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第三章 ギルド結闘編
第61話 ハニポン再び
しおりを挟むトゥビーさんがギルドに加入して、数日が経ったこの頃。
今日のお昼、十二時から、『イベントストーリークエスト』が開始される。
『イベントストーリークエスト』は、ギルド会館から出発でき、専用のステージに転送される。
特別なストーリーを体験できる、一人プレイ用のクエストだ。
このクエストは、基本ストーリーを見るだけである。たまに、戦闘やプレイヤーの選択肢で物語が分岐することもある。
ストーリーを一つクリアする度に軽い報酬が貰え、最後まで見終えると、特別な報酬が貰える。
中には役に立つものもあるので、僕は全てクリアするようにしている。
そんなに難しいものでもないので、気楽にできるのが、『イベントストーリークエスト』のいい所。
早めに終わらせて、『資格試験』をクリアしに行こう。
そして、僕はギルド会館へと出かけた。
ウガルンダのギルド会館に着いた僕は、時間も少しあるので、軽い昼食を取った。
やはり、初めてのイベントなので、人集りが増えてきた。
そもそも、イベント時は多くなるのかな。それはちょっとめんどくさいなぁ。
昼食を終え、しばらくすると、ゲームパッドに通知が来た。
内容を確認しようとすると、ちょんちょんっと肩をつつかれた。
僕は、その方向に振り向くが誰の姿もなかった。でも、何かの音は聞こえる。僕は、目を閉じて集中する。
集中していると分かる。ブゥゥン。っと音がしている。
かなり大きい虫がいるのかもしれない。
音が消え、背後から気配を感じた僕は、パッと振り向いた。
するとそこには、出会った頃から姿を見せていなかった、ハニポンの姿があった。
「あ! ハニポン!」
「もう! せっかく、あーしがサプライズ登場して、驚かせてあげようと思ったのにぃ! なんで気づくのぉ!」
「久しぶりだね。最初は本当に気づかなかったよ。それより、ハニポン。
今までどこに行ってたのさ。
今、プレイヤーたちがログアウトできなくて大変なんだ! 何か知ってる?」
「久しぶりぃ! あーしはずっとお家《うち》にいたよ?
ママたちに外に出かけらダメェーって言われてからねぇ。
プレイヤーたちがログアウトできないぃ? あーしは何も聞いてなぃよぉ。
まあそのうち、ログアウトできるようになるんじゃない?」
「ママたちって、ガルポンのこと? そのうちって適当だなぁ。まあ、知らないんだったら仕方ないよなぁ」
「うん、そだよー。ガルポンがあーしたちのママぁ。
だってぇ、あーし何も聞いてないんだもーん。まあ今度聞いてみるよぉ」
聞いてもらえるなら助かる。ハニポンに任せるしかない。
今は、みんな慣れてきて、楽しんでいる人も多いみたいだけど。
「うん。みんなが困っているから聞いてみてほしい!
そういえば、今はハニポンは外に出てもいいの? 禁止されてるんでしょ?」
「イベントの説明とかあるから、出て良いって言われたしぃ! それにあーしはもう、自由にしていいってマスターに言われたんだぁ」
「それは良かったね。それでマスターって?」
「んっとねー。ゲームマスターは、この世界の管理人的な?
ちな、他に部下がニ、三人、人がいて、その人たちがサーバーの管理とかしてるらしいよぉ?
アップデートして色々追加したりするんだってぇ。まあ、あーしには関係ないけど」
ゲームマスター……。この世界の管理人か……。
かなりの重要人物になりそうだ。
ハニポンとの会話がはずみ、僕はイベント開始の時刻を過ぎてしまっていた。
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