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神林君とキャサリンさん(4)

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アーノルドさんとルイーザさんにテーブル席に座ってもらってから、私たちは神林君とオリーブ星人のキャサリンさんの結婚について二人に相談にのってもらった。まだ宇宙では別の星の星人同士の正式な結婚が認められていないので、ネットやSNSで二人の結婚が認めてもらえるよう世界中に署名を集めていることや、なかなか署名が集まらないことを話して、どうしたらいいかを訊ねた。
席に座りホットコーヒーを飲んでいたアーノルドさんがこたえた。
「署名を地球だけでなく、ほかの星の人達にも頼んでみたらどうですか。もっとたくさん集まるでしょう?」
「そっかー。そうすればいいんだ~」
「そこまで考えなかったわ~」
とみんなが声を出すと、
「でも、どうやって?」
詩織さんが言った。
「ほかの星の人たちは地球よりもずっと進化しているから、ネットやSNSを使ってないんだよな~。署名を集めるのは難しいよな~」
カウンターのなかで腕組みをしているマスターが言うと、
「ほかの星ではテレパシーで情報のやりとりができるから、ネットやSNSが必要ないんだったわね~」
カウンター席で頬杖をついている聡子さんが続けた。
「とりあえず、カフェに来てくれる異星人のお客さんに署名をお願いするしかないんじゃないですかな」 
七福神さんが話しに加わった。
「うん」
「そうしよう」
「そうしましょう」
みんなは七福神さんの意見に同意した。
  

カフェでは翌日から異星人のお客さんにも神林君とキャサリンさんの正式な結婚のための署名をお願いした。どの星の人達も快く署名してくれた。おもしろかったのが、文字の書く方法がその星によって違っていたこと。
体がピンクと水色のしましま模様のボーダー星人に署名を頼んだときにはペンを渡そうとしたら、
「ペンは必要ないのよ」
と言って、署名の用紙に人差し指で文字を書き始めた。すると指の先からピンクと水色のしましま模様のインクが出てきた。
  

体が黄緑色に発光しているライト星人もペンは必要なく、自分の名前を声に出すと、たちまちその人の名前が署名の用紙に映し出された。
  

頭部が茶色で体が白のブラウン星人なんて、念力でペンを出して署名をしてくれた。

(4)おわり
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