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第二章 いざ捜査へ

21.はじめてのミーティング

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 白鳥くんにそう聞かれて、私は力なく首を振った。


「私も分からないかも。直接見ないと付喪神は視えないの」
「まあ、そう虫のいい話はないか」


 白鳥くんに特にがっかりとした様子はなさそうで、少し安心する。
 でも鑑定士を任された以上、何かの情報を見つけ出したいところ。私はじっと目を凝らして画像を観察する。


「一条くんの言う通りなら、仕掛けの回数で用途は絞れそうだけど」
「仕掛けの回数で?」
「うん。十センチくらいの大きさなら、仕掛けは少ないのが多いんだ」


 秘密箱というのは、中に入れた物を盗られないようにするための箱だ。仕掛けのせいで物を入れるスペースが無くなったら意味がない。


「この寄木細工は二十回も動かせるんでしょ?ぼやけてても模様もたくさん入ってるって分かるし、特定な人しか開けられないようになってる特注品だと思う」


 素材まではさすがに分からないけど、これなら印象に残りそうだ。


「特注品……ああ、ひいじいちゃんならやるな」
「百回も動かすやつもあったから大きさの問題を見落としてたかも」


 だけど写真には本当に最低限の情報しかなく、それ以上新しい情報がなかった。一応直射日光を避けて、極端な乾燥はしないように保管するという条件があるけど、さすがにこれだけで寄木細工の場所を当てろというには無理がある。
 ……さっそく行き詰まってしまった。


「俺が手に入れられた写真はこれだけだし、やっぱり話だけじゃ限界があるな」


 少しの沈黙のあと、颯馬くんは申し訳なさそうに口を開いた。


「そもそも今は情報共有の時間だからね。目的の明確化に調査範囲と方法の決定、これは捜査の基本だよ」
「半年も見つからなかった物だし、ある程度は覚悟してたよ」


 あんな小さい寄木細工じゃ、他の荷物に埋もれていたら簡単に見つからないだろう。しかも今倉庫整理で頻繁に配置変わっているというし。
 改めて考えてみても大変そうだ。自信満々に出ちゃったけど、ちゃんと見つけられるかな。


「そうだな。よし!七瀬、秋兎。お前ら、今週土曜……日曜でもいい、どっちか空いてるか?」
「えっ、私はどっちも空いてるけど……」
「ぼくも。でもできれば土曜の方がいいな。日曜だと月曜日が辛いもん」


 突然変わった話の流れについていけなくて首をかしげる。
 反射で答えたが、休日の予定を聞いてどうするつもりなんだろう。


「わかった、じゃあ土曜日に俺んちに集合な」
「……へっ!?」


 俺んちって、一条くんの家に行くの!?私が!?
 ぎょっとした私に、颯馬くんは心の底から不思議そうな顔をした。


「何驚いてるんだ?俺んちでなくなった物を探すんだから、俺の家に来るのは当然だろ?」


 確かにその通りなんだけれどもっ、だとしてもいきなり同級生の女子を家に上げるかな!?
 助けを求めてアキくんに視線を投げると、アキくんは小声で耳打ちしてくれた。


「ユキちゃん、一条はトップの企業の嫡男だよ。頻繁に家に人が来るから、ぼくたちとは感覚が違うの」

(耳元でしゃべられるとくすぐったい……)


 アキくんの言い分は分かる。分かるけど……!


「なら、七瀬はどうやって探すつもりだったんだ?」
「一条くんが持ってきた骨董品の付喪神から話を聞いていくつもりだったんけど……」
「何往復させる気だ。効率悪いし、俺は付喪神見えないからハズレを持ってくることだってあるだろ」


 う。
 颯馬くんの家に行くという選択肢なんて考えたこともなかったから、とっさにいい考えが浮かばない。おろおろと視線を彷徨わせる私に、颯馬くんが声をかける。
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