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5.モルバーン学園(一年生編)

5-51.(ディーナ視点)

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 学園祭に向けての準備が本格的に始まった。
 昼までの間、ディーナ達は寮のカロリーナちゃんの部屋で休憩したり王都を観光していた。
 その観光に出かける時にはカロリーナちゃんのお姉ちゃんのセシリア様が同行するというのだから少し安心です。
 観光ついでに服を買ってもらったり屋台ものを食べたりとしたのですが、服は高そうな物ばかりで食べ物は甘味が強くカロリーナちゃんから教えて貰ったレシピの方が断然美味しいと再認識していた。

 昼を過ぎると学園祭の準備が始まり、学園全体が活気にあふれていた。
 その活気は学園祭に参加する使用人さんたちが学園内に入る事でさらに賑やかなものになっていた。
 結果、学園内の人口は2倍程に膨れ上がるというのだから、賑やかさは普段のそれとは比べ物にならないらしい。
 ですが、大半の使用人達は教育をしっかり受けているのだから、大人しいものです。
 その中、ディーナ達4人は良くも悪くも目立っていた。

 周りはきっちりとした使用人が大半で、楽しそうにはしゃいでいるのは学園の生徒だ。
 そんな状況で出店予定の部屋にたどり着くのも一苦労だった。
 行き先が記してる地図は渡されていたものの、多重階層の建築物なんて宿屋くらいしか知らない四人にとっては地図の見方がよくわからなかった。
 現在地の把握が出てきていないのだから、地図が何の役にも立たないのは自明の理で、セシリア様の用事を待たずに先に来た事を後悔していた。

 そう、私達は迷子になっていたのだ。

「ねぇ・・・私達迷───」

「違います」

 普段陽気なシェイラですら人の多さと構造物の広さと分かりづらさから不安になっていた。
 そんな誰かに助けを求めようかと思っていたところに声を掛けてくる人がいた。

「君達、試食していかないかい?」

「いいの!?たべるー!」

 早速食いしん坊のモニカが釣られた。
 そこら中から美味しそうな臭いが漂い、料理の試作をしているのだから気になるのも当然だった。
 私でさえ、お腹の虫が鳴りそうなのだから、食欲魔人であるモニカにすれば天国みたいな所だろう。

「きゃー、かわいいー、これもたべてみてー。いっぱいあるからね」

「うん!ありがとうお姉ちゃん」

「きゅううん、可愛い!この子連れて帰っていいかしら」

 貴族様達にペットのように撫でられ、餌付けされて可愛がられている。
 ここの生徒は年上ばかりで使用人ともなればもっと年上なのだから、小さい子が珍しいのかもしれない。

「モニカ!行きますよ!」

「あーん、ランチプレートあと一皿だけええええ」

「朝から食べ続けてるでしょ!一体どれだけ食べれば気が済むのですかっ」

「えーっと、あなたも食べて行かない?まだ試食段階だけど、好きなだけつくるわよ(使用人が)」

「じゃ・・・じゃあ一皿だけ」

「甘い物はないのデス?」

「もう!ミンディ!贅沢言わないの!」

「あるわよ、ちょっとまっててね」

 甘い物大好きミンディまでも・・・。
 こんな具合に、目的地には中々たどり着けないでいました。

 *

「お姉様方、カロリーナちゃ・・・カロリーナ様のお店に行きたいのですが場所分かりますか?」
「それなら連れてってあげるわ、だから、わかってるわよね」
「仕方がありません・・・ちょっとだけですよ」
「やーん、猫耳かわいい~、きもちいい~、触りたかったの~」
「あ、ちょっと、触るのはいいですが、丁寧に、あっあ───」
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