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神林君とキャサリンさん(11)

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宇宙船の外側の窓のすぐ近くに、色とりどりの蝶々が連なって飛んできて、曲線を描いて向こうへ飛んでいった。そのあと、とんぼや天道虫も並んで飛んできて、カーブしながら向こうへ飛んでいった。まるで昆虫達に意志があって、わたし達を歓迎してダンスをしてくれているよう。
窓の外のもっと遠くを見ると、エディー星人が何人か歩いているのが見えた。エディー星人はカマキリのような体をしていて、体全体が緑色をしていて、服は着ていない。わたし達人間と同じように二本足で歩いている。
隣の席に座っているマスターを見ると、まだ寝ていたので、腕をたたいて起こすと、目を覚まして、
「えっ、着いた?」
と寝ぼけ眼で声を出した。
「エディー星人、エディー星人!」
わたしが窓の外を指さすと、
「えっ、お~~!」
目を丸くして感動した声を出した。

リクライニングシートのシートベルトが自動で腰回りから外されると、船内にアナウンスが入って、わたし達は宇宙港のエントランスへ向かった。エディー星の宇宙港のビルはスケルトンのような透明な壁で出来ていて、外からの日が燦々と射していて、ビルのなかにも木々や草花が生えている。
定期便の搭乗チケットと一緒に送られてきたパンフレットで紹介されていたとおり、エディー星では昆虫が星人と共に暮らしているので、ビルのなかにも昆虫が普通に飛んでいたり、草花にとまっている。
エディー星人と昆虫達はお互いにコミュニケーションをとっているようで、エディー星人のそばを昆虫が通ると、エディー星人は片手をあげて挨拶したり、笑顔を向けていた。

「飛んでる、飛んでる!」
まわりにいる人の声が聞こえて、ビルの透明な壁から空を見ると、エディー星人が大きな葉っぱのボートのような物の上に立ち空間を移動していた。観光で来ている星人たちは巨大な葉っぱのボートの先頭に立っているエディ星人の後ろの座席に座って空を移動していた。

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