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第三章 ギルド結闘編

第94話 顕現するは太陽と月

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「くそっ! 俺の攻撃が全く効いてない」

「この程度の攻撃で俺は倒せんぞ。さぁ! 王子様! 俺を楽しませてくれよ!」

 ジークさんはドミニデスに色んな攻撃を仕掛けているが、レベル差もあり効いてない様子。恩寵がなくても普通に強い。

 ドラゴンスピアで再び攻撃をするが、ドミニデスは片手で槍を掴み、ジークさんを連れたまま高く飛び上がる。

「おらおらおらぁ! くらいやがれ!」

「うぅぅっ。ーーうわぁぁっ!!!」

 そして、グルグルと素早い回転をして、勢いをつけて下に投げつけた。
 
「リーフィスさんとルナさんはジークさんの回復を。ヒロさんは、ガードフィールドをお願いします。そろそろ頃合いです。始めましょうか!」
 
「あぁ!」
「了解!」

 僕たちはバラバラに散って走る。僕はできる限り離れる。
 リーフィスさんたちがジークさんのHPを回復してくれたのを確認すると。

「ジークさん、ルナさん、いきますよ! 橘さん!  これが僕たちのとっておきです!」

「よっしゃっー!」
「承知しましたぁ」

 ジークさんとルナさんが返事を返してくた。そして、カルリナさんが動こうとした時、橘さんはカルリナさんを静止させた。

「マスター?」

「今からショーを披露してくれるみたいなので少し待ちましょう」
「分かったー」

「世界を照らす赤き太陽よ、世界を導く白き月よ。今、この世の理ことわりを壊し顕現せよ! 『顕現するは太陽と月《サン&ムーン》』」

 僕が唱え終えると、天井に太陽と月が出現する。
 この魔法は大量のMPを消費するし、何故か力を吸い取られ倦怠感さえ感じる。

「なるほど。最後の切り札ってことですね。これは我々も苦戦を強いられるでしょう」

 橘さんは察したのか、なんだか嬉しそうだ。

「太陽と月を同時に出しただけじゃんか。何が最後の切り札なんだよぉ」

 橘さんのセリフにカルリナさんは質問をする。

「見ていれば分かります」

「いくぞ、ドミニデス、インチキメガネ! ここからが本番だ!」

 ジークさんは自分の意思で太陽の恩寵を発動させた。

「姿が……変わった……?」

 恩寵を初めて見るカルリナさんは驚いた表情を見せた。

「ガッハッハ! そうこなくっちゃなぁっ!?」

「今なら負ける気がしない。いくぞ!」

 言い終えるとジークさんはドミニデスにスキルを放つ。

「はぁぁぁっ!!! 『太陽神アポロの一撃ブロー』!」

「いいぜぇ! かかってこいぃっ! 『ジャガースライド』!」

 アポロブローとジャガースライドがぶつかりあい一つの戦場に火花が散る。
 数秒ぶつかり合うと二人は、拳で殴り合ったり蹴ったりを繰り返しながら、彼らは語り合う。

「お前らが暴れたせいで、国がめちゃくちゃになった」
「あぁ、そうだな」

「その間、国民の人々は恐怖し、苦しんだ」
「そうだろうな」

「他の者たちはお前らを許したかもしれないが、俺だけは絶対に許さない。必ず罪を償わせてやる!」

「あぁ。お前は俺を許さなくていい」

 ジークさんの静かな怒りをドミニデスは受け止める。

「あの時の俺は体も心も弱かったから、みんなを守れなかった。そして、お前にも挑んだ時、無様を晒すだけ晒して……勝てなかった。
 だからこそ……今度は俺の手でお前を倒さないと意味がない! 反省しているのなら、俺と本気で戦えぇぇーーーっ!!!」

「あぁ、懐かしいな、覚えているぞ。そうだな。一対一で決着を着けようじゃないか。ーーお前らは手を出すなよ」

「うーん……。わ、分かった。勝ってくれよ」

 ドミニデスの言葉にショーマさんは渋々承諾してその場を離れる。

「ルナ。リーフィス王女と一緒にトワさんのところへ。悪いが俺のワガママを聞いてほしい」

「兄様……。分かりました。必ず勝ってくださいね」
「ジーク様……。あなたの覚悟、受け取りました。私は信じています」

「二人ともありがとう。トワさんに怒られてしまうかな」

 聞こえていた僕は、ジークさんの気持ちを尊重してあげたいと思いこう答えた。

「聞こえていますよ。ジークさん! 思いっきり暴れて下さい! こっちは大丈夫ですので!」

「ありがとう、恩に着るよ」

 その言葉をいいながら、ジークさんは少し微笑んだ。

「おい! 橘! 俺もいいだろ? 好きにしてー!」

「どうぞご自由に」

 ドミニデスの言葉に橘さんも答えた。
 ショーマさんがこちらに近づくと、橘さんが続いて言う。

「では、作戦変更です。カルリナ君、ショーマ君の二人はトワ君の相手をお願いします。あとは僕が引き受けます」

「はーいっ!」
「分かった!」

 橘さんはグーファーさんたち三人を一気に相手をする気か。
 しかもルナさんは『月の恩寵』を発動している状態。

 基本、僕の勝ち筋は『ダメージカウンター』で倒すことだけだから、ここで、みんなに橘さんのHPを削ってもらえると助かるな。

 ジークさんが勝つことを信じて、少しずつ人数を減らして、最後に橘さんを叩く! これでいこう!

「グーファーさん、ルナさん、リーフィスさん! 橘さんの相手をお願いします。時間を稼ぐだけでも大丈夫です。
 そして、裏にいるザーハックさんとトゥビーさんは、あの三人がきつそうになってたら交代して下さい。命大事にでいきましょう」

 言い終えるとみんなは返事を返してくれた。

 本当は僕とザーハックさんが交代して、二人の相手をしてもらうのがいいんだろうけど、ずっと戦ってきた人もいるし、少しでもいいから休んでもらいたい。

 こうして、それぞれの戦いが始まろうとしていた。
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