17 / 52
第一章 初めての依頼
17.認められるということ
しおりを挟む
(物に宿った命が見えて話せるって、意味わかんないよね……)
話していくうちに冷静になっていって、だんだんしりすぼみになっていく。
颯馬くんは本気で困っていたのに、突然こんな話されて困っただろう。白鳥くんはオカルトなんて信じ無さそうだし、ふざけるなって怒られるかもしれない。
「……それで、この間の事件も、本当は付喪神に力を貸して貰ったんだ。隠しててごめんなさい。あ、信じられなくても気にしないから!なんだったらこの話忘れるしっ!」
気に病まないように、なるべく明るく付け加える。
恐る恐る颯馬くんたちの顔色を窺えば、何故か輝くような笑顔を浮かべていた。
「……す」
「えっ?」
「すごいな!!あんなに知識があるのに、付喪神まで見えるんなら最強じゃないか!?」
ちらりと白鳥くんに視線を向ければ、目を丸くしてとても面白い顔をしていた。でも、悪い感情はないように見える。
二人とも、私を疑っている様子が少しもない。あまりにもあっさりとしすぎて、逆に心配になってしまった。
「嘘だって思わないの?」
「嘘なのか!?」
「違う!違うけど……付喪神だよ?そんな荒唐無稽な話、簡単に信じられるわけない」
現に小学校のころは誰も信じてくれなかった。
だけど、颯馬くんはむしろ不思議そうな顔をしている。
「でも、お前にとっては当たり前なんだろ?そりゃあ、俺だって突然言われたら驚くと思うが、あの時の七瀬を見ているからな!桜二もそう思うだろ?」
「うん。だいぶ驚いたけど、オレもユキが嘘をついてるって思ってないよ。そんなタイプに見えないし」
流し目を送られて、ドキリとする。
「七瀬の目には負けるけど、桜二の人を見る目だってなかなかだぜ?」
鼓動が早くなる。
私、こんな素敵な人たちに認めてもらえたんだ……!
「俺はやっぱり七瀬に頼みたいな。そんな大事な話をしてくれたってことは、期待してもいいのか?」
「――うん!精一杯頑張るよ!」
大きくうなずいた私に颯馬くんはホッとしたように息をつくと、挑発的な笑みをアキくんに向けた。
「七瀬はああいってるけど、秋兎はどうするんだ?ちなみに、人手が増えるのは大歓迎だぞ」
「もちろん、ぼくも行くよ。一条家の蔵に興味があるのは本当だし」
アキくんは眉間のしわを深くしながらも、どこか嬉しそうだった。
(一人だと心細いから、アキくんも居てくれるのは嬉しいな)
その後、颯馬くんたちは英蘭会の仕事があるということでいったん解散となった。私の話で時間を取らせてしまっただろうから、そこは申し訳ない。
ひとまず次に集まる日付だけ決めて、私とアキくんは一足先に帰ることになった。
(あの時、怖がらないで力を使って本当に良かった)
蘭の館を出た瞬間、私は呼吸を思い出したかのように大きく息を吸った。
館に入ったときのような緊張感からではなく、興奮と期待で胸がいっぱいだったからだ。
(よし、それまでに私もできることをやってみよう!)
話していくうちに冷静になっていって、だんだんしりすぼみになっていく。
颯馬くんは本気で困っていたのに、突然こんな話されて困っただろう。白鳥くんはオカルトなんて信じ無さそうだし、ふざけるなって怒られるかもしれない。
「……それで、この間の事件も、本当は付喪神に力を貸して貰ったんだ。隠しててごめんなさい。あ、信じられなくても気にしないから!なんだったらこの話忘れるしっ!」
気に病まないように、なるべく明るく付け加える。
恐る恐る颯馬くんたちの顔色を窺えば、何故か輝くような笑顔を浮かべていた。
「……す」
「えっ?」
「すごいな!!あんなに知識があるのに、付喪神まで見えるんなら最強じゃないか!?」
ちらりと白鳥くんに視線を向ければ、目を丸くしてとても面白い顔をしていた。でも、悪い感情はないように見える。
二人とも、私を疑っている様子が少しもない。あまりにもあっさりとしすぎて、逆に心配になってしまった。
「嘘だって思わないの?」
「嘘なのか!?」
「違う!違うけど……付喪神だよ?そんな荒唐無稽な話、簡単に信じられるわけない」
現に小学校のころは誰も信じてくれなかった。
だけど、颯馬くんはむしろ不思議そうな顔をしている。
「でも、お前にとっては当たり前なんだろ?そりゃあ、俺だって突然言われたら驚くと思うが、あの時の七瀬を見ているからな!桜二もそう思うだろ?」
「うん。だいぶ驚いたけど、オレもユキが嘘をついてるって思ってないよ。そんなタイプに見えないし」
流し目を送られて、ドキリとする。
「七瀬の目には負けるけど、桜二の人を見る目だってなかなかだぜ?」
鼓動が早くなる。
私、こんな素敵な人たちに認めてもらえたんだ……!
「俺はやっぱり七瀬に頼みたいな。そんな大事な話をしてくれたってことは、期待してもいいのか?」
「――うん!精一杯頑張るよ!」
大きくうなずいた私に颯馬くんはホッとしたように息をつくと、挑発的な笑みをアキくんに向けた。
「七瀬はああいってるけど、秋兎はどうするんだ?ちなみに、人手が増えるのは大歓迎だぞ」
「もちろん、ぼくも行くよ。一条家の蔵に興味があるのは本当だし」
アキくんは眉間のしわを深くしながらも、どこか嬉しそうだった。
(一人だと心細いから、アキくんも居てくれるのは嬉しいな)
その後、颯馬くんたちは英蘭会の仕事があるということでいったん解散となった。私の話で時間を取らせてしまっただろうから、そこは申し訳ない。
ひとまず次に集まる日付だけ決めて、私とアキくんは一足先に帰ることになった。
(あの時、怖がらないで力を使って本当に良かった)
蘭の館を出た瞬間、私は呼吸を思い出したかのように大きく息を吸った。
館に入ったときのような緊張感からではなく、興奮と期待で胸がいっぱいだったからだ。
(よし、それまでに私もできることをやってみよう!)
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
不吉な九番目の子だろうと、妾が次代のドラゴニア皇帝に決まっておろう!
スズキヒサシ
児童書・童話
妾はドラゴニア帝国皇帝の九番目の子である。
九番目は不吉だなどと、下々の民が言うておるようじゃが、そんなものは関係ない。
誰がなんと言おうと、妾が次代のドラゴニア皇帝になる!
妾の宮では毎日、何かしらの事件が起きるのでな。
日記でもつけてみることにした。
先に言うておくが、読めるのは妾が次代のドラゴニア皇帝であると認め、崇める者のみじゃ。
文句があるヤツはお呼びじゃないからの。
あと、銀河一かわゆい妾に懸想しても良いが、妄想だけにとどめておくのじゃぞ。
妾は竜族。人族とは一緒にはなれぬからな。
追記:学園もの→バトルもの→恋愛ものになる予定です。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?三本目っ!もうあせるのはヤメました。
月芝
児童書・童話
世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。
ひょんなことから、それを創り出す「剣の母」なる存在に選ばれてしまったチヨコ。
辺境の隅っこ暮らしが一転して、えらいこっちゃの毎日を送るハメに。
第三の天剣を手に北の地より帰還したチヨコ。
のんびりする暇もなく、今度は西へと向かうことになる。
新たな登場人物たちが絡んできて、チヨコの周囲はてんやわんや。
迷走するチヨコの明日はどっちだ!
天剣と少女の冒険譚。
剣の母シリーズ第三部、ここに開幕!
お次の舞台は、西の隣国。
平原と戦士の集う地にてチヨコを待つ、ひとつの出会い。
それはとても小さい波紋。
けれどもこの出会いが、後に世界をおおきく揺るがすことになる。
人の業が産み出した古代の遺物、蘇る災厄、燃える都……。
天剣という強大なチカラを預かる自身のあり方に悩みながらも、少しずつ前へと進むチヨコ。
旅路の果てに彼女は何を得るのか。
※本作品は単体でも楽しめるようになっておりますが、できればシリーズの第一部と第二部
「剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!」
「剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?二本目っ!まだまだお相手募集中です!」
からお付き合いいただけましたら、よりいっそうの満腹感を得られることまちがいなし。
あわせてどうぞ、ご賞味あれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる