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第三章 ギルド結闘編

第98話 奮起する召喚獣

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 サン&ムーンの効果が切れ、ルナさんは通常に戻る。
 
「体が大きい分、攻撃範囲が広いのであんまり固まらないようにしましょう! みんな! いくよ!」

 僕の掛け声でみんなは散り散りになる。

 ゴーレムと一体化した橘さんは腕を伸ばすと、トゥビーさんを対象に巨大な岩を発射してきた。
 
 近くにいたザーハックさんは、『燼滅紅牙』で破壊して、トゥビーさんを守る。

「ありがとうございます。助かりました」

「あぁ、問題ない。あいつはお前を狙っているように見えたからな。さっきの戦いでかなりのヘイトを買ったようだな。アハッハッハ」

 橘さんは巨大な拳を地面に叩きつけ地震を起こす。

 僕は『インパクト』をルナさんは『アクアショット』で反撃をする。

 少し体が傾いたが、すぐに体勢を整えた。
 この体格差だとノックバックはしないかぁ。


 橘さんはドスンッ、ドスンッと一歩ずつ一歩ずつ、大地を踏み締めて歩いている。

 トゥビーさんに手が届くところまで歩くと、巨大な腕を斜めにあげる。

 薙ぎ払うつもりか。橘さんはこの中でトゥビーさんが厄介と判断して先に倒そうとしているのだろう。

 ルナさんの恩寵を発動しようにも、サン&ムーンのクールタイムがまだ五分ほどある。

 僕はジークさんが目を覚ますまで、時間稼ぎしかできないだろうなぁ。作戦を前倒しして次の手を打つか。

 橘さんは巨大な腕で薙ぎ払うが、二人はジャンプして躱す。

「ルナさん、合図をだしたら僕の近くでフラッシュボールをお願いします」

「分かりました」

「ヒロさん。作戦を前倒しします。やっちゃって下さい!」
「おっけー! いっくよー!」

「ルナさん! 今です!」

「はい! 『フラッシュボール』!」

 そして、ヒロさんは僕があらかじめセットしておいたアイテムを使う。
 それは、二匹の召喚獣だ。他のギルドも使っていたから特別感とかはないけど、作戦のためには必要だった。
 
 フラッシュボールで目眩ししてから召喚。橘さんたちの不意をついて奇襲する作戦だったけど、ヘイトがトゥビーさんに向いてるから、あんまりする意味はないんだけどね。でも、演出は大切!

 対抗戦専用の召喚獣はフィールドに二体までしか存在できない。
 召喚獣はレベルを持ち、それぞれ制限時間とHPを持ちそれらが0となると消滅する。

 もちろん、対抗戦専用だから対抗戦のみでしか召喚できない。その分、普通の召喚獣よりかは安く購入できる。

 一匹目はアイスウルフ。氷ブレスが得意で素早さが自慢の召喚獣だ。
 僕はアイスウルフに語りかけながら乗る。

「よろしく頼むよ。よしよし」

 乗り心地と触り心地も最高だ。少しヒンヤリしてるけどモフモフだ。
 
「あのゴーレムの周りを走りまくって撹乱させるんだ」

 アイスウルフはオッオーン! と雄叫びをあげる。

「ザーハックさん、トゥビーさん! ここは僕が引きつけますので、一旦引いて休息を!」

「分かった!」
「はい!」

 
「さぁ橘さん! 僕たちと勝負です!」

「召喚獣ですか。僕が対策を考えていないとでも?」

 ゴーレムの周りを走っていると、橘さんは腕を前に突き出し、四方八方に泥を落とす。

「足元に向かって氷ブレスだ!」

 アイスウルフは、泥を避けながら片方の足元に氷ブレスを吐く。
 凍りついたが、圧倒的体格差の前では拘束できるほどの耐久力はなかった。

「そんな氷ではこのゴーレムは止められませんよ! 『ストーンハンマー』!」

「うわあぁっあ!?」

 攻撃は避けることができたが、強烈な一撃で地面が割れ、その衝撃で僕とアイスウルフは吹き飛んだ。


 あれが直撃したらと思うと、ペチャンコになっちゃうよ……あぁ……想像しただけで寒気がしてくる。


 そんな時だった。

「トワ君! ジークさんが目を覚ましたみたいだよ!」

「おぉ! ジークさん大丈夫そうですか?」
「まだ少しフラフラしているみたいだよぉ」

 なら、もう少し僕とトゥビーさんで時間を稼ぐか。

「大丈夫だ! やれる!」

 サン&ムーンはもう使用はできるけど、今の状態でジークさんが太陽の恩寵を使わせるのは酷だよなぁ。

 まだスキルが使えないってことにして、少し休んでもらおう!

「ジークさん、まだサン&ムーンが使用できないので少し休んで下さい。
 できるようにうなったタイミングでトドメにいきます!」
 
「分かった」

「ザーハックさんはトゥビーさんの援護を。トゥビーさんは僕と時間を稼ぎをお願いします!」

「あぁ!」
「了解ですっ!」

「よーーっしっ! いっぱい暴れちゃうぞーー!」

 ジークさんと交代した、やる気満々なヒロさんがフィールドに戻ってきた。
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