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陽炎氷柱

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第一章 赤い封筒

令嬢は友達が欲しい

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ああ、なんて素敵な髪かしら。
綺麗な紅色。まるで血のよう。
意志の強そうな葡萄色の瞳。わたくしと同じ高貴な口調に美しい容姿。
凛として優しい炎のような人。


どうしましょう、どうしましょう。
初めてのお友達はあの人がいいわ。

ずうっとお友達が欲しくてたくさんお手紙を出したのだけど、みんなすぐ燃やしてしまうの。たまに遊びに来てくれても、わたくしを見るとみんな逃げ出してしまうの。

わたくしから逃げる足なんていらないわよね。わたくしを追い払おうとする手なんていらないわよね。
でもいらないものを取ってあげたら、みんなおしゃべりできなくなってしまうの。
酷いわよね、酷いわよね。わたくしはお友達が欲しいだけなのに。


だけどあの人は大切にしてあげる。
足も腕もなくして、わたくしの懐に仕舞ってしまいましょう。愛して愛されて愛して愛されて、そうすればわたくしは独りじゃなくなる。


ねえ、素敵な人。
今からアイに行くわ。


じゃまされたせいで縁が足りないけど、アイしているからきっとだいじょうぶ。
真っ赤なしずくが滴るドレスに真っ白なお肌。
頭はどこかに落としてしまったけど、そのかわりに素敵な帽子をつけましょう。


――待ってて、一番かわいいわたくしでアイに行くわ

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