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5.モルバーン学園(一年生編)
5-15.
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退屈な授業───
「アバークロンビー君、ぼーっとしているなら、海上権力と陸上権力の呼称を答えたまえ」
「シーパワーとランドパワーです」
「であれば、我が国はどちらに重点を置いているのか分かっているな」
「ランドパワーに重点を置いてる愚かな国です」
「一言多いわ!だが、その通りだ、我が国は今、シーパワーへとシフトしようとしている。何故なら───」
授業は知っている事ばかり教わる。
いや、教わってはないか。
こんな未だにこんな授業をしているから、俺が成績上位を取ってしまうのだ。
退屈な人間関係───
「カロリーナさん、ちょっといいかしら」
「これはクラスメイトのティベリアさん、何か御用ですか」
「最近、生徒会長のオルドリッジ様に色目を使っていると聞きましたが、本当ですか」
「そんな恐れ多い、私みたいな子供があの様な立派な方にお声を掛けるなど、恐れ多い、嗚呼、恐れ多い」
「へぇ、分かってるじゃないの、であれば、二度と近づかない事ね」
「そうですね、私からはそうします」
何故か生徒会長の部屋に行った事がバレていると言う。
彼女らも3年からの圧力に従っているに過ぎないと言う話だ。
退屈な実技───
「アバークロンビー!何をしている!剣の素振り100回はまだ終わらんのか!」
「ぜぇ、ぜぇ、今はこれで精いっぱいなんです」
「入学試験の時のパワーはどうした!お前は出来る子だ、歯を食いしばれ!」
剣が重くて振り下ろせない。
原因はもうわかっている。
あの首輪のせいで、パトロネス・ランクが反転してマイナス2049となっているのだ。
こればかりは、力だけでなく、魔力にも影響しており、碌な魔法を使えない状態にある。
つまり、魔法の授業も全然ダメだと言う事だ。
そのせいで、同じ年どころか年下と喧嘩しても負けるだろう。
そして、弊害はグレッグ相手にも発生した。
竜の背中にしがみつくだけの力が足りないで、振り落とされそうになる。
よって、俺一人では何処にも行けなくなった。
一応、ジャクソンらに頼み込んで支えてもらえれば移動は出来るが、それだとグレッグには乗れない。
結果、運動不足のグレッグが機嫌を損ねると言う訳だ。
腹が減る度、グレッグが学園内に入って来る。
俺の魔力の量自体には変化がないので餌に困らないのが唯一の救いだ。
学校やめてえ・・・。
ある日、実技の授業をさぼって校舎の屋上で日向ぼっこをしていた。
パトロネス・ランクの関係で授業を受けても意味がない事をアピールした結果、当面の授業を免除されたのだが、他の生徒の目は冷ややかだった。
そんな状況で見学してると針の筵だった。
耐えられなくなってサボった。
仕方ないじゃないか。
「やっぱりここに居たのか」
ひょっこり現れたのはオルドリッジ様で、流れる様に俺の横で日向ぼっこを始めた。
「どうしてここに?」
「君の事が心配になってね、あれから絶賛呪われ中かい?」
「何も変わらず。お手上げとはこの事です」
「一つだけ分かった事があるんだ」
「どの様な事です?」
「その首輪の技術が、魔族由来の物だと言う事」
「それって、魔王軍が裏で革命軍を操ってるって言っていますよ」
「君は彼らに恨みを買った覚えはないかい?」
「会った事ないですよ・・・そんなレア種」
可能性があるとすれば、奴隷娼婦の主、ダニエストフィーを殺害した奴か。
直接会ってないが面がバレている可能性はある。
本当に分からん事だらけだ。
*
「そう言えば、アレグサンダー君が探していたぞ。なんでもシャーリー嬢について言いたい事があるとか」
「はぁ、シャーリーって知らないのですが」
「彼も中々モテるから、うかうかしてると・・・」
「それならそれで良いんですよ」
「そうなのか?」
「そうなんです」
「じゃあ、俺が相手に立候補しようかな」
「な・・・」
「───冗談だよ」
「アバークロンビー君、ぼーっとしているなら、海上権力と陸上権力の呼称を答えたまえ」
「シーパワーとランドパワーです」
「であれば、我が国はどちらに重点を置いているのか分かっているな」
「ランドパワーに重点を置いてる愚かな国です」
「一言多いわ!だが、その通りだ、我が国は今、シーパワーへとシフトしようとしている。何故なら───」
授業は知っている事ばかり教わる。
いや、教わってはないか。
こんな未だにこんな授業をしているから、俺が成績上位を取ってしまうのだ。
退屈な人間関係───
「カロリーナさん、ちょっといいかしら」
「これはクラスメイトのティベリアさん、何か御用ですか」
「最近、生徒会長のオルドリッジ様に色目を使っていると聞きましたが、本当ですか」
「そんな恐れ多い、私みたいな子供があの様な立派な方にお声を掛けるなど、恐れ多い、嗚呼、恐れ多い」
「へぇ、分かってるじゃないの、であれば、二度と近づかない事ね」
「そうですね、私からはそうします」
何故か生徒会長の部屋に行った事がバレていると言う。
彼女らも3年からの圧力に従っているに過ぎないと言う話だ。
退屈な実技───
「アバークロンビー!何をしている!剣の素振り100回はまだ終わらんのか!」
「ぜぇ、ぜぇ、今はこれで精いっぱいなんです」
「入学試験の時のパワーはどうした!お前は出来る子だ、歯を食いしばれ!」
剣が重くて振り下ろせない。
原因はもうわかっている。
あの首輪のせいで、パトロネス・ランクが反転してマイナス2049となっているのだ。
こればかりは、力だけでなく、魔力にも影響しており、碌な魔法を使えない状態にある。
つまり、魔法の授業も全然ダメだと言う事だ。
そのせいで、同じ年どころか年下と喧嘩しても負けるだろう。
そして、弊害はグレッグ相手にも発生した。
竜の背中にしがみつくだけの力が足りないで、振り落とされそうになる。
よって、俺一人では何処にも行けなくなった。
一応、ジャクソンらに頼み込んで支えてもらえれば移動は出来るが、それだとグレッグには乗れない。
結果、運動不足のグレッグが機嫌を損ねると言う訳だ。
腹が減る度、グレッグが学園内に入って来る。
俺の魔力の量自体には変化がないので餌に困らないのが唯一の救いだ。
学校やめてえ・・・。
ある日、実技の授業をさぼって校舎の屋上で日向ぼっこをしていた。
パトロネス・ランクの関係で授業を受けても意味がない事をアピールした結果、当面の授業を免除されたのだが、他の生徒の目は冷ややかだった。
そんな状況で見学してると針の筵だった。
耐えられなくなってサボった。
仕方ないじゃないか。
「やっぱりここに居たのか」
ひょっこり現れたのはオルドリッジ様で、流れる様に俺の横で日向ぼっこを始めた。
「どうしてここに?」
「君の事が心配になってね、あれから絶賛呪われ中かい?」
「何も変わらず。お手上げとはこの事です」
「一つだけ分かった事があるんだ」
「どの様な事です?」
「その首輪の技術が、魔族由来の物だと言う事」
「それって、魔王軍が裏で革命軍を操ってるって言っていますよ」
「君は彼らに恨みを買った覚えはないかい?」
「会った事ないですよ・・・そんなレア種」
可能性があるとすれば、奴隷娼婦の主、ダニエストフィーを殺害した奴か。
直接会ってないが面がバレている可能性はある。
本当に分からん事だらけだ。
*
「そう言えば、アレグサンダー君が探していたぞ。なんでもシャーリー嬢について言いたい事があるとか」
「はぁ、シャーリーって知らないのですが」
「彼も中々モテるから、うかうかしてると・・・」
「それならそれで良いんですよ」
「そうなのか?」
「そうなんです」
「じゃあ、俺が相手に立候補しようかな」
「な・・・」
「───冗談だよ」
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