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高嶺の花と生徒会長と朝日
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隣にいる那智が何やらもぞもぞと動いていて、目が覚めた。
あれから、俺は眠ってしまったようだ。体に不快感がない事から、後始末は全て那智がやってくれたのだろう。
・・・それにしても、昨日はやらかしてしまった。自分から、朝日ではない相手にねだるなんて、俺はなんて快楽に弱いのだろうか・・・。さすがにここまでくると、自分の体が嫌になってくる。
そしてそんなことを考えていると、またも隣からぶつぶつと聞こえてくるのだ。どうせまたいつもと同じようなことを言っているのだろうと、目を閉じたまま耳を澄ませた。
「・・・ああ、本当に美しい、まつ毛の一本一本まで綺麗だ、俺の咲良・・・」
「この愛らしい顔立ち、人形の様に愛らしい・・・」
「そんな咲良が俺のものだなんて、本当に幸せだ・・。昨日は愛し合えてとても幸せだったし最高に可愛かった・・・。好きだ、愛してる、咲良・・・」
額、瞼、頬、唇の順に、ちゅ、ちゅ、と小さくリップ音を立てて唇を落とされる。
顔に感じる温かい感覚に、またやってるのかこいつ、と思いながらも目を開けると、目の前には那智の端正な顔があった。
顔だけはとても格好いいと俺でも思うのに、なぜ性格はこんな残念なんだろうか、この男は。横を向いて眠っていた俺の隣にぴったりと体をくっつけて横になっている那智は、相変わらずご機嫌なようだ。
「・・・あの、那智先輩。寝てる時のそれ、いい加減やめてもらえません?」
「ああ・・・、咲良、おはよう。寝起きの眠そうな顔も可愛いね」
そして那智はまたもちゅっ、と柔らかく唇に口付けてくるのだ。
・・全く話聞いてないな、こいつ。
那智は俺が寝ている時、いつも脇でこんな同じようなことを言っている。これに最初に気付いた時は、たまたまその時だけやっていたのかと思ったら、実は毎日やってるということを那智本人から聞いた。俺としては怖いからやめてほしいんだが。
すると那智は、目が覚めたばかりで乱れている俺の髪を優しく手でとかしながら、ところで、と呟くのだ。
「生徒会の業務が溜まっていてね・・。今日あたり生徒会室に行かなければならないんだ」
いつここから抜け出すことができるかとそればかり考えていたが、ようやくそのチャンスが来たようだ。
ところが次に那智から発せられた言葉に、俺は唖然とした。
「それでね、咲良を誰にも見せたくないから学校が終わってから行こうと思うんだ。俺が業務をしてる間、咲良は勉強とか、何していてもいいからね」
「分かりました」
なるべく俺の思考が読み取られないように、平然を装って返事をする。
・・まあ、それはそうか。那智が生徒会室に行っている間、てっきり俺をこの那智の部屋に置いて行くかと思ったが、よく考えてみれば那智には俺も連れて行く、という考えしかなかっただろう。
隙を見て生徒会から抜け出す、というのも一瞬考えたがおそらく無理だろう。
夜間の学校のセキュリティは甘い、ということは生徒会に侵入する際に朝日には聞いていたが、あの時とは警備員の配置も違うだろうし、夜中に学校を使うことは、学校側と警備員には事前に伝えておくだろう。
そして万が一俺が脱走しても捕まえるように警備員には那智が言っておくだろうし、見つかってしまったら大変だ。また機嫌が悪くなった那智に犯されることになる。
昨晩のような甘々も勘弁だが、犯されるのはもっと嫌だ。
ただそれでもこの部屋以外の空気を吸えると思ったら少しだけ気が緩んでしまう。この空間から動けないと、何不自由ない生活とはいえ息が詰まって仕方ないのだ。
夜間とはいえ、久々に行ける学校が少しだけ楽しみだ。
あれから、俺は眠ってしまったようだ。体に不快感がない事から、後始末は全て那智がやってくれたのだろう。
・・・それにしても、昨日はやらかしてしまった。自分から、朝日ではない相手にねだるなんて、俺はなんて快楽に弱いのだろうか・・・。さすがにここまでくると、自分の体が嫌になってくる。
そしてそんなことを考えていると、またも隣からぶつぶつと聞こえてくるのだ。どうせまたいつもと同じようなことを言っているのだろうと、目を閉じたまま耳を澄ませた。
「・・・ああ、本当に美しい、まつ毛の一本一本まで綺麗だ、俺の咲良・・・」
「この愛らしい顔立ち、人形の様に愛らしい・・・」
「そんな咲良が俺のものだなんて、本当に幸せだ・・。昨日は愛し合えてとても幸せだったし最高に可愛かった・・・。好きだ、愛してる、咲良・・・」
額、瞼、頬、唇の順に、ちゅ、ちゅ、と小さくリップ音を立てて唇を落とされる。
顔に感じる温かい感覚に、またやってるのかこいつ、と思いながらも目を開けると、目の前には那智の端正な顔があった。
顔だけはとても格好いいと俺でも思うのに、なぜ性格はこんな残念なんだろうか、この男は。横を向いて眠っていた俺の隣にぴったりと体をくっつけて横になっている那智は、相変わらずご機嫌なようだ。
「・・・あの、那智先輩。寝てる時のそれ、いい加減やめてもらえません?」
「ああ・・・、咲良、おはよう。寝起きの眠そうな顔も可愛いね」
そして那智はまたもちゅっ、と柔らかく唇に口付けてくるのだ。
・・全く話聞いてないな、こいつ。
那智は俺が寝ている時、いつも脇でこんな同じようなことを言っている。これに最初に気付いた時は、たまたまその時だけやっていたのかと思ったら、実は毎日やってるということを那智本人から聞いた。俺としては怖いからやめてほしいんだが。
すると那智は、目が覚めたばかりで乱れている俺の髪を優しく手でとかしながら、ところで、と呟くのだ。
「生徒会の業務が溜まっていてね・・。今日あたり生徒会室に行かなければならないんだ」
いつここから抜け出すことができるかとそればかり考えていたが、ようやくそのチャンスが来たようだ。
ところが次に那智から発せられた言葉に、俺は唖然とした。
「それでね、咲良を誰にも見せたくないから学校が終わってから行こうと思うんだ。俺が業務をしてる間、咲良は勉強とか、何していてもいいからね」
「分かりました」
なるべく俺の思考が読み取られないように、平然を装って返事をする。
・・まあ、それはそうか。那智が生徒会室に行っている間、てっきり俺をこの那智の部屋に置いて行くかと思ったが、よく考えてみれば那智には俺も連れて行く、という考えしかなかっただろう。
隙を見て生徒会から抜け出す、というのも一瞬考えたがおそらく無理だろう。
夜間の学校のセキュリティは甘い、ということは生徒会に侵入する際に朝日には聞いていたが、あの時とは警備員の配置も違うだろうし、夜中に学校を使うことは、学校側と警備員には事前に伝えておくだろう。
そして万が一俺が脱走しても捕まえるように警備員には那智が言っておくだろうし、見つかってしまったら大変だ。また機嫌が悪くなった那智に犯されることになる。
昨晩のような甘々も勘弁だが、犯されるのはもっと嫌だ。
ただそれでもこの部屋以外の空気を吸えると思ったら少しだけ気が緩んでしまう。この空間から動けないと、何不自由ない生活とはいえ息が詰まって仕方ないのだ。
夜間とはいえ、久々に行ける学校が少しだけ楽しみだ。
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