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第二章 軍属大学院 入学 編
131.結婚とはなんぞや-Ⅱ
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少し思案をしてからアイラが再び口を開く。
「キュウちゃんはタケルの事好きなのよね?」
『うん、好きだよ」
こうストレートに言われるとなんだかこそばゆい。
キュウが首を縦に振ったのを見て、肯定していると理解したアイラは続ける。
「じゃあキュウちゃんってタケルと一緒にいる時って緊張してドキドキしたり、話すだけで照れちゃったりする?」
『ぜんぜんしないよ』
キュウが首を左右に振るのを確認して、アイラはさらに続ける。
「うん、そうよね。でも、好きだからそうなっちゃうって類いの『好き』っていうのがあるのよ」
『そうなの?』
よくわからないといった感じに首を傾げるキュウへと、一つの例をあげてみる。
「昨日サキトにハルカ先輩の話をしたら、サキトの様子がいつもと違う感じになってただろ? ああなっちゃう好きがあるんだ」
『なるほど! 確かにサキト変な感じだった! なんか暑そうだった!』
「そうそう、顔を真っ赤にしてたもんな」
「おいっ、やめろ! なんか恥ずかしいからやめろ!」
「ちょっとサキト、馬車が揺れるから静かにしなさいよ」
「お、おう、すまん……」
例としてあげられたサキトが羞恥に吠えるが、アイラに咎められて静かになる。
ちょっと可哀想だ。
「まあ、そういう好き同士な人たちが、家族になるために『結婚』って事をするのよ」
『へー、そうなんだ。じゃあ「ぷろぽーず」っていうのしたら「けっこん」出来るんだ』
「いや、プロポーズはそのお願いってだけで、実際結婚しようと思ったら役所に行っていろいろ手続きしないと駄目だよ」
『「いろいろ」ってどんなこと?』
詳しくは知らないので「いろいろ」と言葉を濁したのだが、キュウはそこも気になるようなので、自分の知る限りのあやふやな知識を答える。
「えーっと、ほら、診断したり申請したり引っ越ししたり……」
『えー、なんかめんどうくさいね。好き同士ならセイルおじいちゃんと武みたいに勝手に家族になればいいじゃん!』
「――うん、確かにそうなんだけど……何て言ったらいいのかな……?」
キュウの純粋な考え方に、何と説明をすれば理解してもらえるかが思いつかず口ごもっていると、そんな自分にサキトが声をかけてきた。
「ん? キュウは何て言ってんだ?」
「好き同士なら僕とおじいちゃんみたいに勝手に家族になれば良いのにって言うんだ」
「ああ、なるほどな」
自分からキュウの主張を聞いたサキトはそう相槌を打つと、全く悩む素振りも見せずにキュウへと説明を始める。
「タケルとセイル様が家族だって事、広めない様にしてるのは知ってるか?」
『うん』
「おう、なら話は早ぇ! 俺たちは直接見たから知ってるけどよ、知らない人からしたらその事実ってのは『英雄の家族を騙るだなんて、なんて不届きな奴なんだ!』ってなってタケルに迷惑な事するやつも出そうなくらいには信じにくい事なんだ」
『そうなの?』
「そうなの!?」
「なんでタケルも驚いてんだよ?」
「いや、おじいちゃんが有名人らしいから、おじいちゃんへの伝欲しさに僕に人が寄ってくるのを防ぐためだと思ってたから……」
「ああ、メインの理由はそれだと思うぜ? ただ、お前とティスト様が連んでるっていうのを知らなけりゃ、さっき言ったみたいな事にもなりかねねぇってだけだぜ? 世の中色んなやつがいるからな」
サキトはそう言うと、再びキュウへと説明を続ける。
「まあそれはひとまず置いておいて、要するに何が言いてえのかって言うと、知らない人に家族だって証明するのは意外と難しいんだって事だ。だが普通の人は場合によってだが家族だって証明できる証拠が欲しい時があるんだよ。その証拠を得る一つの手段が結婚ってものなんだ」
『なるほど! サキトすごい! わかりやすい!』
「おお~、確かにわかりやすい!」
思わず拍手をする。
今まで疑問にすら思ったことの無かった部分なのですぐに答えられなかったが、別に行政的な手続きの心配さえ無ければ、確かにキュウの言うように勝手に家族になっていれば良いのだろう。
(ああ、あとは家族割りとかみたいな割引制度もか……)
そんな事を考えながら得意気なサキトの横顔を見ていると、ジト目のアイラがサキトへと問いかける。
「で? それ、誰に聞いたの?」
「おう! 昔兄貴と義姉さんが結婚する時に疑問に思って聞いたらこう説明されたんだ!」
「そんな事だろうと思った……。だったらなんでそんなに得意気な顔してんのよ?」
「え? だって兄貴の言葉が正しいって事だろ……?」
「ああ、そういう……」
どうやらサキトがすんなりと答えられたのは経験則からだった様だ。
確認するまでも無く、きっとサキトはお兄さんの事が好きなのだ。
アイラとしては、他人の言葉を我が物顔で語って何で得意気になっているのかと疑問に思ったのであろうが実際の所はお兄さんを誇らしく思っただけであり、自分の拍手にしてもサキトへと向けたつもりだったのだが、サキト的にはお兄さんへと拍手が向けられたと感じたのだろう。
(良い関係だな……)
一度サキトのそこまで誇るお兄さんに会ってみたいと思うが、リオナさんとも会えたのだ。
きっとその内会う機会もあるだろう。
「キュウちゃんはタケルの事好きなのよね?」
『うん、好きだよ」
こうストレートに言われるとなんだかこそばゆい。
キュウが首を縦に振ったのを見て、肯定していると理解したアイラは続ける。
「じゃあキュウちゃんってタケルと一緒にいる時って緊張してドキドキしたり、話すだけで照れちゃったりする?」
『ぜんぜんしないよ』
キュウが首を左右に振るのを確認して、アイラはさらに続ける。
「うん、そうよね。でも、好きだからそうなっちゃうって類いの『好き』っていうのがあるのよ」
『そうなの?』
よくわからないといった感じに首を傾げるキュウへと、一つの例をあげてみる。
「昨日サキトにハルカ先輩の話をしたら、サキトの様子がいつもと違う感じになってただろ? ああなっちゃう好きがあるんだ」
『なるほど! 確かにサキト変な感じだった! なんか暑そうだった!』
「そうそう、顔を真っ赤にしてたもんな」
「おいっ、やめろ! なんか恥ずかしいからやめろ!」
「ちょっとサキト、馬車が揺れるから静かにしなさいよ」
「お、おう、すまん……」
例としてあげられたサキトが羞恥に吠えるが、アイラに咎められて静かになる。
ちょっと可哀想だ。
「まあ、そういう好き同士な人たちが、家族になるために『結婚』って事をするのよ」
『へー、そうなんだ。じゃあ「ぷろぽーず」っていうのしたら「けっこん」出来るんだ』
「いや、プロポーズはそのお願いってだけで、実際結婚しようと思ったら役所に行っていろいろ手続きしないと駄目だよ」
『「いろいろ」ってどんなこと?』
詳しくは知らないので「いろいろ」と言葉を濁したのだが、キュウはそこも気になるようなので、自分の知る限りのあやふやな知識を答える。
「えーっと、ほら、診断したり申請したり引っ越ししたり……」
『えー、なんかめんどうくさいね。好き同士ならセイルおじいちゃんと武みたいに勝手に家族になればいいじゃん!』
「――うん、確かにそうなんだけど……何て言ったらいいのかな……?」
キュウの純粋な考え方に、何と説明をすれば理解してもらえるかが思いつかず口ごもっていると、そんな自分にサキトが声をかけてきた。
「ん? キュウは何て言ってんだ?」
「好き同士なら僕とおじいちゃんみたいに勝手に家族になれば良いのにって言うんだ」
「ああ、なるほどな」
自分からキュウの主張を聞いたサキトはそう相槌を打つと、全く悩む素振りも見せずにキュウへと説明を始める。
「タケルとセイル様が家族だって事、広めない様にしてるのは知ってるか?」
『うん』
「おう、なら話は早ぇ! 俺たちは直接見たから知ってるけどよ、知らない人からしたらその事実ってのは『英雄の家族を騙るだなんて、なんて不届きな奴なんだ!』ってなってタケルに迷惑な事するやつも出そうなくらいには信じにくい事なんだ」
『そうなの?』
「そうなの!?」
「なんでタケルも驚いてんだよ?」
「いや、おじいちゃんが有名人らしいから、おじいちゃんへの伝欲しさに僕に人が寄ってくるのを防ぐためだと思ってたから……」
「ああ、メインの理由はそれだと思うぜ? ただ、お前とティスト様が連んでるっていうのを知らなけりゃ、さっき言ったみたいな事にもなりかねねぇってだけだぜ? 世の中色んなやつがいるからな」
サキトはそう言うと、再びキュウへと説明を続ける。
「まあそれはひとまず置いておいて、要するに何が言いてえのかって言うと、知らない人に家族だって証明するのは意外と難しいんだって事だ。だが普通の人は場合によってだが家族だって証明できる証拠が欲しい時があるんだよ。その証拠を得る一つの手段が結婚ってものなんだ」
『なるほど! サキトすごい! わかりやすい!』
「おお~、確かにわかりやすい!」
思わず拍手をする。
今まで疑問にすら思ったことの無かった部分なのですぐに答えられなかったが、別に行政的な手続きの心配さえ無ければ、確かにキュウの言うように勝手に家族になっていれば良いのだろう。
(ああ、あとは家族割りとかみたいな割引制度もか……)
そんな事を考えながら得意気なサキトの横顔を見ていると、ジト目のアイラがサキトへと問いかける。
「で? それ、誰に聞いたの?」
「おう! 昔兄貴と義姉さんが結婚する時に疑問に思って聞いたらこう説明されたんだ!」
「そんな事だろうと思った……。だったらなんでそんなに得意気な顔してんのよ?」
「え? だって兄貴の言葉が正しいって事だろ……?」
「ああ、そういう……」
どうやらサキトがすんなりと答えられたのは経験則からだった様だ。
確認するまでも無く、きっとサキトはお兄さんの事が好きなのだ。
アイラとしては、他人の言葉を我が物顔で語って何で得意気になっているのかと疑問に思ったのであろうが実際の所はお兄さんを誇らしく思っただけであり、自分の拍手にしてもサキトへと向けたつもりだったのだが、サキト的にはお兄さんへと拍手が向けられたと感じたのだろう。
(良い関係だな……)
一度サキトのそこまで誇るお兄さんに会ってみたいと思うが、リオナさんとも会えたのだ。
きっとその内会う機会もあるだろう。
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