寝取り屋が処女を奪われた話

朝果あさ

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見慣れない天井。いつもと感触が違うベッド
ーーそして、尻に感じる謎の違和感。
 とりあえずこの状況を把握しようと体を起こすが、腰が鉛のように重い。さらに、やけに寒いなと腕を擦るとなんと服を着ていないことに気が付いたのだ。


ーーまさか。
恐る恐る隣を見ると裸の男が頬杖を付きこちらを見ていた。
男は俺と目が合うと
「やっと起きた?おはよ」と、にこっと笑いかけてくるのだ。
 この男を見るやいなや、昨夜の出来事が走馬灯のように頭に流れこんでくる。


ーー昨夜。とあるホテルの一室にて


ぱちゅっぱちゅっ


 いやらしい水音が鳴り響く雄の匂いが漂う空間。乱れた男2人が一心不乱に肌を重ねている。そしてその様子を椅子に座って見ている男がいるというなんとも異様な光景だった。


「んぅ、・・。っああ、やぁ・・ッ」
  「・・・っ」


 ぱちゅんっ!と音が部屋に鳴り響く。打ち付けられた相手はびくびくと体を震わせ体を仰け反らせれば、すぐにぐったりと倒れ込んでしまった。


「まだ終わってないけど?」と再び腰を密着させる。


「ーーッあ、待っ、も・・むり・・だか、ら・・ッ」
  「待たないから・・・っ」


 密着させていた腰をズルズルと抜けそうなくらいまで抜く。
ーー瞬間、ばちゅっと勢い良く打ち付ければ未だ緩く痙攣している中がきゅうっと締まる。すると俺のモノが反応しさらにナカで膨らむのだ。


「っ、キッツ・・。もっと緩めてよ」
  「ッひ・・。、も・・イった、からぁ・・ッ」
 

 「まだ、っ・・。、俺がイッてないから、悪いけどもう少し付き合って」
と、相手の制止も聞かずに腰を打ち続ける。
 

 俺達が行為をしているベッドの脇で、椅子に座ってこちらをただじっと見ている男。相手の彼氏だ。
 俺はこの2人の依頼で相手を抱いている。いわゆるゲイカップル専門の寝取り屋だ。
 こいつらに関わらず、インターネットの専用サイトから依頼メールがくれば誰でも寝取る。
 大抵依頼してくるカップルは、相手が抱かれているのを見て彼氏が興奮する。相手は彼氏に見られながら俺と背徳的なセックスをし気持ちよくなれるのが良いらしい。
 その性癖を否定するわけではないが、俺にはその良さがよく分からなかった。だが、彼氏持ちが俺で気持ちよくなってるのは悪い気はしない。


***


「今日はありがとうございました。あの、すっごく良かったです・・・!」
  「そう、よかった。じゃあ」


 「ーーあっ」と相手の声がするのを聞こえない振りをし、その場を後にする。
 行為が終わったら長居はしない。惚れられたりでもしたら面倒だからだ。
 今まで寝取った相手の彼氏は、俺と相手が行為に及んでる最中に興奮やら悲しみやらで勃起したり自慰を始める者もいた。
 
 ・・だが先程の相手の彼氏は勃起もしていなければ喜んでいるようにも見えない。ただ行為を見ているだけ。帰りの時も彼氏は何も言わずにこにこしていた。     
何の為に俺に寝取りの依頼をしたのかが疑問だ。
 まあ俺からすれば顔の知らない相手と後腐れなくヤることで性欲の発散ができ、尚且つ報酬が貰える為良い思いしかしない。
 今日貰った報酬で何を食べようかと考えると一瞬でそんな疑問も消え失せるのだ。
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