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第四章 犯人を捕らえろ!
39.第二回ミーティング
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颯馬くんの黒い瞳が、力強く輝いた。
そこにはもう不安げな表情はかけらも残っていなくて、ただ真実を知りたいというゆるぎない意思が伝わってきた。その強さが羨ましくて。
『あおい。よしだあおい』
「吉田葵さんと、言っています」
純粋にすごいと思った。だから私も、私情を挟まずに答えられた。
颯馬くんは少し泣きそうな顔をしたが、私は見ないふりをした。桜二くんも、アキくんも何も言わない。
「本当に葵さん、なんだな……」
自分に言い聞かせるように数度つぶやくと、颯馬くんは再び寄木細工を見つめた。
「他に鍵を狙ってるやつはいるか?」
『いない。しってるの、あおいだけ』
「他にはいないみたい。鍵のことを知っているのは葵さんだね」
「ん。なら、オレたちだけで問題ないね」
桜二くんはニヤッと挑発するように笑った。
颯馬くんは一瞬呆気にとられたような顔をしたが、すぐに悪い笑みを浮かべた。
「当然だ。俺は葵さんに聞かなきゃいけないことがたくさんあるからな」
そうかっこよく言い切ったところで、颯馬くんは盛大にお腹が鳴らした。
気を張り詰めていたアキくんが真っ先に噴出す。
「その前にご飯だね。腹が減っては戦ができぬっていうし、もう作戦会議できる空気じゃないよ」
「……悪い、燃費が悪くてな」
「っあっははっ!あんなにかっこよく決めたのにっ、台無しにも、ほどがあるでしょ」
少し顔を赤らめた颯馬くんをここぞとばかりに笑い転げる桜二くん。
私たちは少し冷めた料理を口に運びながら、自分に気合を入れた。
。。。
ご飯を食べた後、私たちは葵さんに片づけをお願いする前に作戦会議を開いた。第二回ミーティングである。
葵さんに見つからないようにボストンバッグに隠していた寄木細工を取り出すと、付喪神はすでに眠りについていた。最後の力を振り絞ってくれたのだろう。
「無理に起こさなくてもいいよ。ここからはオレたちが頑張る番だから、ゆっくり休ませてあげて」
進行は自称書記の桜二くんだ。すでに考えがあるらしく、余裕そうな表情で笑って見せた。
「さっきソウがいじけてる間に葵さんの情報を洗ったよ。個人情報だからオレのパソコン画面で我慢してね」
「いじけてない。動機を考えてただけだ」
颯馬くんはじとりとした視線を送ったが、桜二くんはうっそりと笑った。
二人のやり取りを無視して、私とアキくんはノートパソコンの画面に覗き込んだ。
「うわ、家庭環境から一条家に入った後の経歴までびっしり書いてある。お前ちゃんと法を守ってるの?」
「特技がピッキングなやつに言われたくないかな」
どっちもどっちだと思う。
いいことをしているはずなのに、私はわずかに罪悪感を感じた。
「ん?これ、俺んちのデータベースにある雇用者情報じゃないか?」
画面に目を滑らせた颯馬くんが形のいい眉をひそめた。
「さすが。よく分かったね」
「よく分かったねじゃないぞ。ここにアクセスするには管理者コードとパスワードが必要なはずだが」
「ハッキングした」
あまりにもあっけらかんとした態度に、いよいよ颯馬くんは絶句した。
私も驚いた。今日桜二くんがパソコンを触っていた時間なんて、たったの十分くらいだったのに。
「俺は葵さんより先にお前たちを捕まえるべきか?」
颯馬くんは顎に手を当てて真顔でそういった。まあ私たちやってきたのって、ピッキングとハッキングだもんね……。
そこにはもう不安げな表情はかけらも残っていなくて、ただ真実を知りたいというゆるぎない意思が伝わってきた。その強さが羨ましくて。
『あおい。よしだあおい』
「吉田葵さんと、言っています」
純粋にすごいと思った。だから私も、私情を挟まずに答えられた。
颯馬くんは少し泣きそうな顔をしたが、私は見ないふりをした。桜二くんも、アキくんも何も言わない。
「本当に葵さん、なんだな……」
自分に言い聞かせるように数度つぶやくと、颯馬くんは再び寄木細工を見つめた。
「他に鍵を狙ってるやつはいるか?」
『いない。しってるの、あおいだけ』
「他にはいないみたい。鍵のことを知っているのは葵さんだね」
「ん。なら、オレたちだけで問題ないね」
桜二くんはニヤッと挑発するように笑った。
颯馬くんは一瞬呆気にとられたような顔をしたが、すぐに悪い笑みを浮かべた。
「当然だ。俺は葵さんに聞かなきゃいけないことがたくさんあるからな」
そうかっこよく言い切ったところで、颯馬くんは盛大にお腹が鳴らした。
気を張り詰めていたアキくんが真っ先に噴出す。
「その前にご飯だね。腹が減っては戦ができぬっていうし、もう作戦会議できる空気じゃないよ」
「……悪い、燃費が悪くてな」
「っあっははっ!あんなにかっこよく決めたのにっ、台無しにも、ほどがあるでしょ」
少し顔を赤らめた颯馬くんをここぞとばかりに笑い転げる桜二くん。
私たちは少し冷めた料理を口に運びながら、自分に気合を入れた。
。。。
ご飯を食べた後、私たちは葵さんに片づけをお願いする前に作戦会議を開いた。第二回ミーティングである。
葵さんに見つからないようにボストンバッグに隠していた寄木細工を取り出すと、付喪神はすでに眠りについていた。最後の力を振り絞ってくれたのだろう。
「無理に起こさなくてもいいよ。ここからはオレたちが頑張る番だから、ゆっくり休ませてあげて」
進行は自称書記の桜二くんだ。すでに考えがあるらしく、余裕そうな表情で笑って見せた。
「さっきソウがいじけてる間に葵さんの情報を洗ったよ。個人情報だからオレのパソコン画面で我慢してね」
「いじけてない。動機を考えてただけだ」
颯馬くんはじとりとした視線を送ったが、桜二くんはうっそりと笑った。
二人のやり取りを無視して、私とアキくんはノートパソコンの画面に覗き込んだ。
「うわ、家庭環境から一条家に入った後の経歴までびっしり書いてある。お前ちゃんと法を守ってるの?」
「特技がピッキングなやつに言われたくないかな」
どっちもどっちだと思う。
いいことをしているはずなのに、私はわずかに罪悪感を感じた。
「ん?これ、俺んちのデータベースにある雇用者情報じゃないか?」
画面に目を滑らせた颯馬くんが形のいい眉をひそめた。
「さすが。よく分かったね」
「よく分かったねじゃないぞ。ここにアクセスするには管理者コードとパスワードが必要なはずだが」
「ハッキングした」
あまりにもあっけらかんとした態度に、いよいよ颯馬くんは絶句した。
私も驚いた。今日桜二くんがパソコンを触っていた時間なんて、たったの十分くらいだったのに。
「俺は葵さんより先にお前たちを捕まえるべきか?」
颯馬くんは顎に手を当てて真顔でそういった。まあ私たちやってきたのって、ピッキングとハッキングだもんね……。
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