58 / 101
第三章 ギルド結闘編
第58話 エルフ族の過去
しおりを挟む手を振りながら、こちらに走ってくるリーフィスさんの姿があった。
そんな走らなくてもいいのに。なにかあったのかな?
「あ、トワさん。お忙しい中すみません」
「いえ、特に何もしてないので大丈夫ですよ。どうかしましたか?」
リーフィスさんの言葉に僕は返すと、ドリアード様が手を挙げて言った。
「あっ、ごめんなさいね。私が呼んでほしいって頼んだの。
ギルドハウスを購入したと聞いたから。一度見ておきたくてね」
「そうだったのですね。購入したばかりでまだ中身はないのでお恥ずかしいですが」
僕とリーフィスさんは、ドリアード様に、中身がスカスカのギルドハウスを案内して回った。
家具などはまだないけれど、家の構造や大きさには自信がある。
案内を終えると、ドリアード様は笑顔を取り繕いながら感想を述べた。
「素敵なギルドハウスね。中身はまだないようだけど。
あ、そうそう。この前のお礼も兼ねてプレゼントを持ってきたの」
「あ、ありがとうございます。中身は……これから集めようと思います……。
プレゼントですか? せっかくですので頂きます」
「そんな、かしこまらなくていいのに。はいどうぞ」
「ありがとうございます! 助かります!」
ドリアード様は、家具や野菜の種などをカード化の状態で渡してくれた。
野菜は育てようと思っていたので、嬉しい。
土地はあるし、一部を畑にするのもありだな。
そして、僕は、気になっていた事を聞いてみる事にした。
「あの、ドリアード様。二つほど聞きたいことがあるんですがいいですか?」
「えぇ。いいわよ。何かしら」
「答えられない質問もあると思いますので、答えられる範囲でお願いします。
一つはドリアード様は大精霊だからと納得できます。
が、なぜ長老さんたちは、レベルや職業があったのに、ウェーンさんやトゥビーさんたちには、レベルや職業がないのはなぜですか?
二つ目は、エルフ族が人間を嫌う理由ってなんですか?」
「あーそれね。まあ、気になるわよね。少し長くなるわよ」
「はい、構いません」
「数百年前までは、人間もエルフも他の種族も、レベルや職業なくて、みんな力を合わせて生きていたの。
エルフ族は他の種族のように、街に住んでいる子もいたし、人間と冒険に出る子もいたわ。
でも、ある日、人間族が新たに開発した、レベルや職業を持つ制度によって状況は一変したの。
今の君たちのようなプレイヤーの様な感じね。死んでも、教会で生き返るの。でも、老衰などでは生き返らないんだけどね」
そんな制度があったのか。
勝手に、『プレイヤーシステム』と名付けておこう。
なら、そのシステムを利用した者は、もれなく全員、HPが0になっても教会で生き返ることができるってことか。
職業やレベルがある、ルナさんやリーフィスさんたちも、それが適応されているってことだよね?
「その制度で、種族間のパワーバランスが崩れ始めたの。
まあ、それだけなら良かったんだけどね。
その制度を利用すると、死んでも生き返ることは出来るけど、ステータスや本来の力が制御されてしまうの。
レベルが上がるにつれ、ステータスなどが上がって強くはなるんだけどね。
エルフ族は元々、長寿だし、知力や魔力が高かったから、そんな事をしなくても十分強かったし、回復スキルも豊富だから、致命傷を受けても回復ができたの」
そりゃあ、そのシステムがあれば、俗に言うゾンビだ。
争いでも起きれば、いつかは人間が勝利してしまう。死んでも生き返るんだから。
エルフ族はよく、知力や魔力が高いと言われてるもんね。
ドリアード様は少し沈んだ顔を浮かべて、話を続けた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる