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第三章 ギルド結闘編

第79話 ギルド対抗戦・本戦に向けて

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 ジークさんとの訓練から約一週間が経った。 
 本戦の開催まで二週間を切った。

 この一週間で、僕はナイトをクラスアップさせ、パラディンとなった。
 他の職業のレベルも上げ、たくさんのスキルポイントを確保した。
 スキルも、『アクセル』などの補助スキルや、『インパクト』などの攻撃スキルも取った。
   
 僕は将来、魔石剣士か乗獣騎士をやりたいと思っている。
 魔石剣士は、集めたルーンを装備に付与して、ステータスを強化したり、新しい能力を発動させることができるので面白い。
 乗獣騎士はモンスターを召喚して、一緒に戦ったり、モンスターに乗って、広い大地を駆け抜けると楽しそうだ。

 そして、今日はジークさんやリーフィスさん、トゥビーさんは、ギルド対抗戦を見たことがないって事で、勉強を兼ねてみんなで、シルティタウンへ行く予定だ。

 現地集合にしているので、僕とハニポンは一足先に、シルティタウンに来ていた。

 ギルド対抗戦を勝ち抜くために大切なことがある。勿論ギルドメンバーとの信頼だったり、コンビネーションも大切。

 ギルド対抗戦は、専用のアイテムを持ち込むことができ、ギルドロビーで使用することができる。

 アイテムの種類は、連続で使用はできないが、高い威力を誇る、『ギルドキャノン』や、ギルド対抗戦中のみに召喚できる、『モンスターの召喚書』、仲間を復活させたり、バフを与えたり、相手にデバフを付与するアイテムなどなど、たくさんのアイテムがある。

 購入方法は、ギルドショップと呼ばれるお店に行き、ドリーやギルドメダル、ゴールドメダルを使って購入できる。
 勿論、ゴールドメダル限定のアイテムなども存在する。

 ハニポンとシルティタウンで待っている間は暇なので、ギルドショップへと向かった。

 ショップで僕は、ギルド対抗戦に必要な、『ギルドキャノン』各種などを購入した。
 これらアイテムを、駆使して戦うのがギルド対抗戦を勝利するためのカギだ。

 ギルドショップから出ると、一通のミニメが飛んできた。

 ヒロさんからだ。シルティタウンに着いたみたいなので、指定された場所へと向かった。


「こんにちは。すみません、お待たせしました」

「あ! トワ君! やっほー! みんなもそろそろ着く頃だよ!」

「ヒロピーじゃーん! いぇあ!」

「ハニポーン! いぇあ! ハニポンは、トワ君といつもいるんだね!」

「まぁねぇ。こいつといると面白いからねぇ。からかいがいもあるしぃ!」

「からかいがいって……。からかわれる身にもなってくれよ……」

 そんなこんなで待っていると、五分もかからずに他のメンバーも集まった。

 早速、ギルド対抗戦の見学のため、ギルド会館へと向かった。



 ギルド会館に着いた僕たちは、ギルド対抗戦が始まる時間を見ていた。
 時間とギルド名を確認した僕は、みんなに問いかける。

「『ギルド対抗戦・BETトーナメント』が、十三時から始まるみたいです。人気があるのは、この『ギャラクシー・ソルジャー』と『極天』ですね」

 僕の問いにジークさんは、不思議そうに質問する。

「なんで、その二つが人気って分かるんだい? 強いのか?」
 
 僕はモニターの右下にある文章を指差しながら言う。

「この数字がオッズと言いまして、低い方が人気のあるギルドになります」

 話の途中で、ジークさんは驚くように言う。

「どうして!? 高い方が人気があるのではないのか!? なんで?」

「たくさんの人がそのギルドが優勝する! と、思って、そのギルドに賭けているわけですので、倍率が下がっていくんですよ。
 逆にこのオッズが高いギルドはみんなに期待されていないんですよ。
 なので、この数字が高くなるわけです。もし、そのギルドが優勝したら、かなりの額が戻ってきますね」

「なるほど。勉強になる。面白いシステムだな!」

 ふんっ。と鼻で笑い、渋い声でザーハックさんが呟く。

「オッズが高いギルドに賭けるのも……男のロマンだ……」

 その言葉に笑顔で、リーフィスさんが言う。

「ザーハックさん詳しそうですね」

「えぇ、まあ。休みの日に通っていたので。少しは分かります」

 王女様のリーフィスさんに、ザーハックさんはぎこちない言い方になった。
 僕は続けて言う。

「そして、この数字が収容人数です。もう既にそのスタジアムに入っている人数の事を指します。
 もうこのスタジアムにはかなり人が入っているみたいです。投票用紙を書いて受付の人に出しましょう!」

「決まったなら早速行ってみよー!」

 ヒロさんが元気よく声をあげた。


 『ギルド対抗戦・BETトーナメント』は、八個以上のギルドが集まって、トーナメント方式で戦う。
 観戦者はどこが優勝するかを決めてそのギルドを応援するのだ。
 見事に的中させれば、一攫千金も夢じゃない!
 ギルド対抗戦とルールは変わらないので対抗戦の勉強にもなるしお金も増える可能性だってある。

 買い方は色々あるが、詳しくは知らないから僕は基本は、一点買いの単勝を狙っている。
 受付の人から、みんなの分の投票用紙を受け取った。

 ザーハックさんは、初心者のルナさんやトゥビーさんに色々と教えてくれている。

 投票用紙に記入したあと、受付の人に持っていく。半券だけもらい、それを受け取る。
 
「では、みんなで勉強しに行きましょー! レッツゴー!」

「「「おぉーー!!」」


 ギルド対抗戦の会場に入った僕たち。席が空いていないので、バラバラに座ることになった。

 ハニポンは僕の左肩に乗り、足をブラブラさせながら僕に話しかける。

「あんたは、どこのギルドに賭けたのぉ?」

「僕は三番目に人気のギルド、『風の道標』だよ」

「まあ、それくらいのギルドだったら、ワンチャン狙えるもんねぇ」

「まあ、それもあるけどね。ここ最近の勝率も上がってきているから、このトーナメントのダークホースになってくれるって思ってね」

「ふーん。まあ上手くいくといいねぇ」


 十三時になり、『ギルド対抗戦・BETトーナメント』が始まった。

 

 数時間経ち全ての試合が終了した。結果は僕が賭けた『風の道標』は三位に終わった。
 賭け金は千ドリーなので痛くはないが、少し残念。


「いやー! 見ていて楽しかったです! 勉強になりました! 連れてきてくれてありがとうございます!」

 トゥビーさんはそう言いながら、目をキラキラさせ、長耳をピクピクさせた。

 その表情は本当に喜んでいるように見えた。喜んでもらえて良かった。

「いえいえ。本戦までまだ時間はありますので、たくさん勉強しましょう。
 僕も勉強と修行をしなきゃですし」

 その言葉にリーフィスさんが心配そうに言う。

「トワさん、あんまり自分を思い詰めないでくださいね」

「はい、ありがとうございます。気をつけます。では、今日はこれで解散にしましょう。各自、自由時間を楽しんでください! では、かいさーん!」

 こうして、僕たちはそれぞれの時間を楽しんだ。
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