上 下
19 / 62

神林君とキャサリンさん(19)

しおりを挟む
「ここは〈小説カフェやすらぎ〉ですけど?」
わたしがこたえると、二人はまた声をハモらせて言った。
「わたし達はパール星から来ました。署名を持ってきました」
そう言うと、一人の星人が持っているパールピンク色のバッグを開いて、署名の用紙の束を差し出した。
「ええっ!」
わたしがあわてて署名の用紙を受け取りにドアまで走ると、
「カラン、コロン♪」
またドアベルの音が鳴って、自動ドアが開き、別の惑星の星人が店に入ってきて言った。
「こんにちは~。署名をお持ちしました~」
そして、またドアベルが鳴って、別の星人が店に入ってきた。
「こちらでよろしかったかしら? 署名を集めているカフェって」
みんなが驚いていると、
「ねえっ、なに、あれっ! あんなにたくさん!」 
カフェの窓の外を見て、マリリンさんが言った。
「ピジョンが小包を抱えているぞ」
マスターが言って、みんなで外を見ると、小包を携えた鳩のように小さい超小型の無人郵便航空機が店に向かってたくさん飛んできた。

わたし達はみんなで外に出て、ピジョンから小包を受け取った。
小包の中身はいろいろな星から送られてきた署名だった。
「すご~い!」
「これはまたびっくりするような数ですな」
「ちょっとちょと~。10万集まるんじゃな~い」
わたし達は喜びの声をあげた。
そのあとも初めて見る星人が署名を持って次から次にカフェに現れて、しまいにカフェのなかには署名の束の山ができた。

しおりを挟む

処理中です...