20 / 30
20話
しおりを挟む
「もー、うっさいなあ。俺は和夏くんに呼ばれて来ただけだって」
「んな訳あるか。どうせ俺を撒いた後すぐここに来たんだろ」
あの後、なぜ宮がここにいるのか聞くために瞬は家に入るが、裸でベッドにいておまけに顔がほてっている俺を見ると、更に宮に怒りが向いたのだ。
そんな瞬をなだめて宮に持ってきてもらった服を着ると、リビングにあるテーブルに3人で囲むように腰掛けた。
俺の隣に宮。テーブルを挟んだ向かい側に瞬。
ーー3者面談のような絵面になってしまった。
なぜ宮の隣に座ってしまったのか、座ってから後悔した。
宮はなぜか嬉しそうだった。勝ち誇ったような表情を瞬に向けたかと思えば、宮の様子を見た瞬は少しイラッとした様子だった。
瞬はちらっと俺を見やるが、思わず顔を逸らしてしまう。そんな俺を見ると口を開いたのだ。
「・・・まー、その様子からして何があったかは察してる。でも和夏は本意じゃなかったんだろ?」
「ーーっ、」
″うん"と言えなかった。宮を家に呼び、誘ったのは他でもない自分だからだ。
答えられずに、唇をきゅっと結んだ時だった。
「ーーね、俺と和夏くんがそういうことしてて瞬くんに何か関係あるわけ?」
それに対して瞬は思わずは?と顔をしかめた。
「それこそお前には関係ないだろ。」
「ーーで、どうなんだよ和夏」
瞬は改めて俺に向き直るのだ。
勘のいい瞬のことだ。ここで誤魔化してもいつかはバレるだろう。軽蔑される覚悟で重い口を開いた。
「・・・俺がこいつを家に呼んだんだ。俺が服を着てなかったのは、・・・そういうことだよ」
少しの沈黙の後に、「・・・マジ?」と呟くと部屋にはしばらくの沈黙の時間が流れた。
口に手を当て、俯きながら何かを考えている様だった。
宮はというと、まるでこの状況を楽しむかのように俺の横顔をちらちらと見ていた。ちゃっかりテーブルの下で手を握られた為宮にアイコンタクトでやめろ、と訴えるとやめないよ、と言わんばかりにぎゅうっと手を握る力を強めるのだ。
すると瞬は深く息を吐き、
「・・・もし、和夏がそいつを好きで付き合ってるって言うなら、俺は応援してやる。悔しいけど・・」
と、静かに呟くのだ。
「ーーー俺が、こいつを好き?」
思わずぼそっと呟くと
「えっ」
と瞬が言うので、俺もまた
「えっ」
と返すのだ。
またもや沈黙の時間が流れると、
「好きじゃないのにこいつとは寝たのか?
・・・それならーーー」
すると、いきなり立ち上がったと思えばテーブルに手を付き、俺の唇に手を伸ばしてきたのだ。
「ーーそれ以上は駄目」
宮が腕をぱしっと掴んだ。
「和夏くんは俺の。和夏くんがまだ俺を好きじゃなくても、これから好きにさせるから」
「っな・・・、」
宮にいきなりそう言われ、顔が熱くなった。・・ということは、体を何度か重ねたこいつのことを憎からず思っているからなのだろうか。嫌な気がしなかったのが不思議だった。
満更でもない俺を見ると、瞬は
「分かった」
と息を吐くのだ。
「和夏がお前のことを嫌がってないのは分かった。でも、付き合ってないなら俺にもチャンスが無いわけじゃないだろ」
「え?」
瞬が言ってる意味を理解するのに少し時間がかかった。
そして、今までの俺に対する瞬のおかしな言動が今の発言と一致したのだ。
・・・まさか、瞬は俺のことがーーー
ーーすると、
宮の隙を付いた瞬は俺の肩に手を置いたと思えば、ちゅっと頬に口付けてきたのだ。
「ふはっ、和夏ってやっぱ鈍感だよな。・・俺、これでも結構アピールしてたんだけど?」
「なっ・・・!」
口付けられた頬を思わずばっと手で抑えれば、
「俺は諦めないからな?」
と、意地悪くにやっと笑う瞬の顔は、今までに見た中で一番男の顔をしているように見えた。
「んな訳あるか。どうせ俺を撒いた後すぐここに来たんだろ」
あの後、なぜ宮がここにいるのか聞くために瞬は家に入るが、裸でベッドにいておまけに顔がほてっている俺を見ると、更に宮に怒りが向いたのだ。
そんな瞬をなだめて宮に持ってきてもらった服を着ると、リビングにあるテーブルに3人で囲むように腰掛けた。
俺の隣に宮。テーブルを挟んだ向かい側に瞬。
ーー3者面談のような絵面になってしまった。
なぜ宮の隣に座ってしまったのか、座ってから後悔した。
宮はなぜか嬉しそうだった。勝ち誇ったような表情を瞬に向けたかと思えば、宮の様子を見た瞬は少しイラッとした様子だった。
瞬はちらっと俺を見やるが、思わず顔を逸らしてしまう。そんな俺を見ると口を開いたのだ。
「・・・まー、その様子からして何があったかは察してる。でも和夏は本意じゃなかったんだろ?」
「ーーっ、」
″うん"と言えなかった。宮を家に呼び、誘ったのは他でもない自分だからだ。
答えられずに、唇をきゅっと結んだ時だった。
「ーーね、俺と和夏くんがそういうことしてて瞬くんに何か関係あるわけ?」
それに対して瞬は思わずは?と顔をしかめた。
「それこそお前には関係ないだろ。」
「ーーで、どうなんだよ和夏」
瞬は改めて俺に向き直るのだ。
勘のいい瞬のことだ。ここで誤魔化してもいつかはバレるだろう。軽蔑される覚悟で重い口を開いた。
「・・・俺がこいつを家に呼んだんだ。俺が服を着てなかったのは、・・・そういうことだよ」
少しの沈黙の後に、「・・・マジ?」と呟くと部屋にはしばらくの沈黙の時間が流れた。
口に手を当て、俯きながら何かを考えている様だった。
宮はというと、まるでこの状況を楽しむかのように俺の横顔をちらちらと見ていた。ちゃっかりテーブルの下で手を握られた為宮にアイコンタクトでやめろ、と訴えるとやめないよ、と言わんばかりにぎゅうっと手を握る力を強めるのだ。
すると瞬は深く息を吐き、
「・・・もし、和夏がそいつを好きで付き合ってるって言うなら、俺は応援してやる。悔しいけど・・」
と、静かに呟くのだ。
「ーーー俺が、こいつを好き?」
思わずぼそっと呟くと
「えっ」
と瞬が言うので、俺もまた
「えっ」
と返すのだ。
またもや沈黙の時間が流れると、
「好きじゃないのにこいつとは寝たのか?
・・・それならーーー」
すると、いきなり立ち上がったと思えばテーブルに手を付き、俺の唇に手を伸ばしてきたのだ。
「ーーそれ以上は駄目」
宮が腕をぱしっと掴んだ。
「和夏くんは俺の。和夏くんがまだ俺を好きじゃなくても、これから好きにさせるから」
「っな・・・、」
宮にいきなりそう言われ、顔が熱くなった。・・ということは、体を何度か重ねたこいつのことを憎からず思っているからなのだろうか。嫌な気がしなかったのが不思議だった。
満更でもない俺を見ると、瞬は
「分かった」
と息を吐くのだ。
「和夏がお前のことを嫌がってないのは分かった。でも、付き合ってないなら俺にもチャンスが無いわけじゃないだろ」
「え?」
瞬が言ってる意味を理解するのに少し時間がかかった。
そして、今までの俺に対する瞬のおかしな言動が今の発言と一致したのだ。
・・・まさか、瞬は俺のことがーーー
ーーすると、
宮の隙を付いた瞬は俺の肩に手を置いたと思えば、ちゅっと頬に口付けてきたのだ。
「ふはっ、和夏ってやっぱ鈍感だよな。・・俺、これでも結構アピールしてたんだけど?」
「なっ・・・!」
口付けられた頬を思わずばっと手で抑えれば、
「俺は諦めないからな?」
と、意地悪くにやっと笑う瞬の顔は、今までに見た中で一番男の顔をしているように見えた。
15
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
推し変なんて絶対しない!
toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。
それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。
太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。
➤➤➤
読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。
推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる