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第一章 赤い封筒
スカーレット嬢の■■■
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これ以上有力そうな書き込みはなさそうだと判断したルチアは、メッセージアプリを立ち上げた。
ほとんどが通信エラーと表示されている中、一つだけ未読バッチがついているトークの相手はアーノルド・メーティスという先輩である。アーノルドは怪異対策本部で情報管理をしている三年生で、学内イントラのサーバー管理もしている要人だ。
機械系と怪異の両方に詳しく、実際こうして異界に居ながらもあちら側とやり取りできるサーバーを作っているんだから本当に頭が上がらない。
ちなみに生徒会の平会員であるルチアはアーノルドとは関わりどころか、会議でコンニチワしただけの仲だ。
当然連絡先も知らなかったのだが、スレで状況を把握したアーノルドからいつの間にかメッセージが来ていたのだ。いったいどうやって連絡先を知ったのだろう……。
「副会長、メーティス先輩から連絡が来ました!」
「さすがの速さね。あいつは何と言っているのかしら」
ゆっくりとこちらに向かっている怪異を警戒しながら、ヘスティアは短くそう言った。
(首のないおぞましいドレスを来た女がいるってみんな言ってるけど、私にはゾンビ執事しか見えないんだよね……)
スレに上げるためにヘスティアから指示を受けながら撮った写真には女の怪異が映っていたが、その場所を実際にじっと見つめてもルチアには何も見えない。
自分は見える方だと自負しているなだけに少し悔しい。
「赤い封筒の被害報告とその後に出現した怪異のまとめですね。やっぱり赤い封筒の後に出現する怪異の方は生還率があまり高くないせいか情報は多くないみたいです」
「そうでしょうね。もしこの二つが本当に同じ怪異であれば、スカーレット嬢は頻繁にこちら側に干渉できていたということですもの。それに、あれだけ末端を燃やされても平然としているのは強い怪異の証拠ですわ」
ヘスティアの言う通り、今まで赤い封筒がそこまで危険視されなかったのは封筒自体に怪我を負わされた生徒がいなかったからだ。
早期対処さえできていれば何の問題もない上に、封筒自体は目につきやすいところに現れる。宛先を変える方法が見つかる程度には知名度の高い怪異だ。中には遭遇しても報告しないでチキンレースしている者もいると聞く。
ここまで長期に渡って獲物を誘い込む怪異など今まで居なかったから、スカーレット嬢と封筒を結び付けて考える人がいなかったのだろう。
「ざっと目を通してみたのですが、赤い封筒の後に出現する怪異の特徴に共通点が多い気がします。言われないと気づかない程度ですが」
「……この短時間で過去のスレログから重要のものだけ送ってきたんですの?」
「はい。過去の異界に迷い込んだスレの中でも、赤い封筒の被害者になった生徒たちが見たものをピックアップしているようです」
「読み上げてちょうだい」
敵を睨みつけたまま、ヘスティアはそうルチアに命令した。
「ゾンビのような執事に追いかけられた、めっちゃぐろいお茶会に連れていかれた、首のない女がいるとかですね」
「確かに出現怪異は一致するわね。彼らと違うところと言えば……こいつらに動きがないことくらいね」
「それについて、メーティス先輩は未完成な状態でハンティングを始めたからだと」
「つまり、この状態は向こうにとっても想定外ということね。あと、あの機械オタクはファミリーネームが男らしくないって気にしているから、呼ぶときは気を付けなさい」
「え、ファミリーネームは気にするのにそのあだ名はいいんですか?」
「知らないわよ。わたくしはそこまであの男に興味がないの、ッ!?」
言葉を詰まらせたヘスティアに合わせて辺りを警戒するも、相変わらずルチアには何の異変も感じ取れない。唯一見えるゾンビ執事にも動きないし。
「副会長、なにがあったんですか」
「……ごめんなさい、驚かせたわね。スカーレット嬢が突然叫び声のようなものを上げたのよ」
「叫び声って……あの、写真に写っていたスカーレット嬢に頭はなかったんですけど」
「でも、あれは間違いなく叫びだったわ。どうしていきなり動きを見せたのかしら」
「あの先輩、それなんですが」
アーノルドからの情報を見て、ルチアはずっと違和感のようなものを感じていた。
「過去の例を見るに、スカーレット嬢はかなり慎重な怪異だと思うんですよね」
異界を持ち、こちら側に頻繁に干渉できるほどの力を持っていながらいつも万全な状態で獲物を狩る。仮に目を付けたとしても、目印と魔力を吸収する役目である封筒を燃やされてしまったらあっさり手を引く。
本能のまま人間から魔力を奪う怪異にしてはずいぶん理性的な行動だ。
「それなのに、今回はかなり強気に出ていると思いませんか?」
ヘスティアの封筒はまだ半分しか染まっていなかったというのに、無理やり異界に連れてきた。まだ満足に動けるだけのエネルギーが回収できていないにも関わらずだ。
「たぶん、スカーレット嬢は副会長を気にいったんじゃないのかなって。どうしても欲しかったから、無理をしてても迎えに来たのではないでしょうか」
「気に入るって、何を言、ッ!」
ルチアの推測を証明するかのように、空間を揺らがせるほどの叫びが響き渡る。
【ア”……ドモ”……ァイ”!】
「……どうやらルチアさんの当たり、みたいね」
獣のうめき声のような叫びに、ルチアはいつでも魔法を撃てるように魔導書を喚び出して構える。オスクリタ入学時に支給された魔道具だが、魔法の使用を補助してくれる中々の代物だ。
(さっきまでヘスティア先輩しか聞こえてなかったのに……)
声が聞こえたということは、怪異の干渉力が強くなったということだ。写真でしか確認できなかったその姿が見えるかもしれない。そう覚悟して前を向いたルチアだったが。
「え、子供……?」
「はあ!?ルチアさん、貴女何をおっしゃっているんですの!?あんな血まみれの首なし女のどこが子供に見えるというのかしら!」
思わずこぼれた言葉を拾ったヘスティアから悲鳴のような否定が上がる。その顔は信じられないモノを見たような表情で、すぐに自分と見えているモノが違うと理解した。
「たぶん、私と副会長が見えているモノが違うのだと思います。だって、あんな小さな女の子がおぞましいものだなんて、私にはとても思えません」
「……ルチアさんには、アレが何に見えているのかしら?」
「赤い髪の五、六歳くらいの女の子です。確かに赤いドレスを着ていますが、普通のご令嬢が着ているような可愛らしいものですよ。怪我はしてないですが、手に手紙みたいなのを持っています」
ルチアが素直に答えれば、ヘスティアは分かりやすく顔をしかめた。
「ルチアさんは”招かれていない”からなのかしら。信じられないわ、あんな首から変なの生やして……てないわ!?」
「副会長!?今そんなツッコミをする空気じゃありませんでしたよね!?」
「そ、そんなことを言っている場合じゃなくってよ!怪異の姿が変わっているわ!?ルチアさん、今すぐ動画を撮ってアーノルドに送りなさい!」
「えっ?」
「良いから早くッ!」
「はいっ!!」
ヘスティアの勢いに置いていかれたまま、ルチアは慌てて言われたとおりにする。
怪異の姿が変わったと言われても、ルチアの目にはずっと小さな女の子しか映っていない。直感的にアレが人じゃないのは分かるが、ヘスティアがああも取り乱す原因が分からない。
(あ、動画に映っているのはあの血濡れの女の人じゃない……)
スレに上げるべきか迷ったが、今も鬼の形相で女児(怪異)をにらんでいる副会長を見て大人しくアーノルドの個人メッセージに送った。
既読はすぐについたが、『燃やせるなら燃やして』という返信に少しばかり戸惑う。例え怪異でも、幼気な女児に魔法をぶつけるのには抵抗があるからだ。例え相手はすでに死んでいて、何人もの人を殺していたとしても。
一応先輩には人の心がないのですか?と返信してみたが、『話はあとで』と相手にされなかった。
「副会長、あの女の子を燃やせばいいんですって」
「……今となってはやりにくいわね」
生徒の間で戦闘民族と言われているヘスティアも眉をひそめた。
しかし、ルチアと違って首なしの姿を長いこと見ていたせいか、燃やすのにそこまで抵抗はないようだ。ヘスティアは魔導書を喚び出すと、さっさと詠唱を始めた。
「お前の糧はそこに。炎よ、燃えろ!」
ヘスティアが使ったのは下級の火魔法だが、彼女の代名詞ともいわれる火属性なだけあって中級魔法ほどの威力を発揮していた。
ヘスティアが怪異をゆび指さした瞬間、人間発火現象のように女児の体が勢いよく燃えた。
【ギャアアア!アツイ、アヅイ!ドウジテ、トモ……ホシガッ】
獣のような絶叫が怪異から上がる。何かが焦げるような匂いこそいなかったが、視覚衛生的に大変宜しくない図が広がっていた。
「うわ……うわ……」
さすが都会の人だ。こうも躊躇いなく人型怪異に魔法をぶつけられるなんて、きっと今まで何度も人型怪異を討伐してきたからに違いない。
「これでここから解放されるのかしら?」
「……あっ、はい!主が異界を維持しているので、スカーレット嬢がこのまま完全消滅すれば戻れると思います」
「なら時間の問題ね」
「あ、メーティ……アーノルド先輩が事情聴取すると言っていました」
「え?あの機械オタクがわざわざそんなことを?」
「はい。『帰ってきたらいっぱい説明しろ』ってメッセージが届いています。なんだか対面で話すときとキャラが違うような気がしますけど」
ルチアがそう言うと、ヘスティアはかわいそうな目でこちらを見てきた。
「貴女、興味を持たれてしまったのね」
「え、何をです……?ただの事件の解決報告じゃないんですか?」
「馬鹿ね。あいつが聞きたいのはどう考えても”怪異変質”の方よ」
「怪異変質?」
ほとんどが通信エラーと表示されている中、一つだけ未読バッチがついているトークの相手はアーノルド・メーティスという先輩である。アーノルドは怪異対策本部で情報管理をしている三年生で、学内イントラのサーバー管理もしている要人だ。
機械系と怪異の両方に詳しく、実際こうして異界に居ながらもあちら側とやり取りできるサーバーを作っているんだから本当に頭が上がらない。
ちなみに生徒会の平会員であるルチアはアーノルドとは関わりどころか、会議でコンニチワしただけの仲だ。
当然連絡先も知らなかったのだが、スレで状況を把握したアーノルドからいつの間にかメッセージが来ていたのだ。いったいどうやって連絡先を知ったのだろう……。
「副会長、メーティス先輩から連絡が来ました!」
「さすがの速さね。あいつは何と言っているのかしら」
ゆっくりとこちらに向かっている怪異を警戒しながら、ヘスティアは短くそう言った。
(首のないおぞましいドレスを来た女がいるってみんな言ってるけど、私にはゾンビ執事しか見えないんだよね……)
スレに上げるためにヘスティアから指示を受けながら撮った写真には女の怪異が映っていたが、その場所を実際にじっと見つめてもルチアには何も見えない。
自分は見える方だと自負しているなだけに少し悔しい。
「赤い封筒の被害報告とその後に出現した怪異のまとめですね。やっぱり赤い封筒の後に出現する怪異の方は生還率があまり高くないせいか情報は多くないみたいです」
「そうでしょうね。もしこの二つが本当に同じ怪異であれば、スカーレット嬢は頻繁にこちら側に干渉できていたということですもの。それに、あれだけ末端を燃やされても平然としているのは強い怪異の証拠ですわ」
ヘスティアの言う通り、今まで赤い封筒がそこまで危険視されなかったのは封筒自体に怪我を負わされた生徒がいなかったからだ。
早期対処さえできていれば何の問題もない上に、封筒自体は目につきやすいところに現れる。宛先を変える方法が見つかる程度には知名度の高い怪異だ。中には遭遇しても報告しないでチキンレースしている者もいると聞く。
ここまで長期に渡って獲物を誘い込む怪異など今まで居なかったから、スカーレット嬢と封筒を結び付けて考える人がいなかったのだろう。
「ざっと目を通してみたのですが、赤い封筒の後に出現する怪異の特徴に共通点が多い気がします。言われないと気づかない程度ですが」
「……この短時間で過去のスレログから重要のものだけ送ってきたんですの?」
「はい。過去の異界に迷い込んだスレの中でも、赤い封筒の被害者になった生徒たちが見たものをピックアップしているようです」
「読み上げてちょうだい」
敵を睨みつけたまま、ヘスティアはそうルチアに命令した。
「ゾンビのような執事に追いかけられた、めっちゃぐろいお茶会に連れていかれた、首のない女がいるとかですね」
「確かに出現怪異は一致するわね。彼らと違うところと言えば……こいつらに動きがないことくらいね」
「それについて、メーティス先輩は未完成な状態でハンティングを始めたからだと」
「つまり、この状態は向こうにとっても想定外ということね。あと、あの機械オタクはファミリーネームが男らしくないって気にしているから、呼ぶときは気を付けなさい」
「え、ファミリーネームは気にするのにそのあだ名はいいんですか?」
「知らないわよ。わたくしはそこまであの男に興味がないの、ッ!?」
言葉を詰まらせたヘスティアに合わせて辺りを警戒するも、相変わらずルチアには何の異変も感じ取れない。唯一見えるゾンビ執事にも動きないし。
「副会長、なにがあったんですか」
「……ごめんなさい、驚かせたわね。スカーレット嬢が突然叫び声のようなものを上げたのよ」
「叫び声って……あの、写真に写っていたスカーレット嬢に頭はなかったんですけど」
「でも、あれは間違いなく叫びだったわ。どうしていきなり動きを見せたのかしら」
「あの先輩、それなんですが」
アーノルドからの情報を見て、ルチアはずっと違和感のようなものを感じていた。
「過去の例を見るに、スカーレット嬢はかなり慎重な怪異だと思うんですよね」
異界を持ち、こちら側に頻繁に干渉できるほどの力を持っていながらいつも万全な状態で獲物を狩る。仮に目を付けたとしても、目印と魔力を吸収する役目である封筒を燃やされてしまったらあっさり手を引く。
本能のまま人間から魔力を奪う怪異にしてはずいぶん理性的な行動だ。
「それなのに、今回はかなり強気に出ていると思いませんか?」
ヘスティアの封筒はまだ半分しか染まっていなかったというのに、無理やり異界に連れてきた。まだ満足に動けるだけのエネルギーが回収できていないにも関わらずだ。
「たぶん、スカーレット嬢は副会長を気にいったんじゃないのかなって。どうしても欲しかったから、無理をしてても迎えに来たのではないでしょうか」
「気に入るって、何を言、ッ!」
ルチアの推測を証明するかのように、空間を揺らがせるほどの叫びが響き渡る。
【ア”……ドモ”……ァイ”!】
「……どうやらルチアさんの当たり、みたいね」
獣のうめき声のような叫びに、ルチアはいつでも魔法を撃てるように魔導書を喚び出して構える。オスクリタ入学時に支給された魔道具だが、魔法の使用を補助してくれる中々の代物だ。
(さっきまでヘスティア先輩しか聞こえてなかったのに……)
声が聞こえたということは、怪異の干渉力が強くなったということだ。写真でしか確認できなかったその姿が見えるかもしれない。そう覚悟して前を向いたルチアだったが。
「え、子供……?」
「はあ!?ルチアさん、貴女何をおっしゃっているんですの!?あんな血まみれの首なし女のどこが子供に見えるというのかしら!」
思わずこぼれた言葉を拾ったヘスティアから悲鳴のような否定が上がる。その顔は信じられないモノを見たような表情で、すぐに自分と見えているモノが違うと理解した。
「たぶん、私と副会長が見えているモノが違うのだと思います。だって、あんな小さな女の子がおぞましいものだなんて、私にはとても思えません」
「……ルチアさんには、アレが何に見えているのかしら?」
「赤い髪の五、六歳くらいの女の子です。確かに赤いドレスを着ていますが、普通のご令嬢が着ているような可愛らしいものですよ。怪我はしてないですが、手に手紙みたいなのを持っています」
ルチアが素直に答えれば、ヘスティアは分かりやすく顔をしかめた。
「ルチアさんは”招かれていない”からなのかしら。信じられないわ、あんな首から変なの生やして……てないわ!?」
「副会長!?今そんなツッコミをする空気じゃありませんでしたよね!?」
「そ、そんなことを言っている場合じゃなくってよ!怪異の姿が変わっているわ!?ルチアさん、今すぐ動画を撮ってアーノルドに送りなさい!」
「えっ?」
「良いから早くッ!」
「はいっ!!」
ヘスティアの勢いに置いていかれたまま、ルチアは慌てて言われたとおりにする。
怪異の姿が変わったと言われても、ルチアの目にはずっと小さな女の子しか映っていない。直感的にアレが人じゃないのは分かるが、ヘスティアがああも取り乱す原因が分からない。
(あ、動画に映っているのはあの血濡れの女の人じゃない……)
スレに上げるべきか迷ったが、今も鬼の形相で女児(怪異)をにらんでいる副会長を見て大人しくアーノルドの個人メッセージに送った。
既読はすぐについたが、『燃やせるなら燃やして』という返信に少しばかり戸惑う。例え怪異でも、幼気な女児に魔法をぶつけるのには抵抗があるからだ。例え相手はすでに死んでいて、何人もの人を殺していたとしても。
一応先輩には人の心がないのですか?と返信してみたが、『話はあとで』と相手にされなかった。
「副会長、あの女の子を燃やせばいいんですって」
「……今となってはやりにくいわね」
生徒の間で戦闘民族と言われているヘスティアも眉をひそめた。
しかし、ルチアと違って首なしの姿を長いこと見ていたせいか、燃やすのにそこまで抵抗はないようだ。ヘスティアは魔導書を喚び出すと、さっさと詠唱を始めた。
「お前の糧はそこに。炎よ、燃えろ!」
ヘスティアが使ったのは下級の火魔法だが、彼女の代名詞ともいわれる火属性なだけあって中級魔法ほどの威力を発揮していた。
ヘスティアが怪異をゆび指さした瞬間、人間発火現象のように女児の体が勢いよく燃えた。
【ギャアアア!アツイ、アヅイ!ドウジテ、トモ……ホシガッ】
獣のような絶叫が怪異から上がる。何かが焦げるような匂いこそいなかったが、視覚衛生的に大変宜しくない図が広がっていた。
「うわ……うわ……」
さすが都会の人だ。こうも躊躇いなく人型怪異に魔法をぶつけられるなんて、きっと今まで何度も人型怪異を討伐してきたからに違いない。
「これでここから解放されるのかしら?」
「……あっ、はい!主が異界を維持しているので、スカーレット嬢がこのまま完全消滅すれば戻れると思います」
「なら時間の問題ね」
「あ、メーティ……アーノルド先輩が事情聴取すると言っていました」
「え?あの機械オタクがわざわざそんなことを?」
「はい。『帰ってきたらいっぱい説明しろ』ってメッセージが届いています。なんだか対面で話すときとキャラが違うような気がしますけど」
ルチアがそう言うと、ヘスティアはかわいそうな目でこちらを見てきた。
「貴女、興味を持たれてしまったのね」
「え、何をです……?ただの事件の解決報告じゃないんですか?」
「馬鹿ね。あいつが聞きたいのはどう考えても”怪異変質”の方よ」
「怪異変質?」
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