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5.モルバーン学園(一年生編)
5-11.闘技場周辺にて
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闘技場に潜伏していると言っていた革命軍の仲間はオルドリッジ様によって捕獲されていた。
特定するだけで大変そうだったのに、それをいともあっさりやり遂げたと言うのだ。
学園の生徒会長とは言え、まだまだ子供なのにだ。
あ・・・俺もか。
いや、本当によくやったと思うよ。
それよりも攫われたアレグサンダーの方が問題だ。
なんせ、男なのにヒロインポジションをキープしているのだ、俺なんかよりよっぽどヒロインしている。
じゃなくて、身の危険があるからだ。
兎に角、俺と副会長のフラヴィアは急いで逃げた場所に向かった。
フラヴィアにはそれが分かると言うのだから、この生徒会と言うのは何かの特殊部隊なのかと勘繰ってしまう。
それとも貴族とはそれくらいできて当然だと言うのだろうか。
彼女の走る後を追いかけるが、彼女の走る姿は中々良い。
筋肉の付き方が良いのだろうか、体躯のずれが全くない理想の走り方をしている。
それは彼女の資質なのか訓練した結果なのか、一度本気で手合わせしたくなる。
「アレグサンダー様はどこにいるのですか」
少しこちらの表情を確認するかの様に少しだけ振り返り、走りながら答える。
「すぐ近くの時計塔だ。そんなに心配か?」
「当たり前でしょう、彼は王族なのですから」
本来、貴族は王族を守る盾となるべき存在なのだ。
だから守る、それ以上の理由はない。
「婚約者だから心配だって言ってもいいんだぞ、照れるな照れるな」
「そんな心配はしていませんから!」
しかし、奇妙な話だ。
ハーフオークは兎も角、デュラハン種なんて中々見かけない種族だ。
それを手駒に使ってると言う時点で革命軍とやらは中々侮れない。
「魔物の血が濃い者を多く連れていると言う事は・・・いや、まさかな・・・」
「何か言ったか?」
「なんでもありません、言ってたのはそこの時計塔ですか?」
「ああ、報告じゃ、ここに居るらしいよ」
アレグサンダーが捕まっているというこの時計塔。
普通に突撃しても人質を盾にされれば俺は手も足も出ない。
せめて魔法の短縮詠唱や、こっそり使える剣技でもあれば助ける事が出来るのだろうが、俺はそういうのが一番苦手なのだ。
もっとド派手に真正面からどかーんと戦うのなら誰にも負ける気はしない。
時計塔の一階には書記のカレンと会計のダグラスが居た。
カレンは何やら床に魔法陣らしきものを書きこみ、ダグラスは魔法で中の様子を探っている様だった。
「カレン様は何をされているのですか?」
「ん-、これねー、面白いのー」
「面白い?」
「そー。起動するよお」
「はい」
カレンが何を言っているのかは分からなかった。
魔法の詠唱もなしに、魔法陣らしき絵図の中心に手を付いたと思えば光り出し、幾つもの黒いモヤが浮かび上がる。
カレンはそれに対して、まるで普段通りに話しかける。
「うおーい、上の人体、全員、拘束ねっ」
黒いモヤはすーっと上に向かって移動し、一階の天井をすり抜けていった」
「今のは?」
「友達、夢の中で、よく遊ぶの」
だめだ、理解しようとしちゃ駄目なやつだ。
取り合えず、幽霊とでも思っておこう。
*
「ダグラス様は覗きだけですか?」
「そうだが」
「あまり役に立ってないんですね」
「お前みたいに捕まってないだけ、マシだろう」
「ぐぬぬ・・・」
「今回は、ヒロイン役として、大人しくしていればいいよ、後は俺達に任せろ」
「・・・はい」
あー・・・暴れてえ。
特定するだけで大変そうだったのに、それをいともあっさりやり遂げたと言うのだ。
学園の生徒会長とは言え、まだまだ子供なのにだ。
あ・・・俺もか。
いや、本当によくやったと思うよ。
それよりも攫われたアレグサンダーの方が問題だ。
なんせ、男なのにヒロインポジションをキープしているのだ、俺なんかよりよっぽどヒロインしている。
じゃなくて、身の危険があるからだ。
兎に角、俺と副会長のフラヴィアは急いで逃げた場所に向かった。
フラヴィアにはそれが分かると言うのだから、この生徒会と言うのは何かの特殊部隊なのかと勘繰ってしまう。
それとも貴族とはそれくらいできて当然だと言うのだろうか。
彼女の走る後を追いかけるが、彼女の走る姿は中々良い。
筋肉の付き方が良いのだろうか、体躯のずれが全くない理想の走り方をしている。
それは彼女の資質なのか訓練した結果なのか、一度本気で手合わせしたくなる。
「アレグサンダー様はどこにいるのですか」
少しこちらの表情を確認するかの様に少しだけ振り返り、走りながら答える。
「すぐ近くの時計塔だ。そんなに心配か?」
「当たり前でしょう、彼は王族なのですから」
本来、貴族は王族を守る盾となるべき存在なのだ。
だから守る、それ以上の理由はない。
「婚約者だから心配だって言ってもいいんだぞ、照れるな照れるな」
「そんな心配はしていませんから!」
しかし、奇妙な話だ。
ハーフオークは兎も角、デュラハン種なんて中々見かけない種族だ。
それを手駒に使ってると言う時点で革命軍とやらは中々侮れない。
「魔物の血が濃い者を多く連れていると言う事は・・・いや、まさかな・・・」
「何か言ったか?」
「なんでもありません、言ってたのはそこの時計塔ですか?」
「ああ、報告じゃ、ここに居るらしいよ」
アレグサンダーが捕まっているというこの時計塔。
普通に突撃しても人質を盾にされれば俺は手も足も出ない。
せめて魔法の短縮詠唱や、こっそり使える剣技でもあれば助ける事が出来るのだろうが、俺はそういうのが一番苦手なのだ。
もっとド派手に真正面からどかーんと戦うのなら誰にも負ける気はしない。
時計塔の一階には書記のカレンと会計のダグラスが居た。
カレンは何やら床に魔法陣らしきものを書きこみ、ダグラスは魔法で中の様子を探っている様だった。
「カレン様は何をされているのですか?」
「ん-、これねー、面白いのー」
「面白い?」
「そー。起動するよお」
「はい」
カレンが何を言っているのかは分からなかった。
魔法の詠唱もなしに、魔法陣らしき絵図の中心に手を付いたと思えば光り出し、幾つもの黒いモヤが浮かび上がる。
カレンはそれに対して、まるで普段通りに話しかける。
「うおーい、上の人体、全員、拘束ねっ」
黒いモヤはすーっと上に向かって移動し、一階の天井をすり抜けていった」
「今のは?」
「友達、夢の中で、よく遊ぶの」
だめだ、理解しようとしちゃ駄目なやつだ。
取り合えず、幽霊とでも思っておこう。
*
「ダグラス様は覗きだけですか?」
「そうだが」
「あまり役に立ってないんですね」
「お前みたいに捕まってないだけ、マシだろう」
「ぐぬぬ・・・」
「今回は、ヒロイン役として、大人しくしていればいいよ、後は俺達に任せろ」
「・・・はい」
あー・・・暴れてえ。
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