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2章

ディメンション・スクール(29)

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薄暗いなか、わたし達はお互い顔を見合わせた。
「どうする?」
わたしは心配で、声を出した。
「明日の朝になったら、誰かに会えるだろう。今日はここに泊まろう」
マスターが言って、
「うん」
わたしはこたえた。
マスターが周りを見て、
「あの椅子に座ろうか」
と言った。
マスターが向いている方を見ると、壁の前に猫脚の椅子が二脚、置かれていた。
「うん」
わたしはこたえ、わたし達は少し離れて置かれた二脚の椅子を隣り合わせにしてから腰をかけた。
静かな部屋は少しづつ寒くなってきた。
「ごめんね。やっぱり、マップですぐに日本へ戻ればよかったね」
わたしが言うと、
「いやっ、ぼくも見たかったから、この美術館」
マスターが言って、わたし達はそのあと、口をつぐんだ。
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