34 / 101
第二章 王国奪還編
第34話 ヒロvsドミニデス
しおりを挟む※ヒロサイド
黒いオーラを纏うドミニデス。
とてつもないプレッシャーを感じる。悲しみの中にも優しさが見え隠れしていたドミニデスはもういない。
再びステータスを確認してみると、
名前 ドミニデス レベル35
職業 ウォリアー
ステータス
HP 6000/6000 (4000+2000)
MP 350+175
物攻 480+240
物防 350+175
魔攻 200+100
魔防 300+150
素早さ 180+90
特殊スキル
支配の恩寵
全てのステータスが50%ずつ上がっている。ステータスだけでいうとBOSSレベルだと思う。
これが支配の恩寵の力なのか。
私のステータスを遥かに超えている。これは勝てない。そう確信した。
ドミニデスは不敵な笑みを浮かべながら、こちらに近づいてくる。
「こないのか? こないならこっちからいくぜ」
「待って! さっきまでのドミニデスはどこにいったの? 私はできるなら、戦いたくないよ!」
「ふんっ。そんな戯言なんか本気にしてたのか。俺はただ支配さえできればいい。勝利さえも俺は支配する!」
戦うしかないのかな。何もしなければ、このままやられてしまう。
今のドミニデスにダメージを与え続けたら元に戻るかな?
分からないけど、これに掛けてみようと思う。杖を前に突きだし、
「ごめんね。正気に戻って。『煌めく星』!」
私が放った『煌めく星』は真っ直ぐドミニデスに向かう。
ドミニデスは手をバチンッと叩き、
「『ハウリングフィアー』!」
バチンッと鳴らした衝撃波から、耳障りな嫌な音が鳴り響く。
『煌めく星』は、その衝撃波によってドミニデスに届く前に爆発してしまった。
私は『ハウリングフィアー』の効果を受けると、ステータスが下がる効果音がした。
『ハウリングフィアー』は相手の魔法攻撃力と魔法防御力を一分間10%低下させる。
ファイター系統のスキル。魔法攻撃力が下がるのは、ウィザードの私には痛手である。
(『ハウリングフィアー』のCTは確か、90秒。ここは魔法を撃ちまくって、ザーハックさんがくるまで時間稼ぎするしかない。私……時間稼ぎしかしてないな……)
私は距離を適度に取りつつ、スキルを使う。
「『スパイラルマジック』!」
ドミニデスは微動だにせず攻撃を受ける。余裕の表情を浮かべ、ガハハハッハと高笑いをしながら、
「やはり、この力は素晴らしい。あの男の言う通りだ。お前は恩寵を知らなかったな。
では、この素晴らしい恩寵の能力の一つである、『恩寵スキル』をお見せしよう。瞬きするなよ」
そういうと、ダッシュで近づく。その速さに私は反応できなかった。
「これが恩寵スキルだ。『毒祭』」
爪を使った攻撃だ。私は二メールくらい飛ばされて、壁に叩きつけられた。
気づくと、毒状態になっていた。毒状態は十秒毎にHPの5%のダメージを受けてしまう。
「この『毒祭』は攻撃対象のステータスが低下していれば、確定で毒状態を付与できる。
そして、さらに、二つ以上のステータスが低下していれば、元々のCT20秒が、10秒でまた再使用可能になる。まさに、毒のフェスティバルだ!」
「能力も大幅に上がって、恩寵スキルってのも使えるんだ。
それにスキルのインフレだよ……。スキルの効果なんか、最高職レベルじゃん」
「おいおいおい! こんなんでくたばってくれるなよ!? 恩寵スキルの凄さはこんなもんじゃねぇ!
もっとすごいもん見せてやるからよぉ! レベル差やステータスだけではないってことを教えてやらんとな」
「その恩寵がなんなのか分からないけど、悪い力に支配されないで……。そんな『呪い』なんかに負けないで」
「俺は支配されていない。支配しているのは俺だ! 恩寵は呪いじゃない。お前は恩寵の素晴らしさが分からないのか」
「分かりたく……ないね。暴走して自我がない人に大切な人を守れるはずがないでしょ」
「ふんっ。暴走などしていないわ。弱いやつを守る義理なんかない。
ただ、強いやつがだけが生き残り、弱いやつは朽ちていくだけだ」
「さっき言ってた、『支配の恩寵』は、その男から貰ったってこと?」
「あぁ。そうだ。恩寵はあの男に貰った。俺ならこの『恩寵』の力を使いこなせるとな」
「さっきと言っている事が逆だよ。ちょっと意味わかんないし。
使いこなせてないよ。その恩寵かその男に操られているんだよ。目を覚まして!」
「なんとでも言うがいい。俺はこの力で強くなって、またあの男と決着をつける。お前らはその礎となっていればいい」
様子がおかしいのは恩寵の所為だと思っていいかもしれない。早く元に戻してさっきのドミニデスに戻さなきゃ。
「『ライフドレイン』」
倒れながらも、杖を向け、スキルを使うも、ドミニデスには効いていない。
ここまでか。もう終わりだと確信する。ドミニデスは拳を握りしめると、
「ウィザードの基本スキルか。与えたダメージの10%回復だったか。
俺にダメージはほぼない。最後の力を振り絞ったのだろうが無意味だったな」
と言い捨て、ドミニデスは高く飛び跳ねどこかへいってしまった。
私は助かった。まだ良心が残っていたのかな? 何かを葛藤していたように見えた。
私は回復をしっかりとおこない、ドミニデスが飛んでいった方向に向かった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。
笑ってはいけない悪役令嬢
三川コタ
ファンタジー
長い間第一線から退いていた円城寺博士は、視力を失った左目に高機能人工眼球の適合が成功すると、量子物理学の領域に学習型AIによるフィードバック制御を確立し、人工知能の有用性を示して返り咲き、量子コンピュータオンライン研究機構センター長に迄上り詰めた。そして量子コンピュータのオンライン利用が開始される直前、博士は6基の制御AIへ、6尊の菩薩の魂入れ儀式を行うのであった。
フラーグ学院一年生=ファウスト・オウラ7世(シーコック国王太子)。イコリス・プラントリー(宰相の娘)。サイナス・プラントリー(イコリスの義弟)。アイ・レットエクセル(魔力を持つ平民)。(五大貴族頭首の嫡子達)トゥラン・キュリテグロース、ジェネラス・ケーナイン、チェリン・サウザンド、ラビネ・リヴェール、フラリス・ブリストン。アッシュ・エイマール(平民)。二年生=シャンス・グランドル(平民)。三年生=フェリクス・ストライト(平民)。異世界からSFファンタジーへ急転しますが、転生が詳らかになると収束します・・・頑張ります。寛大な気持ちでお読みいただければ幸いです。よろしくお願いします。
小説家になろう/カクヨム/ノベルアップにも掲載しています。
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
奪われたものは、もう返さなくていいです
gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる