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神林君とキャサリンさん(21)

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異星人同士の正式な結婚を認めてもらうための10万人の署名が集まったので、マスターは署名と一緒に手紙を書いて宇宙連合に送ることにした。どんなふうに手紙を書いたら宇宙連合の人達の心に響くか、手紙の内容について相談をするため、オリーブ星人のアーノルドさんに宇宙間電話で連絡をとって、カフェに来てもらうことにした。

アーノルドさんはすぐに来てくれて、今、カフェのテーブル席にマスターとわたしとアーノルドさんで話しをしている。
アーノルドさんはカフェに来て一番に、
「グ~~~レイト! 10万人集まって、ほんとによかったですね~」
とわたし達と一緒に喜んでくれた。
そしてホットコーヒーを飲みながら、
「これだけの署名がいろいろな惑星から集まったから、宇宙連合は異星人同士の正式な結婚を認めるかもしれないですね。だけど宇宙間の法則を大きく変えることになるから、宇宙連合も慎重にこたえを出すでしょう。署名と手紙を送るよりも宇宙連合に気持ちがきちんと伝わるように、神林君とキャサリンさん、マスターと美優ちゃんも一緒に宇宙連合へ行って直接気持ちを伝えたほうがいいんじゃないですか」
と言った。
「直接会えますか!」
マスターが訊くと、
「ええ、わたしが手配します」
アーノルドさんはきっぱりとこたえた。
「すご~い! アーノルドさ~ん!」
わたしが言うと、アーノルドさんはにんまり笑ってからつづけた。
「宇宙連合の本部があるエトワール星へ、わたしと一緒なら人間が三人まで空間移動できるから、わたしも一緒に宇宙連合の本部へ行きましょう」
「ほんとですか!」
マスターがうれしそうに言って、アーノルドさんが力強くうなずくと、
「ありがと~! アーノルドさん!」
マスターは目を潤ませながら両手でアーノルドさんの手を握った。
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