上 下
122 / 193
5.モルバーン学園(一年生編)

5-50.ルグランジにて

しおりを挟む
 もやもやする。
 気まぐれに弄ばれている気がする。
 壊れないオモチャとでも思っているのか。
 この力関係がいつまで続くのか。
 それともこれも仕事の内だと思って諦めるべきなのだろうか。

 とっとと純潔を奪いやがれと、口にこそ出さなかったがそれを行動に移すよ事にした。
 そう、眠っているオルドリッジ様の上に跨ったのだ。
 相手もちょうどいい塩梅になっているので、無理矢理突っ込んでみようという考えだ。
 ところが無理矢理いれようとした途端に激痛が走った。
 このまま続ければハッキリと死ぬかと確認した。
 自分でしといて言うのもなんだが、これはまさに股裂きの刑で、高度な自殺である。
 咄嗟に危険を察知して無かった事にしたのだが、オルドリッジ様のサイズは前世の俺よりも小さい。
 結局今の俺のそれが小さいく細い事が問題なのだ。
 或いはこんな激痛が一般的な話だという可能性だ、そうだとすれば世界中の女性には敬意を示さなければならない。
 そんな痛みに俺は震えながら一人チャレンジした事を後悔した。

「女って大変だな・・・」

 そんな呟きを聞いていたのか寝ぼけているのか、背後から抱きついてきた。

「起きてたのか」

 俺の言葉に反応がない。
 抱きしめる力が強くなっていくのを感じ、徐々に苦しくなってくる。
 それを逃れようと上へ上へ逃げようとした。
 実にそれが間違いだった。
 下の方から堅い何かが付き上がって来るものを感じた。

「おい、おきろ、そこは違う・・!」

 そこは女の貞操ではなく、男女共通の貞操だった。
 入口と堅い物の攻防はしばらく続く。
 ぐいぐいと押し上げてくる物に対して必死に、力を入れて踏ん張る。
 前世でも突破された事がないのに、女になって突破されてなんてどういう皮肉なのだろうか。
 そうならんように気合で必死に抵抗する。
 純粋にそこは汚いだろう、というのが俺の感覚なのだが、世の中にはそれですら楽しんでいる者が居る事もまた事実。
 オルドリッジ様にはそんな道に進んで欲しくないと思うと同時に、寝ぼけてやられたなんていうのはもっと嫌だという二つの理由が俺を必死にさせていた。
 いや、起きていても嫌だがな。

 だが、その圧は凄まじく、無理矢理に穴を広げていく。
 それを左右に腰を振り、どうにか軌道を逸らそうとしたが、それがまた状況を悪化させた。

 そして

 健闘虚しく

 先っぽが侵入してしまう。

 その突破の衝撃によるえげつない感覚と裂けるような痛みから反射的に一気に締め付けるとさらに反発するように大きくなった。

「い゛た゛い゛い゛た゛い゛い゛た゛い゛い゛た゛い゛い゛た゛い゛」

 声で訴えても背後にある顔に肘打ちを入れても起きる気配がない。
 寝ているお陰か、一気に押し込むみたいな事はしなかったのはまだ救われていたのかもしれない。
 体は胸回りと腰回りをがっちりホールドされて逃げ道はなく、貫かれるのも時間の問題かと思った。
 痛みのそれが極限に達したかと思えばそうでもなく、侵入者は太くなり、さらなる痛みが襲ってきた。
 このまま貫かれたら死んでしまう。
 本当に死んでしまう。
 回復力でどうにか生き延びるかもしれないが、体を貫かれる恐怖を味わうのは御免被りたい。
 恐怖から視界が歪んだその時、背後から聞きなれた声がした。

「カロリーナ・・・何をしているんだ」

「抜いてくれよ!痛いんだよ!死にそうだ、お前が寝ぼけて突っ込んできたんだよ!」

「あ、あれ?ぬ・・・抜けない、カロリーナ、ちょっと力を抜いてくれないか」

「そんな事したら押し込むだろ!いいからさっと抜いてくれ!」

 押し込まれれば地獄だが、抜く際もヤバイ刺激が襲ってくる。
 もう何がどうヤバイのか分からん。
 体が小刻みに震え、何をどうすれば力を抜けるかも分からなくなってしまっていた。

 *

「よし、一度力を抜けるように、イッて貰うか」
「ばばば、ばかやろう、もういやだ!さっさと抜いてくれよ!」
「な、泣いてるのか」
「なんてねーよ!泣いてなんかねー!痛いだけだ、いたいだけだようわあああああああああああん」
「なくななくな」
「そう言いながら押し込んでくるなよ!うわあああああ」

 この後めちゃくちゃ喧嘩した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界は黒猫と共に

小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。 「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。 ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。 自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。 猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。

悪役令嬢ですが最強ですよ??

鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。 で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。 だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw 主人公最強系の話です。 苦手な方はバックで!

かわいいは正義(チート)でした!

孤子
ファンタジー
 ある日、親友と浜辺で遊んでからの帰り道。ついていない一日が終わりを告げようとしていたその時に、親友が海へ転落。  手を掴んで助けようとした私も一緒に溺れ、意識を失った私たち。気が付くと、そこは全く見知らぬ浜辺だった。あたりを見渡せど親友は見つからず、不意に自分の姿を見ると、それはまごうことなきスライムだった!  親友とともにスライムとなった私が異世界で生きる物語。ここに開幕!(なんつって)

本の虫令嬢は幼馴染に夢中な婚約者に愛想を尽かす

初瀬 叶
恋愛
『本の虫令嬢』 こんな通り名がつく様になったのは、いつの頃からだろうか?……もう随分前の事で忘れた。 私、マーガレット・ロビーには婚約者が居る。幼い頃に決められた婚約者、彼の名前はフェリックス・ハウエル侯爵令息。彼は私より二つ歳上の十九歳。いや、もうすぐ二十歳か。まだ新人だが、近衛騎士として王宮で働いている。 私は彼との初めての顔合せの時を思い出していた。あれはもう十年前だ。 『お前がマーガレットか。僕の名はフェリックスだ。僕は侯爵の息子、お前は伯爵の娘だから『フェリックス様』と呼ぶように」 十歳のフェリックス様から高圧的にそう言われた。まだ七つの私はなんだか威張った男の子だな……と思ったが『わかりました。フェリックス様』と素直に返事をした。 そして続けて、 『僕は将来立派な近衛騎士になって、ステファニーを守る。これは約束なんだ。だからお前よりステファニーを優先する事があっても文句を言うな』 挨拶もそこそこに彼の口から飛び出したのはこんな言葉だった。 ※中世ヨーロッパ風のお話ですが私の頭の中の異世界のお話です ※史実には則っておりませんのでご了承下さい ※相変わらずのゆるふわ設定です ※第26話でステファニーの事をスカーレットと書き間違えておりました。訂正しましたが、混乱させてしまって申し訳ありません

外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花
ファンタジー
 15歳を迎えた者は神よりスキルを授かる。  どんなスキルを得られたのか神殿で確認した少年、アルフレッドは【経験値固定】という訳の分からないスキルだけを授かり、無能として扱われた。  そして一年後、一つ下の妹が才能がある者だと分かるとアルフレッドは家から追放処分となった。  しかし、一年という歳月があったおかげで覚悟が決まっていたアルフレッドは動揺する事なく、今後の生活基盤として冒険者になろうと考えていた。 「スキルが一つですか? それも攻撃系でも魔法系のスキルでもないスキル……すみませんが、それでは冒険者として務まらないと思うので登録は出来ません」  だがそこで待っていたのは、無能なアルフレッドは冒険者にすらなれないという現実だった。  受付との会話を聞いていた冒険者達から逃げるようにギルドを出ていき、これからどうしようと悩んでいると目の前で苦しんでいる老人が目に入った。  アルフレッドとその老人、この出会いにより無能な少年として終わるはずだったアルフレッドの人生は大きく変わる事となった。 2024/10/05 HOT男性向けランキング一位。

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。 その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。 そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。 『悠々自適にぶらり旅』 を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

隷属の勇者 -俺、魔王城の料理人になりました-

高柳神羅
ファンタジー
「余は異世界の馳走とやらに興味がある。作ってみせよ」 相田真央は魔王討伐のために異世界である日本から召喚された勇者である。歴戦の戦士顔負けの戦闘技能と魔法技術を身に宿した彼は、仲間と共に魔王討伐の旅に出発した……が、返り討ちに遭い魔王城の奥深くに幽閉されてしまう。 彼を捕らえた魔王は、彼に隷属の首輪を填めて「異世界の馳走を作れ」と命令した。本心ではそんなことなどやりたくない真央だったが、首輪の魔力には逆らえず、渋々魔王城の料理人になることに── 勇者の明日はどっちだ? これは、異世界から召喚された勇者が剣ではなくフライパンを片手に厨房という名の戦場を駆け回る戦いの物語である。

処理中です...