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第二章 王国奪還編
第18話 神が齎す奇跡 その名は恩寵
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※ゲームマスター視点
彼らがギルド会館を出て、数分経った。
ここは私の研究施設。
「報告します。彼らは先程、王国奪還作戦のため、ルルード王国とアーティダル王国へと旅立ちました」
私は忙しい身で、この世界にそこまで干渉できない。だからこうして、部下から報告を受けている。それで今の状況を把握しているのだ。
「ありがとうございます。あの子も一緒ですか? まあ、あの子なら着いていきそうですがね」
「はい。同じパーティーです」
「そうですか。それは安心しました。どうなるんでしょうね。結果が楽しみです」
「お言葉ですがマスター。これはマスターが仕組んだ事なのですか? それでしたら、流石にやり過ぎかと」
「さぁ、どうでしょうね。この世界の行く末は私が決めるのではない、彼らは、なんて言いましたかね?
現住人でしたっけ? そんな彼らとプレイヤーである皆さん。そして、私が研究している、この子です」
私は近くにある、部屋の四割を占めるであろう、縦長の巨大なコンピューターを触ってみせる。
この子は今、力を使い果たし深い眠りについてしまっている。
元々は、虹色に光り輝いていた。だが、私が酷使しすぎたのだろう。今は輝きを失っている。
この子を目覚めさせるには大量の経験値が必要なのだ。
プレイヤーが死亡すると『デスペナルティ』として、経験値を少し失う。その量はレベルが高い程多くの経験値を失う事になる。
失った経験値はこの施設に送られるよう改造してある。その経験値がこの子の養分となり、いつかはまた目を覚ますでしょう。
「彼らが戦っている間私たちは、何をしたらいいのですか?」
「私たちに出来る事は神に祈る事だけです。さぉ、祈りましょう。
そうすれば、神も答えてくれるでしょう。あなたにも素晴らしい【恩寵】を授けてくれますよ」
「……はい。承知しました」
恩寵とは、神が創り出した奇跡と言われている能力の事。
俗に言う『特殊能力』や『チート』の類いになるだろう。
私の研究では、『太陽の恩寵』、『月の恩寵』、『支配の恩寵』の三つが確認できている。
研究の一つだが、私はその神がどうすれば現れるのか、恩寵は現実の体に一体どんな影響があるのか。
恩寵は自分たちで作ることができるのか。まだ私にも分からないことだらけだ。
その力を私の思い通りにしてみせる。そしていつか必ず……。
そんな事を思っていると。
「ねぇ。マスター? あーしもそろそろ外に出たいんですけどぉ? いつまでこんな所に居なきゃいけないのぉ? 暇なんですけどぉ?」
彼女は旧エタニティ・ドリーム・ワールド。そう、ゲームの時代からいる、マスコットキャラクターの一体であるハニポンだ。
「もう少し待ってください。この戦いが終わったらイベントクエストを用意しております。
そちらの説明の時には外に出ていいですよ。まああんまり、自由にされると困りますので、約束は守ってくださいね」
私はゲームマスターなので、この施設で現住人の方たちやプレイヤーのみなさんに楽しんでもらえるよう、スキルを開発したり、ゲーム内イベントを開発したりしている。
ここには、私以外に現実世界と電脳世界を往来できる人間がいる。彼らもまた、研究者であり開発者の私の仲間です。
すると、ハニポンは私に笑顔を浮かべながら言う。
「わぁい! 分かったー! マスターありがとぉ。そう少し我慢するねぇ」
「こらこら、ハニポン。マスターを困らせてはいけませんよ。マスターはとてと忙しいの。ちゃんと仕事はしなさい」
「分かったよ、ママァ」
彼女はマスコットキャラクターの一体、カンガルーがモチーフのガルポン。
とても優しい彼女は、みんなのお母さん的存在である。そして、私の良き理解者です。
そして突然、私の携帯に着信が鳴り響く。
「さて、そろそろお時間が来たようです。私は現実世界に戻るとします。
報告ありがとうございました。
私は心の底からあなたにあった恩寵を授かる事を祈っております。
また時間が出来次第こちらに参りますね。頼りにしてますよ、マリーさん」
私はマリーさんにそう告げると現実世界に戻った。
彼らがギルド会館を出て、数分経った。
ここは私の研究施設。
「報告します。彼らは先程、王国奪還作戦のため、ルルード王国とアーティダル王国へと旅立ちました」
私は忙しい身で、この世界にそこまで干渉できない。だからこうして、部下から報告を受けている。それで今の状況を把握しているのだ。
「ありがとうございます。あの子も一緒ですか? まあ、あの子なら着いていきそうですがね」
「はい。同じパーティーです」
「そうですか。それは安心しました。どうなるんでしょうね。結果が楽しみです」
「お言葉ですがマスター。これはマスターが仕組んだ事なのですか? それでしたら、流石にやり過ぎかと」
「さぁ、どうでしょうね。この世界の行く末は私が決めるのではない、彼らは、なんて言いましたかね?
現住人でしたっけ? そんな彼らとプレイヤーである皆さん。そして、私が研究している、この子です」
私は近くにある、部屋の四割を占めるであろう、縦長の巨大なコンピューターを触ってみせる。
この子は今、力を使い果たし深い眠りについてしまっている。
元々は、虹色に光り輝いていた。だが、私が酷使しすぎたのだろう。今は輝きを失っている。
この子を目覚めさせるには大量の経験値が必要なのだ。
プレイヤーが死亡すると『デスペナルティ』として、経験値を少し失う。その量はレベルが高い程多くの経験値を失う事になる。
失った経験値はこの施設に送られるよう改造してある。その経験値がこの子の養分となり、いつかはまた目を覚ますでしょう。
「彼らが戦っている間私たちは、何をしたらいいのですか?」
「私たちに出来る事は神に祈る事だけです。さぉ、祈りましょう。
そうすれば、神も答えてくれるでしょう。あなたにも素晴らしい【恩寵】を授けてくれますよ」
「……はい。承知しました」
恩寵とは、神が創り出した奇跡と言われている能力の事。
俗に言う『特殊能力』や『チート』の類いになるだろう。
私の研究では、『太陽の恩寵』、『月の恩寵』、『支配の恩寵』の三つが確認できている。
研究の一つだが、私はその神がどうすれば現れるのか、恩寵は現実の体に一体どんな影響があるのか。
恩寵は自分たちで作ることができるのか。まだ私にも分からないことだらけだ。
その力を私の思い通りにしてみせる。そしていつか必ず……。
そんな事を思っていると。
「ねぇ。マスター? あーしもそろそろ外に出たいんですけどぉ? いつまでこんな所に居なきゃいけないのぉ? 暇なんですけどぉ?」
彼女は旧エタニティ・ドリーム・ワールド。そう、ゲームの時代からいる、マスコットキャラクターの一体であるハニポンだ。
「もう少し待ってください。この戦いが終わったらイベントクエストを用意しております。
そちらの説明の時には外に出ていいですよ。まああんまり、自由にされると困りますので、約束は守ってくださいね」
私はゲームマスターなので、この施設で現住人の方たちやプレイヤーのみなさんに楽しんでもらえるよう、スキルを開発したり、ゲーム内イベントを開発したりしている。
ここには、私以外に現実世界と電脳世界を往来できる人間がいる。彼らもまた、研究者であり開発者の私の仲間です。
すると、ハニポンは私に笑顔を浮かべながら言う。
「わぁい! 分かったー! マスターありがとぉ。そう少し我慢するねぇ」
「こらこら、ハニポン。マスターを困らせてはいけませんよ。マスターはとてと忙しいの。ちゃんと仕事はしなさい」
「分かったよ、ママァ」
彼女はマスコットキャラクターの一体、カンガルーがモチーフのガルポン。
とても優しい彼女は、みんなのお母さん的存在である。そして、私の良き理解者です。
そして突然、私の携帯に着信が鳴り響く。
「さて、そろそろお時間が来たようです。私は現実世界に戻るとします。
報告ありがとうございました。
私は心の底からあなたにあった恩寵を授かる事を祈っております。
また時間が出来次第こちらに参りますね。頼りにしてますよ、マリーさん」
私はマリーさんにそう告げると現実世界に戻った。
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