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5.モルバーン学園(一年生編)
5-56.
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回復術を使ってくれるという娘の話に俺がした反応のが意外らしく、娘は動きが止まってしまった。
「カロリーナ様って・・・なんだか、私のお父さんみたいな反応しますね・・・って、あっ、ごめんなさい、失礼しました」
「いや、いい。気にしないでください」
相槌の仕方がそうだったのかもしれない、気を付けないとだな。
それにしても、娘はいそいそと回復術をかけてくれるのだが、いまいち効いている感じがしない。
もしかすると、ずっとこの痛みと付き合わなければいけないのか、なんて恐怖が脳裏を過ぎる。
「少し、お尻のあたり触ってもよろしいですか?」
「いいですよ・・・」
「では・・・」
優しく触っているつもりなのだろうが、それでも激痛となって俺の全身を駆け抜けた。
その痛みにより『いいいいいっ』と形容しがたい言葉ばかりが口から出てしまう。
痛みの限界を超えそうになるとき、歯を食いしばっているつもりが、その痛みの恐怖からか歯がカチカチと音を立ててしまう。
もうやめてほしいと言いそうになった時、娘から以外な言葉が発せられた。
「カロリーナ様・・・その、女の子の日が来たのではないでしょうか」
「それは、こんなにも痛いものなのですか」
「人によりますが、ここまで痛いというのはあまり聞かないですね。あ、あの、それで、ズボンが・・・」
「ん・・・?」
体を捻り、お尻のあたりを見ると、お尻のあたりが赤く染まっていた。
まさかまさか・・・と言う感じだが・・。
さて、このまま帰る訳にもいかなくなる訳だ、どうしたものだろうかと考えていると、娘が魔法を唱え、痛みはピタリと止まってしまった。
「今の魔法は、何の魔法ですか?」
「その、不意に女の子の日が来た時用の安静にしていれば三日程、その現象を止める魔法です、ですから、その・・・、明日も文化祭楽しめますよ」
「そういうのがあるのですか。便利な魔法ですね、私も覚えておきたいですね」
とはいったものの、この魔法は呪文に聞き覚えが無かったのだが冷静になれば薄っすら記憶にはあった。
たしか、大量に出血している部位に使い、その出血部分に対して強固なかさぶたを作るような物だったハズだ。
それだけにその効果は半日くらいだったと思うのだが、そこは娘の能力の高さ故の効果時間なのだろう。
「こういうのは貴族の間では使用人が覚えるそうですよ。ですから、カロリーナ様のお付きは私にやらせてください!」
「いや、そうは言っても・・・」
言葉を濁してしまったが、娘には大聖女と言う立場がある。
俺の使用人なんかになって、挙句、隣国に付いて来るなんて言い出すと、さすがの王族が黙っていないだろうし、同盟関係にひびが入りかねない。
「分かっています・・・カロリーナ様が隣国に行くまででいいんです、それまで一緒に居て思い出・・・じゃなくて、えっと」
「ですが、フランチェスカさんは学院がありますよね、それはどうするのですか?」
「それでしたら、ヴァンテさんが送ってくださるので、学校が終わり次第こちらに来ます!」
「・・・そう・・・、少し話は変わるのですが、先ほどの神聖術を覚えたという事は聖女と認められたのですね。おめでとうございます。」
「───あ、ありがとうございます」
やっと気づいたと言った感じに、秘密にしていた事をゆっくりと話し始めた。
大聖女と呼ばれ始めた事、ウィリアムとの仲が良くなっている事。
学院の卒業すると同時に貴族の養女となり、学園に入学する事。その為に今は貴族の常識を学んでいる事。
そして、父の生死が分からぬままに異なる親を持つ事を気に病んでいる事。
その父はここにいるのだとは言えないのだが、何か言ってあげたい。
「そうですか・・・、ですが気に病む事はありません。親が何人居ても困りませんし、そんな事で機嫌を損ねるようじゃ親失格です。その分すくすくと育てばいいのです。親を名乗る以上、貴女が健やかに育つ事を望んでいるものですからね、だから気に病む事はありませんよ」
「カロリーナ様・・・、カロリーナ様はどうして、いつも優しくして頂けるのでしょう、私なんてただの平民なのに───」
「私の恩師の娘ですから当然じゃないですか。少しでも親の代わりに力になればと常に思っていますよ。大丈夫です、貴女は一人じゃありません、どんな立場になっても私は味方ですからね」
「一人じゃない・・・」
「そうですよ。国が離れても一人じゃありません。何かあれば私が駆けつけますよ」
いい感じ雰囲気での話になっているのだが、俺は俯せでケツを真っ赤にしている以上、絵にならない状況だ。
どうやって寮に戻ろうか考えていると、ディーナが濡れタオルと替えの服を持ってきた。
一人にしてもらい、服を脱いで血痕を拭き取っていると、やはりと言うべきか出血場所が異なっていた。
恐る恐る、鏡で見ると尾てい骨のあたりから、少し突き出ている物がある。
これ・・・尻尾だ───
あまりにも小さいが、恐らくはドラゴンの尻尾だった。
これは竜化とでもいうのだろうか。
人が竜になるなんて聞いた事がないが、竜の心臓と血液を組み込んだのなら有り得なくもないかもしれない。
とはいえ、これについて言えるのは当人か、ファーヴニルに確認するしかなさそうだ。
今から行くかとは考えたが、学園祭だけは終らしてからでないと、周りから何を言われるか分かった物ではない。
たまたまなのか意図してなのか、ディーナが用意した服はフリルが沢山付いているがスカートだったのは助かった。
これでズボンなんてもってこられてたら、痛くて泣いていたかもしれない。
とはいえ、尻尾のせいで下着がまともに履く事が出来ないのは面倒臭い、いつずり落ちるかという心配が付きまといそうだし、いっそはかない方が楽かもしれん、そうしよう。
それに、この事が周りにバレれて注目を浴びるのは御免だから、隠し通さねばならない。
だが、オルドリッジ様にはいずれバレる・・・案外受け入れてくれるかもしれないが、できれば尻尾なんてものは引っ込めたいものだ。
「着替えおわったー?」
ディーナの元気な声が、何故か嬉しそうに聞こえる。
こちとら割と焦っているんだが、それの何が嬉しいのやら。
・・・いや、何を不機嫌になっているのだろう、冷静にならなくては。
「終わったよ。着替え有難うな」
「何か口調が違う・・・」
娘も近くに居る事を忘れていた───
「あー・・・その、冒険者として動くときの名残です。貴女のお父様の口調をまねてたのですよ」
「でしたら、私に対してもその口調でお願いします!」
「えー・・・いいですけど」
「よかったぁ」
良かったのだろうか。
まぁいいか、言葉を使い分けるのも面倒だったし。
こちらの方が気楽だしな。
*
「カロリーナちゃん、そのスカートに合うね」
「これ、貴族用じゃないよな?市民向けにこういうのが流行っているのか?」
「まぁ・・・これから流行る?かな?可愛いでしょう?膝が見えるくらいがいいんだけど、カロリーナちゃんが履くと、膝はかくれちゃうね。でも可愛いから許す」
「よくウェストがあったな」
「ついさっき、カロリーナちゃん用に調整したよ。ぴったりでしょう?」
「見事だ」
「カロリーナ様って・・・なんだか、私のお父さんみたいな反応しますね・・・って、あっ、ごめんなさい、失礼しました」
「いや、いい。気にしないでください」
相槌の仕方がそうだったのかもしれない、気を付けないとだな。
それにしても、娘はいそいそと回復術をかけてくれるのだが、いまいち効いている感じがしない。
もしかすると、ずっとこの痛みと付き合わなければいけないのか、なんて恐怖が脳裏を過ぎる。
「少し、お尻のあたり触ってもよろしいですか?」
「いいですよ・・・」
「では・・・」
優しく触っているつもりなのだろうが、それでも激痛となって俺の全身を駆け抜けた。
その痛みにより『いいいいいっ』と形容しがたい言葉ばかりが口から出てしまう。
痛みの限界を超えそうになるとき、歯を食いしばっているつもりが、その痛みの恐怖からか歯がカチカチと音を立ててしまう。
もうやめてほしいと言いそうになった時、娘から以外な言葉が発せられた。
「カロリーナ様・・・その、女の子の日が来たのではないでしょうか」
「それは、こんなにも痛いものなのですか」
「人によりますが、ここまで痛いというのはあまり聞かないですね。あ、あの、それで、ズボンが・・・」
「ん・・・?」
体を捻り、お尻のあたりを見ると、お尻のあたりが赤く染まっていた。
まさかまさか・・・と言う感じだが・・。
さて、このまま帰る訳にもいかなくなる訳だ、どうしたものだろうかと考えていると、娘が魔法を唱え、痛みはピタリと止まってしまった。
「今の魔法は、何の魔法ですか?」
「その、不意に女の子の日が来た時用の安静にしていれば三日程、その現象を止める魔法です、ですから、その・・・、明日も文化祭楽しめますよ」
「そういうのがあるのですか。便利な魔法ですね、私も覚えておきたいですね」
とはいったものの、この魔法は呪文に聞き覚えが無かったのだが冷静になれば薄っすら記憶にはあった。
たしか、大量に出血している部位に使い、その出血部分に対して強固なかさぶたを作るような物だったハズだ。
それだけにその効果は半日くらいだったと思うのだが、そこは娘の能力の高さ故の効果時間なのだろう。
「こういうのは貴族の間では使用人が覚えるそうですよ。ですから、カロリーナ様のお付きは私にやらせてください!」
「いや、そうは言っても・・・」
言葉を濁してしまったが、娘には大聖女と言う立場がある。
俺の使用人なんかになって、挙句、隣国に付いて来るなんて言い出すと、さすがの王族が黙っていないだろうし、同盟関係にひびが入りかねない。
「分かっています・・・カロリーナ様が隣国に行くまででいいんです、それまで一緒に居て思い出・・・じゃなくて、えっと」
「ですが、フランチェスカさんは学院がありますよね、それはどうするのですか?」
「それでしたら、ヴァンテさんが送ってくださるので、学校が終わり次第こちらに来ます!」
「・・・そう・・・、少し話は変わるのですが、先ほどの神聖術を覚えたという事は聖女と認められたのですね。おめでとうございます。」
「───あ、ありがとうございます」
やっと気づいたと言った感じに、秘密にしていた事をゆっくりと話し始めた。
大聖女と呼ばれ始めた事、ウィリアムとの仲が良くなっている事。
学院の卒業すると同時に貴族の養女となり、学園に入学する事。その為に今は貴族の常識を学んでいる事。
そして、父の生死が分からぬままに異なる親を持つ事を気に病んでいる事。
その父はここにいるのだとは言えないのだが、何か言ってあげたい。
「そうですか・・・、ですが気に病む事はありません。親が何人居ても困りませんし、そんな事で機嫌を損ねるようじゃ親失格です。その分すくすくと育てばいいのです。親を名乗る以上、貴女が健やかに育つ事を望んでいるものですからね、だから気に病む事はありませんよ」
「カロリーナ様・・・、カロリーナ様はどうして、いつも優しくして頂けるのでしょう、私なんてただの平民なのに───」
「私の恩師の娘ですから当然じゃないですか。少しでも親の代わりに力になればと常に思っていますよ。大丈夫です、貴女は一人じゃありません、どんな立場になっても私は味方ですからね」
「一人じゃない・・・」
「そうですよ。国が離れても一人じゃありません。何かあれば私が駆けつけますよ」
いい感じ雰囲気での話になっているのだが、俺は俯せでケツを真っ赤にしている以上、絵にならない状況だ。
どうやって寮に戻ろうか考えていると、ディーナが濡れタオルと替えの服を持ってきた。
一人にしてもらい、服を脱いで血痕を拭き取っていると、やはりと言うべきか出血場所が異なっていた。
恐る恐る、鏡で見ると尾てい骨のあたりから、少し突き出ている物がある。
これ・・・尻尾だ───
あまりにも小さいが、恐らくはドラゴンの尻尾だった。
これは竜化とでもいうのだろうか。
人が竜になるなんて聞いた事がないが、竜の心臓と血液を組み込んだのなら有り得なくもないかもしれない。
とはいえ、これについて言えるのは当人か、ファーヴニルに確認するしかなさそうだ。
今から行くかとは考えたが、学園祭だけは終らしてからでないと、周りから何を言われるか分かった物ではない。
たまたまなのか意図してなのか、ディーナが用意した服はフリルが沢山付いているがスカートだったのは助かった。
これでズボンなんてもってこられてたら、痛くて泣いていたかもしれない。
とはいえ、尻尾のせいで下着がまともに履く事が出来ないのは面倒臭い、いつずり落ちるかという心配が付きまといそうだし、いっそはかない方が楽かもしれん、そうしよう。
それに、この事が周りにバレれて注目を浴びるのは御免だから、隠し通さねばならない。
だが、オルドリッジ様にはいずれバレる・・・案外受け入れてくれるかもしれないが、できれば尻尾なんてものは引っ込めたいものだ。
「着替えおわったー?」
ディーナの元気な声が、何故か嬉しそうに聞こえる。
こちとら割と焦っているんだが、それの何が嬉しいのやら。
・・・いや、何を不機嫌になっているのだろう、冷静にならなくては。
「終わったよ。着替え有難うな」
「何か口調が違う・・・」
娘も近くに居る事を忘れていた───
「あー・・・その、冒険者として動くときの名残です。貴女のお父様の口調をまねてたのですよ」
「でしたら、私に対してもその口調でお願いします!」
「えー・・・いいですけど」
「よかったぁ」
良かったのだろうか。
まぁいいか、言葉を使い分けるのも面倒だったし。
こちらの方が気楽だしな。
*
「カロリーナちゃん、そのスカートに合うね」
「これ、貴族用じゃないよな?市民向けにこういうのが流行っているのか?」
「まぁ・・・これから流行る?かな?可愛いでしょう?膝が見えるくらいがいいんだけど、カロリーナちゃんが履くと、膝はかくれちゃうね。でも可愛いから許す」
「よくウェストがあったな」
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