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第三章 ギルド結闘編
第92話 強敵再び
しおりを挟む僕たち三人はそれぞれに交代申請を出す。
ヒロさんは橘さんと戦闘をしていて、申請を受けれない状況みたいだ。
「ーー『煌めく星』!」
橘さんは砂波を起こしてそれを防ぐ。そして、ヒロさんが余所見をしている間に、『グランドスピアー』がヒロさんに直撃した。
「うわぁっ!? ーーったぁ! 橘さん、容赦ないなぁ。交代もさせてくれない」
すると、交代をしたジークさんが速攻で橘さんに攻撃を仕掛ける。
「インチキメガネェェェッ!!! 俺が相手だぁぁっ! ドラゴンスピアーーッ!」
「おやおや? 誰かと思えば、暴走王子ではありませんか。ここで暴走するのは勘弁願いますよ」
橘さんはいいながら武器をぶつけた。
武器と武器がぶつかる鈍い音が響く。
そして、ジークさんは近づかないように距離を取る。
多分、土属性スキルを警戒しているからだろうな。
「いいですねぇ。楽しくなってきましたよ。『グランドウェーブ』」
橘さんの周りに泥沼が出現する。
「ーー『アクセル』!」
ジークさんは背後に周り、蹴りをいれるが、橘さんは泥の壁を作り出してガードした。
「おっ? ーーくそっ! 抜けねぇ!
足がドロの壁に埋まり動けない様子のジークさん。
(ジークさん。耐えてくださいね)
見ているだけで申し訳ないが、僕にもやるべきことがある。
「ヒロさん。必要な物は全てセットしているので、僕が合図出したらボタンを押してください」
「任せてー!」
ヒロさんに伝えると、ザーハックさんの元へと掛けた。
「ザーハックさん。僕が引きつけるので、フィナーレスキルの準備をお願いします!」
「おう! 坊主じゃねぇか! 任せろ!」
僕はクルトさんとショーマさんの周りを走り回り、撹乱させる。
「ーーっ! 『サンダーショット』!」
ショーマさんは僕に向かって魔法のスキルを使用してきた。
その魔法を剣で切り裂き、クルトさんに攻撃を仕掛ける。
「坊主! 準備できたぞ!」
「では、手筈通りにお願いします! 『挑発』!」
挑発のスキルでショーマさんとクルトさんに使い、ザーハックさんから遠ざける。
「くそっ! 動けねぇ!」
ザーハックさんは高く飛び上がる。
「行くぜ! 紅き龍よ、流れる星となりて地上に降り注げ!」
炎の龍を纏うと、その炎龍は威嚇するように咆哮する。
「ーーフィナーレスキル! 『流星紅龍《ブレイズドラゴン》』!!」
「お前だけは生き残れ!」
「えっ? おい!」
ドッッゴオォォォォォォォッン!!!!
そのフィナーレスキルは、激しい地響きとともに、熱風がフィールド全体に拡がっていく。
(見るのは二回目だけど凄い迫力だな。ザーハックさんの攻撃力、筋力、精神力があってこその威力だろうなぁ)
「おい! クルト! お前……なんで!」
視界が開けると、そこにはショーマさんの姿があった。さっきの声は多分、クルトさんがショーマさんを助けた声だったんだ。
だから、ザーハックさんのフィナーレスキルはクルトさん一人に当たったのか。
仲間を想いやるその優しい行動に敵ながら少し感動した。
とにかくこれで、橘さんが司令塔に戻れなくなった。
息を切らしているザーハックさんに駆け寄り言った。
「ザーハックさん。ナイス一撃です」
「はぁ……はぁ。あぁ……感謝する」
突然、ヒロさんの取り乱した声が聞こえだした。
「えぇっ!? あれって! もしかして!」
最後の敵が現れたのかと思い、僕は相手陣地を見ると、そこには敵として戦った、ドミニデスがスタスタと橘さん方面に歩いている姿があった。
「う、嘘だろ……」
「どうした坊主」
僕の言葉にザーハックさんが反応したので、指を差しながら言う。
「ドミニデスですね。グリードテリトリーの元ギルドマスターの。なんで橘さんのギルドに?」
「まじかよ。おいおい坊主大丈夫か? 坊主が考えた作戦はあのメガネに対しての策だろ?」
確かにこの作戦は橘さんを対策した作戦だ。ドミニデスがいるのは驚いたが、作戦の支障はないだろう。
(勝てるとは言ってない。最悪全員キルじゃなくても、ギルドガーディアンを倒せばいいか)
「まあ、なんとかなると思います。こちらの方が人数は有利ですし。ザーハックさんは一回休みましょう。ーーリーフィスさん来れますか?」
「はい! 大丈夫です! 行きます!」
「おい坊主。俺は大丈夫だぞ」
「フィナーレスキルの反動で疲れてるでしょうし、あとでドミニデスの相手をしてもらわないといけないので。まずは時間稼ぎをして作戦を開始します」
「わ、分かった。ーーでは、リーフィス王女すみませんお願いします」
「お任せくださいっ!」
交代して、出てきたリーフィスさんはガッツポーズのような仕草をして元気よく言った。
「お願いしますね。リーフィスさんはルナさんとグーファーさんのところへお願いします」
「了解です!」
僕はそのままジークさんのところへ向かう。
「ジークさんすみません、一人にさせて」
「大丈夫だ問題ない。言われた通り攻撃を躱すことに専念していた」
すると、ドミニデスは拳を鳴らしながらーー
「ほぉ。あの時のガキじゃねぇかぁ。また敵対するとわな。ヒロは元気か?」
「えぇ。元気ですよ」
ドミニデスの質問に答えると、橘さんが割り込むように話しかけてきた。
「やあ、トワ君。君たちの本気を見れそうで嬉しいよ。
さて、カルリナ君を入れたら僕たちが三人、そちらは二人。この不利な状況を覆すことはできるかい?」
「今のこの状態ではハッキリいって無理でしょうね。
ですが僕たちにしかできないことがある。今度は僕も全力を出して橘さんたちを倒します!」
橘さんは僕の言葉に少しだけ微笑み、メガネをクイっと上げながら言う。
「トワ君。君が……君たちがどんな作戦で僕たちを負かすのか……それともただのハッタリか……。見せてもらおうか」
僕は武器を前に突き出しながらーー
「勝つのは僕たちです!」
「では、こちらも全力で君たちを倒す!」
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