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第三章 ギルド結闘編

第45話 サプライズとギルド作成

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 恐る恐る、ギルド会館のドアを開けた途端。クラッカーを鳴らす音と共に、たくさんの人の声が聞こえた。

「おかえりー!!」
「お疲れ様!」
「大変だったねー!」
「ありがとう!」
「信じてたぜ!」

「えぇ!? な、なんですか!?」

 思わず僕は声が出てしまう。びっくりしたぁ。紙吹雪が口の中に入っちゃった。

 ヒロさんの方を向くと、ヒロさんにもたくさんの紙吹雪が絡まっていた。女性の方が髪が長いから取るの大変そう。

 そんな事を思っていると、メルさんとマリーさんが近づいてきた。

「トワさん、ヒロさん! 大変お疲れ様でした! みんなのためにありがとうございました! 全て、ザーハックさんやトロン国王様から聞いています。
 大変活躍されたそうで。私、信じてましたよ。遅れましたが、おかえりなさい」

 ザーハックさんたちは先にメールなどで伝えてたのかな? それでサプライズを用意してくれてたのかもしれない。

「ありがとうございます。お役に立てたなら光栄です。メルさん、みんな、ただいま戻りました!」

「メルさん、ありがとう! ただいま! みんなもただいま!」

 ヒロさんも空元気には見えるが少し笑顔を見せた。マリーさんも少し笑顔を見せ、僕たちに言葉を発した。

「二人とも、良くやってくれたね。大変だったろう。ザーハック君から話は聞いている。
 二人とも頑張ってくれてたってね。橘って人も手伝ってくれたんだろ? 
 いい仲間を持ったね。今日はみんなで打ち上げパーティーだよ。楽しんでおくれ」

「今日はマリーさんの奢りですよ! 好きなだけ食べて飲んで下さいね!」

「ありがとうございます。パーティーですか。とても嬉しいです。ところで橘さんはいないんですか?」

「橘さんなら、もう旅立ちましたよ。色々と楽しみが出来たって喜んでたらしいですし」

 僕の問いにメルさんが答えてくれた。

 橘さんはいないのか。あの戦いにおいて、橘さんの力が大きかったのだが。

 まあ、アーティダル王国でお別れは言えたからいっか。

「そうなんですね。ありがとうございます! 今日は楽しませてもらいます」

 僕たちは案内をされた席に座っていると、数名のスタッフが食事を出してくれた。

 その中に、金髪のハーフツインテールの女性に、藍色のサイドロールロングヘアの女性、さらに、執事風の服装に、赤色と緑のオールバックの男性がいた。

 雰囲気といい立ち振る舞いといい、リーフィスさんやルナさん、ジークさんに似ている。いつもの髪型と服装ではないけども。

 多分本人だ思う。ルナさんやリーフィスの美しさや風格。ジークさんの鋭い眼光に髪の色。
 全然隠しきれていない。僕の目は誤魔化せないぞ! 

 さらに、食事を持ってきてくれた時、言葉を発さずに一礼していた。

 声でバレるのを恐れていた可能性もある。もし、サプライズだったら申し訳ないので、気づいていないことにしておこう。
 
 それにヒロさんは、ずっと俯いてて顔も見てなさそうだし。
 
 すると、突然。受付前にいた赤髪の男性が、マイクテストを行った後に口を開いた。

「えぇ、本日は急なお声かけの中お集まり頂きまして誠にありがとうございます。
 さっそくですが、上のモニターにご注目ください」

 ザーハックさんらしき人物がそういうと、電源が切れていたモニターが映しだされた。

 てか、ザーハックさんたち帰ってくるの早くないかな? 僕たちが国を出る時にはまだアーティダル王国にいた気がするんだけど。

 そういえば、ルナさんやリーフィスさんもそうか。すぐに追いつける距離じゃないし、僕の考えすぎかな?

 モニターに注目していると、そこには正装姿のルナさんの姿があった。

「わたくしはアーティダル王国の第一王女のルナ・アーティダルと申します」

 その声に反応して、ヒロさんがパッと顔を上げる。

「る、ルナちゃん……。どこにいるの……?」

 テレビ画面なので当たり前だが、ヒロさんの言葉に反応はしない。

 VTRの内容は、アーティダル王国で起こった出来事、謝罪や感謝の言葉を述べたものだった。
 そして、「最後にお話があります」と言って、画面が切れてしまった。

 ザーハックさんらしき人物がマリーさんにマイクを渡した。すると、

「ルナ第一王女からのメッセージでした。みなさん拍手を」

 みんなが拍手を始めた。周りに釣られ僕も拍手をする。静まった後にマリーさんは続ける。

「では、最後に、この方からお話があるそうなので聞いてください」

 そう言って、藍色のサイドロールロングヘアの女性にマイクを渡す。

「わたくしたちの急なお願いにもかかわらず、こんな素晴らしい会を開いて頂きありがとうございます。
 かなりお時間を押していますので、前置きはこれくらいにして、いきなりですが、本題に入らせて頂きますね」

 敬語の使い方や独特な喋り方が、まんまルナさんだ。彼女が語ったのは、普段は城から出ることがなかったのだが、皮肉にも今回の事件が、外の世界に触れるきっかけになり、みんなに出会うことができた。

 そして、色々と興味を持ち、冒険もこんなに楽しいものだとは思わなかったそうだ。そして、

「わたくしはたちは、またみんなで冒険をしたいと強く思います。
 父上の許可は得ました! ですのでヒロ様、トワ様、足手まといになるかと思いますが、わたくしたちをもう一度、外の世界に連れていってはくれませんか? 一緒にまた冒険がしたいです!」

「「お願いします!」」

 ルナさんの後にジークさんとリーフィスさんらしき人物が頭を下げる。

 ヒロさんは手を口に当て、何が起こっているのか分からない顔をしている。

「え? え? ルナちゃん!? どうしてここに?」

 ルナさんたちは僕たちに近づき。

「わたくしたちからのサプライズですわ。黙っててすみません。
 ヒロ様。ヒロ様たちの冒険にわたくしたちも連れて行ってくれませんか?」

「……うん……。もちろんだよ! うわーんルナちゃーん」

 おぉ! やはりルナさんたちだったか。許可が出て良かった。

 また一緒に冒険ができると思うと、僕としてもとても嬉しい。
 まあまずは、僕は橘さんとの約束を守らなければならないのだが……。そんな事を思っていると、ジークさんが、

「トワさんはまず、橘さんとの対決だよな! みんなで、ボッコボコにしてやろう!」

「まあ、そうなりますね。でも、ヒロさんやルナさんを巻き込んじゃいますよ。二人は事情を知らないでしょうし」

「ルナやリーフィス王女には俺から説明してるよ。ルナもやる気です! 
 それに、俺も強くなりたい。あの戦いを経て、俺は自分の無力さを知ったよ。
 そして、あのスカした眼鏡をギャフンっと言わせてやるんだ!」

 ルナさんたちには事情を話してくれてたのか。それはありがたい。

 それはそうと、スカした眼鏡って橘さんのことか。しかも、ギャフンって今時使う人がいるんだ。

 橘さん、知らないところで色々言われてますよー。
 
「どういうこと? 何の話?」

 何も知らないヒロさんに、僕は橘さんとの出来事を話した。何で協力してくれたのか。僕が交わした約束など色々と。


「私が知らない間にそんな事が……。それでギルド対抗戦とかをしようってなったんだ。
 面白そう! せっかくだし、私たちのギルドを作ろうよ! ねっトワ君」

 ギルドを作成するのは、気持ちが固まったからいいのだけど、僕の我儘でこんな話になってしまったし、前も変な雰囲気にしてしまったので、ここは僕がお願いするべきだと思い、

「前に、ギルドを作ろうって誘ってもらった時、僕が余計なことを言ったばかりに、変な空気にしてしまいました。
 今回のギルド対抗戦の件も僕のせいでみなさんを巻き込んでしまいました。なので今回は、僕から言わせて下さい」

「ん? 何を?」
「え?」

 ヒロさんとルナさんが不思議そうに見てくる。あんまり注目しないでほしいよ。
 こっちが恥ずかしくなってくる。もう既に恥ずかしいけど。

「えーっと。気恥ずかしいのですが、、ギルドを作成して、またみんなと冒険したいです。
 そして強くなっていきたいです。未熟者の僕に皆さんの力を貸して下さい」

 よし、噛まずに言えたぞ。恥ずかしくて体が熱くなってきた。するとヒロさんが言う。

「うん! もちろんだよ! トワ君がギルドマスターね! トワ君から誘ってもらえて嬉しいよ!」

 続けてルナさんが、

「分からないことだらけですが、一生懸命頑張ります。こちらこそお願いしますわ」

 さらにジークさんも続ける。

「トワさんありがとう! 俺も頑張るよ!」

 三人ともからいい返事が聞けて嬉しい。リーフィスさんがどうしていいのか分からないのか、オロオロしているので、

「リーフィスさんも良かったら、ギルドに入ってくれませんか?」

「え? 私もいいんですか? 私、部外者かと思ってどう声を掛けていいのか分からなくて。
 その『ギルド』っていうのもよく分かってませんが、皆さんの仲間に入れてもらえるなら嬉しいです」

「はい! リーフィスさんも是非! ゆっくり色々と教えていきますので大丈夫ですよ。
 みんなで楽しみましょう。それでは、皆さん! よろしくお願いします」

 その場でギルドを作成した。ギルド名はまだ決まってないけど。これからみんなで決めていこうと思う。

 方針なども兼ねて。僕の楽しみが一つ増えた。

 そして、ザーハックさんやルナさんたちが早く来ていた理由を聞くと、ギルド会館のアーティダル支部が復活し、別の支部にワープできる機能が使えるようになったかららしい。

 それを早く教えて欲しかったよ……。
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