、コハクちゃんを連れて早く逃げないとだめだね?」
茶目っ気たっぷりに話を振られて、私はミハイルの意図が分かった。
ミハイルは私を守るためだけじゃなく、薬師として使いつぶされないように『いつでもお前たちから離れられる』という可能性を見せたのだ。クロヴィスたちの反応を見る限りミハイルの知名度は高いようだし、もしかしたら私が考える以上に大切なことをしてくれたのかもしれない。
(でも王族を脅すのは私の心臓に悪いからやめてほしいかな……!)
不敬罪に怯える私をよそに、クロヴィスは焦ったように声を上げた。
「待ってくれ、私が悪かった!すまない……気が立っていたとはいえ、君たちに不快な思いをさせてしまったな。でも、グロスモントにはどうしてもコハクの力が必要なんだ」
効果はてきめんだ。正直ここまでするつもりはなかったから、少し心苦しい。
……そろそろ本題に入ってもいいだろう。
「グロスモントの状況はよくわかったわ。失礼なことも言ったけど、私たちも黒い死を何とかしたいと考えているのよ」
「それは、力を貸してくれるということかい……!?」
「ですが、その前に私からいくつか聞きたいことがあります」
「もちろんだ!できる限り答えるよ」
クロヴィスのエメラルドグリーンの瞳が、希望をつかんだかのように輝いた。
自分の命が助かった時よりもはるかに嬉しそうな反応に感心する。こんなにも国のことを考えられるなんて、まるで物語に出てくる王子様のようだ。
「まず、二人はどうやって私の事を知ったの?」
だけどそれとこれは別だ。
返答次第で、私の正体をクロヴィスたちに明かさない選択肢も出てくるだろう。
ミハイルが私を守るように背中に隠してくれたのだ。
(ミハイルさん、意外と背中が大きい……)
細身に見えても立派な成人男性だ。私くらいなら難なくすっぽり隠せるだろう。
だが、今のミハイルは姿隠しの魔法を使っている。私からは普通に見えているけど、肝心のクロヴィスたちの目には映らない。……そのはずだった。
「王子様が田舎の村娘に何の用があるのかな」
「……ッ!ヨークブランのエレメンタルロードがどうしてこんなところに!」
今まで寡黙に控えていたジェラルドが思わずといったように言葉を零した。異変を感じた私は慌ててミハイルの背中から少し顔を出す。
クロヴィスを庇うように前に出ているジェラルドはしっかりとミハイルを見据えており、剣呑な空気をまとっていた。それに感化されてフブキも威嚇の唸り声をあげている。
「ミハイルさん……?」
「大丈夫、ここはぼくに任せて」
どうやらミハイルには何か考えがあるようだ。
それを信じて、私はしばらく様子を見ることにした。最初から私に用があるというなら、クロヴィスの真意を改めて探る必要があるかもしれない。
(あの襲撃が意図したものじゃないのは確かだけど……うかつに治癒魔法を使うべきじゃなかったかしら)
だがジェラルドの反応を思い出しても、特に私を聖女だと考えていた素振りはなかった。私としても聖女の件以外で一国の王子直々に探しに来る用事は思いつかないし、本当に謎だ。
「敵国の名高き魔導士が傍にいるんだ。それだけで王子が来る理由として十分な気がするけど」
「今はじめてぼくの存在に気付いたくせによく言うよ。それに、ぼくがエダの弟子なのは知ってるでしょ」
「……ああ、そういえばそうだったな。エダさんが全然《・・》君の名を出さないからすっかり忘れていたよ」
思い出したように微笑んだクロヴィスだが、さすがの私でも嫌味を言っているのだとわかる。
恐る恐るミハイルの様子を窺えば、予想を裏切って何か考え込んでいる様子だった。
「えっと、クロヴィスたちはエダさんのことを知っているの?」
沈黙が耐え難かったので、試しに気になっていたことを聞いてみる。
「知っているも何も、エダさんは王宮にポーションを卸している王室薬師だけど……まさか、エダさんから聞いてないのかい?」
「エダさんとは薬の話ばかりなので……あはは」
「道理でエダさんの弟子なのに私たちのことを知らないわけだ」
クロヴィスは納得いったようにうなずいたが、私はそれどころじゃなかった。
確かにエダさんはよくグロスモントのことを褒めていたし、貴族向けの作法に詳しかったけど!まさか職場だとは思わないよ!
(教えてくれなかったのは……ヨークブランのせいで王族不審になっていた私のせいかー!)
たまにワープで遠いところに飛んでいたのって、王宮に行っていたのかな。
そう考えると、私の目的を知っているエダがひっそり王宮で宣伝してくれていたのかもしれない。
(でもエダさんはそんなお喋りじゃないし、勝手に人の情報を漏らすような人でもないと思うんだけど……)
しかしこの疑問はすぐに解決された。
「まあ、私もエダさんが弟子を取ったなんて教えてもらえなかったしね。あの方の秘密主義は今に始まったことじゃないか。まったく、後継を心配していたこちらの身にもなって欲しいところだ」
私はほっと息をついた。エダの人物像解釈が合っているようで何よりだ。
しかし、これで問題は振り出しに戻った。王宮薬師のエダが関係ないなら、いったいクロヴィスたちはどうやって私の存在を知ったの?
「殿下、のんびり談話している場合ではありません!結局ネーヴィルがここにいる理由がない。もしエダ様が無断で弟子をかくまっているとしたら、これは立派な反逆行為です」
「うーん、それもそうだな。今もお世話になっているエダ」
クロヴィスが笑みを深めて、挑発するように目を三日月に細めた。
話の矛先を向けられたミハイルは考え事をやめて、どこか馬鹿にしたように肩をすくめる。
「ぼくはもうヨークブランの魔導士じゃないよ。追放されたからね」
「なっ!?お前ほどの魔導士を、あのヨークブランが?」
今日の天気を教えるようにさらっと告げたミハイルに、ジェラルドが気色ばんで聞き返した。
「……まさか、聖女侮辱罪で処罰された魔導士は」
「ありゃ、情報がぼかされてるのか。まあ、筆頭魔導士が追放されたんじゃあ、外交的によくないか」
あっけらかんとした態度に、クロヴィスは頭痛が痛いという顔をした。
そして仕切り直しをするように咳ばらいをすると、改めて切り出した。
「気になるところは多いが、ひとまず君を信じることにするよ。そんなくだらない嘘をつくと思えないしね」
「ふうん、ずいぶん甘い判断だねぇ?」
「そう思うかい?別に、今すぐ君をヨークブランに送り返しても問題ないが」
「おっかないねえ、怖い怖い。そうなる前に、コハクちゃんを連れて早く逃げないとだめだね?」
茶目っ気たっぷりに話を振られて、私はミハイルの意図が分かった。
ミハイルは私を守るためだけじゃなく、薬師として使いつぶされないように『いつでもお前たちから離れられる』という可能性を見せたのだ。クロヴィスたちの反応を見る限りミハイルの知名度は高いようだし、もしかしたら私が考える以上に大切なことをしてくれたのかもしれない。
(でも王族を脅すのは私の心臓に悪いからやめてほしいかな……!)
不敬罪に怯える私をよそに、クロヴィスは焦ったように声を上げた。
「待ってくれ、私が悪かった!すまない……気が立っていたとはいえ、君たちに不快な思いをさせてしまったな。でも、グロスモントにはどうしてもコハクの力が必要なんだ」
効果はてきめんだ。正直ここまでするつもりはなかったから、少し心苦しい。
……そろそろ本題に入ってもいいだろう。
「グロスモントの状況はよくわかったわ。失礼なことも言ったけど、私たちも黒い死を何とかしたいと考えているのよ」
「それは、力を貸してくれるということかい……!?」
「ですが、その前に私からいくつか聞きたいことがあります」
「もちろんだ!できる限り答えるよ」
クロヴィスのエメラルドグリーンの瞳が、希望をつかんだかのように輝いた。
自分の命が助かった時よりもはるかに嬉しそうな反応に感心する。こんなにも国のことを考えられるなんて、まるで物語に出てくる王子様のようだ。
「まず、二人はどうやって私の事を知ったの?」
だけどそれとこれは別だ。
返答次第で、私の正体をクロヴィスたちに明かさない選択肢も出てくるだろう。
11
お気に入りに追加
972
あなたにおすすめの小説

なりすまされた令嬢 〜健気に働く王室の寵姫〜
瀬乃アンナ
恋愛
国内随一の名門に生まれたセシル。しかし姉は選ばれし子に与えられる瞳を手に入れるために、赤ん坊のセシルを生贄として捨て、成り代わってしまう。順風満帆に人望を手に入れる姉とは別の場所で、奇しくも助けられたセシルは妖精も悪魔をも魅了する不思議な能力に助けられながら、平民として美しく成長する。
ひょんな事件をきっかけに皇族と接することになり、森と動物と育った世間知らずセシルは皇太子から名門貴族まで、素直関わる度に人の興味を惹いては何かと構われ始める。
何に対しても興味を持たなかった皇太子に慌てる周りと、無垢なセシルのお話
小説家になろう様でも掲載しております。
(更新は深夜か土日が多くなるかとおもいます!)

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

影の聖女として頑張って来たけど、用済みとして追放された~真なる聖女が誕生したのであれば、もう大丈夫ですよね?~
まいめろ
ファンタジー
孤児だったエステルは、本来の聖女の代わりとして守護方陣を張り、王国の守りを担っていた。
本来の聖女である公爵令嬢メシアは、17歳の誕生日を迎えても能力が開花しなかった為、急遽、聖女の能力を行使できるエステルが呼ばれたのだ。
それから2年……王政を維持する為に表向きはメシアが守護方陣を展開していると発表され続け、エステルは誰にも知られない影の聖女として労働させられていた。
「メシアが能力開花をした。影でしかないお前はもう、用済みだ」
突然の解雇通知……エステルは反論を許されず、ろくな報酬を与えられず、宮殿から追い出されてしまった。
そんな時、知り合いになっていた隣国の王子が現れ、魔導国家へと招待することになる。エステルの能力は、魔法が盛んな隣国に於いても並ぶ者が居らず、彼女は英雄的な待遇を受けるのであった。

実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです
サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

戦地に舞い降りた真の聖女〜偽物と言われて戦場送りされましたが問題ありません、それが望みでしたから〜
黄舞
ファンタジー
侯爵令嬢である主人公フローラは、次の聖女として王太子妃となる予定だった。しかし婚約者であるはずの王太子、ルチル王子から、聖女を偽ったとして婚約破棄され、激しい戦闘が繰り広げられている戦場に送られてしまう。ルチル王子はさらに自分の気に入った女性であるマリーゴールドこそが聖女であると言い出した。
一方のフローラは幼少から、王侯貴族のみが回復魔法の益を受けることに疑問を抱き、自ら強い奉仕の心で戦場で傷付いた兵士たちを治療したいと前々から思っていた。強い意志を秘めたまま衛生兵として部隊に所属したフローラは、そこで様々な苦難を乗り越えながら、あまねく人々を癒し、兵士たちに聖女と呼ばれていく。
配属初日に助けた瀕死の青年クロムや、フローラの指導のおかげで後にフローラに次ぐ回復魔法の使い手へと育つデイジー、他にも主人公を慕う衛生兵たちに囲まれ、フローラ個人だけではなく、衛生兵部隊として徐々に成長していく。
一方、フローラを陥れようとした王子たちや、配属先の上官たちは、自らの行いによって、その身を落としていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる